短編①
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「いらっしゃいませ、ようこそこの島へ」
「ささ、美味しい食事とお酒のご用意が出来ております。どうぞこちらへ」
目の前に立ち並ぶ、美男美女。
「・・・・・・・・想像以上だった」
「船に戻るか?」
「ううん、大丈夫。行こ」
声をかけてくれたシャンクスに笑って、私達は足を進めた。
それは2日前のこと。
「アコ、次の島のことなんだが」
「うん?何?」
「少々曰くつきの島なんだ。アコが行きたくないなら通過するがどうする?」
部屋に入ってきたシャンクスが言うには、
その島に恋人同士で行くと別れるというジンクスがあるんだとか。
でもそれだけじゃなくて、
天国だ楽園だ、という人も居れば地獄だ、という何とも不思議な噂が絶えない島らしい。
美男美女の歓迎を受けるという話もある。
「確かに怪しいっちゃ怪しいけど物資調達とかもあるでしょ?いいんじゃない?」
「危険はなさそうだが…大丈夫か?」
「何かあっても皆が守ってくれるでしょ?それに美女なんて楽しみ」
「やっぱりアコは面白いな」
ということで噂通りの美男美女の熱烈な歓迎を受けている私達。
「さ、お酒のおかわりどうぞ」
「お嬢さん、甘いものはいかがです?」
シャンクスには美女が、
私にはイケメンのお兄さんが。
・・・・私も美女がいい!
「あれ」
「どうしたアコ?」
ふと周りを見渡すと違和感に気づいた。
「何か少なくなってない?」
「そうか?便所だろ?」
「そう・・・かな」
最初の頃より人数が減っている気がした。
まあでもシャンクスも気にとめてないし。
「私もトイレ行って来るー」
「ああ、迷子になるなよ」
相変わらず過保護なシャンクスに苦笑して、私は席を立った。
それから用を足して戻ろうとしたところで、
「ご案内します、お嬢さん」
イケメンのお兄さんが現れた。
私は当然さっきの場所に案内してくれるものと黙ってついて行った。
が。
「・・・・・・・・・・・・・ここ何処」
案内された場所は知らない部屋。
「お嬢さんのお相手は僕です」
は?いやいや意味わかんないし!
「さっきのとこに帰りたいんですけど」
じっと軽く睨みつければ、薄笑いを浮かべたイケメンさんはそっと私に手を伸ばしてくる。
「帰らない方がいい。彼もきっと今頃他の女と楽しんでいる頃だ」
「・・・・・・・どういう事よ」
「その間に僕がお嬢さんを楽しませうという趣向ですよ。もっと気を楽にして」
私は近づいてくるイケメンから避けながら逃げ道を探す。
ドアは完全に塞がれた。窓もない。
「シャンクスは浮気とかしない」
「あれだけの美女に言い寄られても絶対ないと?」
「・・・・・・・・・・・・む」
「彼に罪はない。仕方ないことさ。女を恨めばいい」
淡々と話すイケメンに沸々と湧き上がる怒り。
「だから私にも浮気しろって?冗談じゃないんですけど。つーか女性に罪はない!」
「は?」
「美女に罪はない。でもシャンクスも悪くない」
「・・・・・・・・・というと?」
訝しげに首を傾げるイケメンに私は力説する。
「美女を保つことがどれだけ大変かわかってる?スタイルを保つために食べたい物も我慢しなきゃいけない」
私は食べたいものを食べたいように食べる。
「化粧の仕方とか流行のファッションとか勉強して、なおかつそれを保つには相当な努力が必要でしょーが」
私にはそんなこと出来ない。
だから。
「だから美人は尊敬するべきだし、美人に惹かれるのは仕方ないと思う」
「・・・・・だが、無理やりとはいえ他の男に抱かれたお嬢さんを彼は許さないだろうね」
ああそっか。それで恋人同士で行くと別れるってジンクスがあったのか。
「そんなことにならないし」
「何故そう言える?」
さっきドアが少し開いて、影が見えたからだよ。
「理由を教えてやろう。俺が居るから、だ」
「・・・・・何故!?」
ドアがばん、と完全に開いて見えたのは赤い髪。
強い意志を宿した瞳。
「俺はアコ以外の女を抱く気はねェ」
「あれだけの美女がいても?」
「アコには勝てねえなァ」
「そんな」
シャンクスはすぐに私の側まで来てくれて。
「よし、たらふく食ったし酒も飲んだ。物資調達も終わったみてェだし、帰るぞアコ」
「買い忘れない?」
「ああ、大丈夫だ」
よしよし、と頭を撫でてくれるシャンクスにむず痒いものを感じながら私は目の前で呆然とするイケメンさんを見つめた。
「・・・・あの、何でこんなことしてるんですか?」
恋人同士を別れさせて、何の意味があるんだろうと不思議に思ってた。
イケメンさんは悲しそうに、何処が自嘲的な笑みを浮かべて小さな声で話し始めた。
「復讐なんだ、これは。ここに居る皆恋人に裏切られた。だから」
「えー勿体無い!皆美男美女なのに!島出ればモテモテなのに!」
「・・・・・そんなこと考えたこともなかった」
顔はいいのに頭が残念なのか。
と言おうとしてやめた。
・・・・・さすがにそれは失礼だ。
「仲間が全部吐かせた、恋人の居ない者が着いた場合は金品を剥ぎ取っていたそうだな」
苦笑を浮かべたシャンクスがそんなことを言うので、
「え、まさかお姉さん達に手荒なマネ」
「してねえから、安心しろ」
ほっと安心すると今度はイケメンさんが苦笑した。
「お嬢さんは本当に面白い」
そして、深々と頭を下げた。
「申し訳ないことを致しました」
船に戻った私達は改めて宴をしていた。
さっきたらふく食べて飲んだとか言ってませんでしたかね!
「で、アコの居場所を突き止めて行ってみれば女性がいかに素晴らしいかを力説してんだ」
「面白いよなあアコは」
その場に居なかったヤソップさん達に説明するシャンクス。
「あのさ、シャンクス。もし私が面白くない、普通の女になったらどうする?」
よく聞く『面白い』が気になってたので聞いてみる。
「普通の女?アコが?」
想像出来ない、とシャンクスが言うので、
「海賊さん怖いっ近寄らないで!」
と怖がってみた。
でもシャンクスは、
「だっはっは!怖がるアコも可愛いなァ」
・・・・・いや、あんたを怖がってるんですけど。
えーとえーと。じゃあ次。
「四皇さん素敵!カッコいいっ」
媚びてみる。
「そうかそうか!可愛いなあアコは」
・・・・・・・・駄目だこれ。
「・・・・お姉さん達美人だったね」
「まあ、確かに別嬪ではあったが。アコでなきゃ意味はないな」
「・・・・・・・・・・・シャンクス」
「ん?」
「ありがと。大好き」
言った瞬間その場に押し倒されて、
「どんな美人もアコの愛の言葉にゃ敵わねえよ」
いやいや、
私もあなたの笑顔には、
敵いません。