短編⑥
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「島!?島って言いました今!?」
「そうそう、島。来月から」
誰でも経験することだし、1年だからさ。
なんて笑った上司を軽くぶん殴りたい。
今いる場所から遠く離れた島への異動命令。
そりゃあ社会人だし?
ある程度の異動命令は仕方のないことだとは思うけども。
島て。
「ちゃんとスーパーもコンビニもあるぞ」
「そんなことは聞いてません・・・!」
「質問は以上か?」
「この異動を回避する方法は!?」
「子供が出来たらナシになるな」
「無理!!」
「よーし1年頑張れよ」
この世には神も仏も居ないのか。
この状況を、恋人のエースに何て伝えたらいいんだろう。
「この唐揚げんめェな!!」
「・・・・・・ねー」
「・・・・ンだよ」
せっかくのデートで、大好物の定食屋のから揚げの味がわからないレベルでは悩んでいる。
「・・・・いや美味しいよいつも通り。サックサクのじゅわあ」
「でも大盛にしなかったんだな」
「エースは特盛にしてるじゃん」
「美味いからな」
エースはから揚げもご飯も特盛。
私は両方とも並盛。
だってご飯を美味しく食べられる状況じゃないんだもの。
言わないといけない。
ご飯を頬張っているエースに。
異動のことを。
・・・・伝えたらエースはどんな反応をするだろう。
怒る?
・・・別れる、なんて言われたら。
嫌だなあ。
でもこのまま言わない訳にはいかない。
遠距離恋愛、私とエースに出来るかな。
「あ」
なんて考えてたらエースが寝た。
・・・・人の気持ちも知らないで気持ちよさそうに寝ちゃってまあ。
私はため息を吐きながら最後のから揚げを口に入れた。
・・・・冷めちゃった。
こんな風に、エースの私への愛も冷めたりするのかな。
そのあとがばりと起きたエースにいつも通りハンカチを渡して、
お店を出た。
次は甘いものかなーなんて話しながら歩いて、
こんな日常がすごく愛しいと思う。
「なあアコ」
「え?」
「やっぱ今日変だぜ?」
エースが私の異変に気付いている。
言わないと。
わかってるのに、エースの反応が怖くて。
「そ・・・そうかな?」
「何か悩み事か?」
話し聞くぜ?って心配そうに顔を覗き込んでくれるエースに胸が痛む。
「・・・実は、エースに大事な話しがあるの」
「・・・・俺に?」
「・・・・ん」
「それって良い話し・・・じゃなさそうだな」
その顔見る限り、とエースの顔色が変わった。
「・・・うん。悪い話し」
これでようやく話す決意が出来た、と腹を括ったら。
「じゃあ聞かない」
「は!?」
「聞きたくねェ」
「え!?」
何で!?
エースはくるりと踵を返して、
「悪ィ、今日もう帰るわ」
と言って私を置いて行った。
・・・・・ぽかんとするしかない私。
まだ何も言ってないんですが!?
どうするのコレ!?
私が悪い話し、って言ったから。
別れ話されると思ったのかなエース。
違うってちゃんと話したいけど。
今のエースに話してちゃんと伝わるだろうか。
・・・自信、ない。
「・・・・・で、そのままなの?」
「なの」
「ばっかじゃないの」
親友のナミに相談したら一喝された。
「向こう絶対別れ話だと思ってるわよ」
「だよね絶対そうだよね・・・!」
「早く話して安心させてあげなさい」
との締めのお言葉をもらって私は休みの日の夜、
覚悟を決めた。
事前に連絡はしない。
出てくれる保証もないし。
こうなったら突撃が1番。
ぴんぽーん、といつもより心なしか重たいインターホンの音。
数秒後に軽いへーい、という返事と共に出てきたエース。
「・・・・来ちゃった」
「・・・・・・・・マジかよ」
エースは私の顔を見てあからさまに眉を顰めた。
「あ、あの・・・えっとっ」
「俺は聞かねェ」
「聞いて!ステーキご馳走するから!」
「に・・・・肉なんかにつられねェ!!」
あと1歩!!
「別れ話じゃないから!!」
ぐい、とエースにこの言葉を突き付ければ今度はエースが口を大きく開けてぽかん。
「え、別れ話じゃねェの?」
「違います!!」
力強く否定をすればエースの強張った顔から力が抜けるのがわかった。
「・・・・・んだよ、俺ぁてっきり・・・・」
「・・・・・もう」
「・・・でも悪い話しなんだろ?」
「・・・・まあ良い話しじゃあない」
やっぱ聞きたくないって言われるかな、とも思ったけど、
「ま、いいや。とにかくあがれよ」
「え、話し聞いてくれるの?」
「別れ話じゃねェならそこまで悪くもないだろ」
意外とあっさりと話しを聞いてくれることになった。
第一関門は突破。
「じゃ、じゃあお邪魔します・・・!」
勝手知ったるエースの部屋で緊張することになるとは。
「麦茶でいいか?」
「お、お構いなく・・・」
エースが冷蔵庫から麦茶を出してグラスに注いでくれた。
まずはそれを一杯飲みほした。
「・・・おいおい。どんな話しなんだよ」
「私とエースの覚悟を試される話し」
「覚悟?・・・・アコが逮捕されるとか?」
「されんわ。遠距離恋愛になる、ってこと」
思わずツッコんだ後すべてを話した。
「・・・エンキョリ?」
怪訝な顔で首を傾げるエースに詳しく説明。
「島に異動命令が出たの。来月から、1年」
「・・・来月から、1年・・・・」
「・・・・・簡単に会えなくなっちゃう」
「あー・・・まあそれは確かに良いこととは言えねェけどな」
難しい顔でエースは首をぽりぽりと掻き、
「大丈夫だ。電話もするし会おうと思えば会えない距離じゃねェよ」
「エース・・・!」
私を安心させるように笑いかけてくれた。
この笑顔に私は何度も助けられてる。
「心配なら俺もそっちついていくし」
フッ軽過ぎるエースが頼もしっ過ぎる!
「な・・・何でそこまで・・・!」
「決まってんだろ。アコが好きだからだよ」
だから別れたくないんだっての、と少し怒ったように言った。
「・・・・・私も、好き」
大好き。離れたくない。
「大丈夫だ。1年なんてあっという間だから。な?」
「・・・うん」
頑張る。この人の為に。
そうして私は笑顔で島へ向かうことが出来て、
なんと半年で戻ることになりました。
(妊娠してたことが発覚しました)
エースは私が戻ることとその理由にとんでもなく驚き、喜んでくれた。
