短編①
夢小説設定
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「聞いてエース!めっちゃ怖い夢見た!」
「怖い夢?」
朝御飯を取りに来たエースに私は勢い良く話す。
だって本当に怖かった。
夢で本当に良かったと今でも思う。
「すーっごい怖かった」
「どんな夢なんだよ」
今でも思い出すだけでぞっとする。
「マルコさんが笑顔でナースさん達と戯れてる夢」
そう伝えた瞬間、
「ぶ、ぶははははっ!!そりゃ怖ェ!」
エースははじけたように大爆笑。
失礼な。
「ちょっとエース、ほんとに怖かったんだってば」
「わかってるって。マルコがナース達と笑顔で戯れてたらそりゃ怖ェよなァ。くくっ、ははははっ!」
なおも笑い続けるエースにどんな言葉をかけようかと思っていた矢先。
特徴ある影が見えて口を噤んだ。
「・・・・・・・・・・誰が何で怖いんだい」
「げ。マルコ・・・・・・」
「げ、じゃねえよい。もう1回言ってみろよいエース」
「俺じゃねェよ!」
私の夢の中の登場人物であるマルコさん。
見ただけでかなり怒ってらっしゃる。
・・・・・・・・・・・これは私も
ピンチ、かも。
マルコさんはくるりと私の方に向き直って、
「お前も何つー夢見てんだよい」
「す・・・・すみません」
ごつん、と大きな音が響いた。
「良かったー私殴られなくて」
「夢見たのは俺じゃねェのにな。まあアコが殴られることはないと思うぜ」
「でもエース笑いすぎだったしね。あれは仕方ないと思う」
「酷ェ。そもそもアコが怖い夢見たっつーからどんな夢かと思ったらマルコだったっていうオチが悪い」
「オチじゃないから。事実だから」
エースはいつも通り数回寝た後の食事。
私は遅めの食事。
マルコさんが食事を終えて居なくなったのを確認した上での会話だ。
私は謝ったから、と拳骨を免れた。
殴られたのはエースだけ。
「でも正夢になったら怖ェよな」
「やめてよエース。ほんと怖かったんだからもう2度とあんな夢見たくない」
マルコさんに失礼だとは思いつつ、
心の底から思う。
「・・・・・・・・・・・・なァ」
「んー?」
食後の珈琲に手をかけて香りを楽しむ。
ん、美味しそう。
「アコの夢の中に俺が出てきたりしねェの?」
「え?」
その味を味わおうと口につけて、エースの言葉に驚いてカップを置いた。
「・・・・・・・・・・うーん、あったと思うけど忘れた」
「・・・・・・・・・・・ふーん」
エースは何か考えるような、ふてくされたようなどちらともとれない表情で目を逸らした。
「エースは?夢の中に私が出てきたことあった?」
「俺はあるぜ」
「どんな夢?いい夢なら正夢にしなきゃね!」
エースの表情も気になったけど、エースの夢に私が出てきたことが気になった。
エースは少し考える素振りを見せてから、
「一緒に飯食ったり、出かけたり」
「あははっそれ夢じゃなくてもしてるじゃない。今も一緒にご飯食べてるしね」
意外と普通の夢なんだ、と思いかけた瞬間。
「あともう1つ」
「もう1つ?」
「・・・・・・・・・・抱きしめたりキスしたり」
「・・・・・・・・・・ナースさんと?」
話の流れからして私のことなんだろうけど。
なんだかそれが信じられなくて。
ところが、
「アコと」
「へ」
目の前に突きつけられたエースの人差し指。
「いい夢は正夢にしなきゃ、なんだろ?」
「え、え、あ、え?」
ぐっと近づくエースの顔。
パニックの私は言葉が出てこない。
ちょっと待ってどういうこと!?
そしてエースの唇が、
「ひゃっ」
私の頬を掠めた。
「ほんとは唇にしてェとこだけど今日はこれで勘弁してやるよ。ごちそーさん」
そう言ってお皿を持って立ちあがり、
去って行ったエース。
・・・・・・・・・・・・・・って、
それはどっちのごちそーさんなのよ。