短編①
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「チョコ、もらえそうで良かったですわねエース隊長」
「・・・・・・・・・チョコ?」
アコの部屋に行こうと廊下を歩いてたら、
ミリアに会って、言われた。
・・・・・・・・チョコって、何だ。
「バレンタインですわ。毎年私たちからも差し上げていた筈ですが?」
「・・・・・・・・・そうだったか?」
「そうです。・・・・まあ、いいですけど」
「で、アコが?」
「今話したらアコのところにも同じイベントがあるとのことでしたので」
「バレンタインってそもそも何だ?」
「・・・・・・・・・・エース隊長」
呆れた顔のミリアが説明してくれたのは、
簡単に言えば好きな男に女がチョコを贈る日、ということだ。
そーいや年に1回チョコたくさんもらえる日があったような気もする。
・・・・・・・・今までは、たいして気にしてなかった。
でも今年はアコが居る。
・・・・・・それだけで、
全然違ェ。
めっちゃ気になる。
・・・・・・・・・・チョコ、くれんのかな。
コンコン、と控えめなノック音がした。
あれ、ミリアが戻ってきたのかな?
とドアを開けたら、
「・・・・・・・・エース?」
立っていたのは少し固い顔のエース。
「・・・・・・・・よう」
あれ、何か変。
いつもならエースはもっと力強いノック、
もしくはノックもしないで入ってくるのに。
「どうかした?」
「さっきまでミリア居たか?」
「居たけど?」
「そ・・・・そっか」
・・・・・・・・様子が明らかにおかしい。
「ミリアに用事?」
「いや、いいんだ。何でもねェ」
・・・・・・・仕方ない、か。
「そういえばエース、明後日島に着くって」
「あァ、聞いた」
「一緒に回ろうね?」
「当たり前だろ?楽しみだな」
にし、といつものように笑ったエースにほっとして。
・・・・・・・・私も考えなきゃなあ、と。
思った。
・・・・・・・・・・・明後日は、
バレンタインだ。
船は無事に島に着いた。
・・・・・・・・・・・・・・が。
アコからまだチョコをもらえていない。
それどころかバレンタインのバの字も出てねェ。
・・・・・・・俺、もらえんのか?
正直アコに嫌われてるとは思ってない。
でも・・・・不安はある。
「ねえ、エースってば」
「うお!?」
考え事をしていた最中に腕を引っ張られて情けねェ声が出た。
「な・・・・何だ?」
「だから、お昼ご飯ここにしない?って」
「あ、ああ、そうすっか」
言われてみれば腹も減った。
よし、とアコの腕を引こうとした時、
「うんまほー!!」
聞き覚えのある声が隣から聞こえた。
「・・・・・・・・・・・・ルフィ?」
「ん?・・・・エース!エースか!?」
涎をたらして叫ぶ、俺の弟。
「久しぶりだな、ルフィ。何してんだこんなとこで。1人か?」
「仲間とはぐれた!」
「・・・・・・・・・へェ」
ちら、とアコを見れば、
これでもかって程目を見開いて、
「な・・・・生ルフィ!?本物!?」
・・・・・・すっげェ喜んでる。
いやいや、落ち着け俺。
相手はルフィだ。
大丈夫だ。
「俺はルフィ!海賊王になる男だ!」
「ははは初めまして!アコですよろしくお願いしますっ」
「アコは俺の恋人だ。わかるかルフィ?」
言いながらアコを抱き寄せた。
「コイビトか!わかった!」
・・・・・・わかってねェなこいつ。
「生ゾロ見たかった・・・・!」
・・・・・・・アコの興奮気味の呟きに反応するが、
大人の余裕を見せないといかん。
と思っていたら、
「あ・・・あの、良かったら一緒にご飯。・・・食べる?」
「おい、アコっ」
いきなりルフィを誘い出したアコに焦るも、
「食う!」
・・・・・・・・・駄目だこりゃ。
「そんでその後ウソップが爆発したんだ」
「あはははっ、さすがウソップー!!」
楽しそうに話す俺の弟と、俺の恋人。
・・・・・・・・くそっ、落ち着かねェ。
「ゾロはどんな感じ?サンジ君も居る?」
「おお、居るぞ!この後来いよ!」
ぴく。
・・・・・・・・それは聞き捨てならねェ。
貴重なデートだっつんだ、こっちは。
そんでも気になるのはアコの反応で。
・・・・・・行きたいよな、アコは。
「あ・・・・この後はちょっと・・・・」
「えー来いよ!今すぐ!」
「明日じゃ駄目?」
「じゃあ明日な!絶対来いよ!」
「うん、約束」
・・・・・・・・・・・?
生ゾロ見たかった、とか言ってたから絶対喜んで行くと思ったんだが。
疑問を残したまま飯を食って、
店の前でルフィとは別れた。
「アコ」
「あ、食べたりなかった?」
「いや、そうじゃなくて」
「何?」
「行かなくてよかったのか?ルフィの船」
単純に疑問を口にすれば、アコは顔を赤くした。
「・・・・・だ、だって」
「何だよ」
「・・・・せっかくだから2人きりがいいなって思って」
「・・・・・・・アコいつも昼からは嫌だって、」
「何の話!?・・・・・・・・これだよ?」
これ、と言ってアコが差し出したのは赤のリボンでラッピングされた箱。
「・・・・・・・チョコ?」
「あ、知ってた?」
ルフィと会ったことで忘れてた。
バレンタイン、か。
「・・・・・・・・へへっ、サンキュな」
「頑張って1人で作ったんだよ?サッチさんに教えてもらおうか迷ったけど・・・」
「ああ、すげェ嬉しい」
やっぱり俺は、幸せモンだ。
でも、
「チョコの礼は船でたっぷりするからな?」
「え?」
「明日生ゾロ見られるといいなァ」
「え、いや、チョコのお礼はホワイトデーっていうのがあってね・・・・エース聞いてる?」
次の日。
愛する女の泣き顔と、
可愛い弟の不機嫌なツラを見たくない為に、
アコに引っ張られる俺が居た。