短編①
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12月某日。
父さんと各隊の隊長さん(エースを除く)+2番隊の隊員を集めての極秘の会議が行われた。
「とりあえずお酒と肉料理は大量に用意する予定ですけど」
「それじゃあいつもと同じだもんなァ」
「いっそコイツと2人きりで過ごさせるってのが手っ取り早いんじゃねえかい」
面倒臭そうに私を指さすマルコさんに慌てて首を振った。
「駄目ですよマルコさん!皆が祝わなきゃ意味ないですから」
そう、その会議内容は。
「グラララ・・・!年に1度の誕生日だ、盛大に祝ってやろうじゃねえか野郎共」
もうすぐエースの誕生日、ということ。
「いつも盛大に祝ってるけどな、オヤジ。あいつ、いつもどっか寂しそうなんだよなァ」
「無理なんじゃねえ?」
「おめでとう、って言っても複雑そうに笑うんだよなあ」
エースが来て何回目かの誕生日になるけど、私達がどんなにたくさんのお酒と料理を用意しても、
どんなに心からおめでとうと言っても、
心から笑うエースは居なかったから。
だからエースを心から笑顔にする為に今回はどうすればいいか、ということが議題だ。
「・・・・・・・・・・・・実は私にちょっと、考えがあるんですけど」
「言ってみろよい、アコ」
「えっと・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ということで」
ちら、と周りの反応を窺えば、
「よし、それでいくか」
と決まった。
12月31日、夜。
もうすぐ年が明ける。
例年通り新年の祝いとエースの誕生日を兼ねて宴の準備が着々と進んでいる中、私は1人甲板に来ていた。
毎年この日、エースは甲板で隠れるようにお酒を飲んでいるのを知っているから。
「エース」
「・・・・・・・・・ん、何だアコ?」
力なく私に笑いかけるエースが寂しそうで、胸が痛んだ。
「あ、あのねっ!?これから言うことは全部本当のことだからね?」
「・・・・・は?」
何のことだと首を傾げて怪訝な顔をするエースに私は勇気を振り絞って声を出した。
「私、エースがいつもマルコさんに悪戯するの実はちょっと応援してるんだよ」
「あ、ああ・・・ありがとな?」
「それからツマミ食いも全然来ないと寂しいし、ご飯美味しそうに食べるエースが居ないとすっごく寂しい」
「・・・・・・・・・・・・アコ?何が言いたいんだ?」
「いつも楽しそうに笑ってて、あったかくて、優しいエースが私は大好きで」
それから、と私は思い切り笑った。
「ここに居る皆もエースのこと大好きだからね!」
「・・・・・・・・・・・皆?って、え!?お前ら、何で」
言葉と同時にエースと私を囲むように現れた、
マルコさんサッチさんジョズさんビスタさんにハルタ君、イゾウさん、ととにかくたくさんの家族達。
「あと3秒だよい」
「2、」
「1、」
「せーの!」
「エース大好きだよー!!!!」
私の声に続いて、
「エース隊長!尊敬してまっす!」
「可愛い弟だよい、お前は」
「エース隊長、美味い肉持ってきましたよ!」
「食いすぎて腹壊すなよエース!」
「・・・・・・・・お前ら」
そして父さんも、
「こんだけの気配に気づかねぇかエース。まだまだ世話の焼ける息子だな・・・グラララ・・・・!」
「・・・・・・・・・・オヤジ」
日付は1月1日になった。
今年はおめでとうの代わりに、
たくさんの大好きを彼に贈ろうと。
そう、考えた。
私の考えた案は、
甲板でエースを私が引きつけてる隙に皆で囲んで、
1日になると同時に大好きと伝えること。
「・・・・・・・・ありがとな皆!よーし宴だ!!」
エースは本当に嬉しそうに笑みを浮かべて、
うおおおおお、とたくさんの声が船内に響いた。
「ほんとにありがとなアコ」
今日の大役を果たした私は調理に関わることなくお酒を楽しんでいると、エースが近づいてきた。
「お礼言われるようなことなんてしてないよ。だって全部ホントのことだもん」
本当に、大好きだから。
「・・・・・・・俺も、アコのこと大好きだ」
「・・・・・あのね?私もエースのことホントに好きだから、嫌かもしれないけど言わせて」
「ああ・・・・・そうだな、頼む」
だってこうして出会えたこと本当に嬉しいから。
感謝してるし、素敵なことだと思うから。
「誕生日おめでとう、エース」
これから毎年。
ずっと側で、
祝えたら。