短編①
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本日何回目かわからないチャイムが鳴った。
外はもう薄暗い。
校内放送では、
残っている生徒は速やかに帰宅するようにと告げている。
私は必要な書類をまとめつつ、担当クラスの教室へ。
生徒が残っていないかを確認するためだ。
誰も居ないことを祈りつつドアを開ける。
・・・・・1人、居た。
ポートガスDエース君。
彼は窓際の自分の席に座って、外を眺めていた。
なんつーか、アレだよね。
彼は本当にこういうノスタルジックなのが似合う子だよ。
仕方なく私は彼に声をかける。
「外面白い?ポートガス君」
ってもいきなり帰れってのも言いたくないので世間話から。
「アコセンセー待ってた」
「あれ、私に用事?今日の授業でどっかわかんないとこあった?」
私の担当は国語。
今日はそんな難しいコト教えてないハズだけどな?
「いや、先生に話があって」
おや。
ポートガス君はモテる。
だから恋愛相談?
それともご家庭のことかな?
弟君と2人暮らしで大変なようだから。
「そっか。じゃあ私も失礼して」
言って、ポートガス君の前の席のイスを拝借して座る。
「何か悩み事?」
「うーん、悩み事っつーか、言いたいコト」
「よし、どうぞ」
「言っていい?」
「いいよー」
ポートガス君はさして真剣な風でもなく、軽く笑う。
「俺、アコのことが好きだ」
ドキっとした。
「・・・ありがと」
「え、それだけ?」
「ん?先生の名前を呼び捨てにするな、とか?」
「私も好き、とか」
「好きだよ。・・・生徒として」
それは言っておかないといけないことだ。
そう、思った。
ポートガス君は少し寂しそうな顔をして、
でも笑った。
「うわー絶対ェ言うと思ったソレ」
「あはは、でも女性の口説き方としては悪くなかったよ」
実際ドキッとしたし。
「なあ、どうしたら俺は生徒じゃなくなる?」
「・・・卒業したらじゃない?」
「そんなことが言いたいんじゃねェよ。わかってるだろ?」
真っ直ぐ見つめる彼の目から、私は逃げられない。
「私は教師。貴方は生徒。だから駄目・・・っても納得しないよねー」
「しねェ。世間の目が気になるってんなら俺が守る」
さてどうしたもんかと考える。
と、突然ポートガス君が立ち上がった。
「もう無理なんだ、先生。抱きしめてェしキスしてェ」
他にもっといい子がいるでしょ、とか。
若い時の過ち、とか色々理由は浮かんでくるのに。
言葉に出来ないのは。
きっと、
きっと私も。
「んーそっかぁ。好きなモンは仕方ないよね」
「・・・・若い時は年上に憧れるもんだってフられると思ってた」
おや意外そう。
「あら憧れだったの?残念ー」
「違ェよ!好きだ・・・好きなんだ、アコ」
からかうように言うと、真剣に返してくれるポートガス君。
うん、素直に嬉しい。
教師と生徒である前に、1人の人間として。
真剣な気持ちには、真剣に返すべきだと私は思ってる。
「私も好き」
「え、」
でも卒業するまでは一応内緒ね、と私はもうすっかり暗くなった教室で彼を抱きしめた。
『で、私の何処を好きになってくれたの?エース君』
『・・・・・先生らしくねェとこ、常識が通じないとこ』
『え、何それ喜んでいいの』