短編①

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名前


昔々、あるところに白雪姫と呼ばれる程美しいお姫様がおりました。

姫の名前はアコ

白雪姫には血の繋がらない母が居ました。

白雪姫の母・・・・后の、、ドクトリーヌは毎日のように魔法の鏡に尋ねます。

「ひーっひっひ!ハッピーかい?」

じゃなくて、

「この世で1番美しいのは誰だい?」

と。

鏡の答えはいつも同じ。

「勿論、お后様で御座います」




今回も、そのはずでした。

しかし鏡の答えは違っていたようです。



「この世で1番美しいのは白雪姫です」

「・・・・・・・・何だって?」

お后様は声を荒げます。

「お前今まで1番美しいのは私って言ってなかったかい?」

「・・・・・だってお后様が脅すから」

「白雪姫が1番美しいだって?そりゃあ気に入らないねえ」

「白雪姫に何かしたら、赤犬に噛まれますよー」

鏡の忠告も聞かず、お后様は、

「狩人を呼んで亡き者にしてやるさね!」

ひーっひっひっひ!と、
不気味な笑い声がお城に響きました。










「俺はスーパーな狩人だぜ!」

「こんにちは、スーパーな狩人さん。私に御用?」

命令を受けた狩人に呼び出された白雪姫。

パンツ1枚の狩人に何の疑問も持たず、白雪姫は普通に会話しています。

「アウ!后にあんたを殺されるように頼まれてんだ。悪いが死んでもらうぜ!」

狩人の残酷な宣言に、白雪姫はにっこりと愛らしく微笑み、

「嫌です」

短く一言。

「嫌って言われても、肺と肝を持って来いって言われてんだ」

「・・・・・・・・この近くの森に、猪がたくさんいるのを狩人さんはご存知?」

「猪ィ?」

「それがとーってもすばしっこくて、捕まえられないんですって。でもその猪で猪鍋したら美味しいと思うの」

「猪鍋か・・・!美味そうじゃねえか!」

「良かったら、案内しますよ?」





という訳で白雪姫の案内で、
森まで来た2人。

早速1匹捕まえた猪を解剖してもらい、
白雪姫は狩人にそれを持たせました。

「うぅっ、何て可哀相な身の上だったんだアンタ・・・!!」

白雪姫が自分の状況を説明すると、
狩人は泣いて同情してくれ、
白雪姫を逃がしてくれました。



白雪姫は、

自分の命が狙われていることを薄々感づいていました。

逃げなきゃ、と必死に山を2つ越え、
白雪姫はとある小さな小屋にたどり着きました。


「・・・・・・・屋根があれば」

少なくとも雨風が防げればいい。

今は。

猪とはいえ肺と肝を持っていけば、数日は誤魔化せる。

そう信じて。

誰か・・・・居るのかな、この家。

コンコン、とドアをノックしてみますが、返事はありません。

どうしたものかと迷った末、

「・・・・・・・お邪魔します」

白雪姫はそーっとドアを開けました。

家の中には、小さな家具が揃っていました。

「・・・・・・・・・もしかして、住んでるのは小人?」

家の中を見渡してみても小人の姿はありません。

どうしよう、と迷ううちに白雪姫は歩き疲れによって眠ってしまいました。

その数分後、この家の住人、小人達が帰ってきました。

金髪の小人が、まず最初に白雪姫に気づきました。

「俺達の家に不法侵入とはいい度胸してるよい」

「不法侵入?・・・・って女じゃねェか」

次に黒髪の小人が。

「こんな山奥に女の子?・・・ってお姫さんじゃん」

続いて、リーゼントの小人が入ってきました。

「姫?こいつが、かい」

「・・・・・・・・可愛いなこいつ」

「惚れんなよエース。白雪姫だぞ、あのでっかい城に住んでる」

「何でその白雪姫がここで寝てんだよ?」

「確かお后さんに命狙われてるって噂があったな」

小人達は話し合い、朝になるまで起こさないであげよう、ということになりました。

次の日の朝、

白雪姫が目を覚ますと小人達が朝食の準備をしているところでした。

「いい匂い・・・・じゃなくて!」

寝起きの頭で今の状況を思い出した白雪姫。

「よく寝れたか?」

「ひゃあ!?こっこここ小人さん!?」

「おう、俺はエースだ!よろしくな、姫さん」

「あ、私は白雪姫と呼ばれているアコと言います・・・・・っじゃなくて!」

白雪姫じゃ慌てて、

「私知らない方の家に勝手に入り込んだ上眠っちゃって・・・!!何て失礼なことを!」

ごめんなさい、と頭を下げた。

「あんた、命狙われてるんだろ?気にすんなって」

それから、エースという小人が他の小人達を紹介してくれました。

マルコ、ジョズ、サッチ、ビスタ、ブラメンコ、ラクヨウ。

7人の小人達が、仲良く暮らしているようです。

「俺達はこれから外に出て稼がなきゃならねェんだよい。だからあんたが家のことをやってくれるんならここに居てもいい」

「・・・・・・いいんですか?」

「じゃあ俺も残る」

エースが白雪姫と一緒に家に残る、と言い出しました。

「何言ってんだいエース。お前も働け」

「今までは俺達が分担してやってたことだろ?それをお姫さん1人にやらせるのは酷いんじゃねェかマルコ」

「・・・・・・・仕方ねェよい」

渋々頷いたマルコにエースは満面の笑みを浮かべ、

「2人で頑張ろうなアコ!」

「こちらこそ、よろしくねエース」

小さい手と大きい手で握手を交わした2人。

それからエースと白雪姫以外の小人は働きに出かけ、2人で仲良く家事をこなしました。

「エース、これはどうすればいい?」

「ここはこうすんだよ、ほら」

「・・・・エースって器用だねえ」

アコは不器用だよなァ」

「・・・・迷惑かけてるってことは理解してる」

「俺が側に居れば問題ねェ。だろ?」

「・・・・有り難う、エース。貴方が居てくれて心強いわ」

おやおや、何だかいい雰囲気。

ところが、

「悪ィアコ、夕飯に使う材料取りに行かなきゃいけねェんだ」

「うん、行ってらっしゃい」

「城の奴がお前を探しに来るかもしれないからな、絶対俺達以外はドアを開けんなよ」

「わかったわ」

白雪姫は頷いて、エースを見送りました。




その頃、お城では。

「鏡よ鏡、この世界で1番美しいのは誰だい?」

「山の向こうに居る白雪姫です」

「・・・・・・・・・なんだって?」

お后様が鏡に尋ねて、

鏡は何と白雪姫が生きていることも、場所も正直に言ってしまいました。

このお馬鹿。

それを聞いたお后様。

良からぬことを企んだようです。






再び戻って、小人の家では。

白雪姫は真面目に掃き掃除中。

その時、

ドアの戸を叩く音が。

「・・・・・・・どなた?」

「ハッピーかい?綺麗な胸紐を持ってきたんだ、開けとくれ」

何と白雪姫、ドアを開けてしまいました。

「まあ、綺麗」

「ほら、つけてやるさね」

小人の家にやって来た老婆はそう言って、白雪姫の身体に胸紐を巻きつけて、

ぎゅ、っとキツく締めました。

「・・・・・くっ」

白雪姫は苦しさのあまり、倒れてしまいました。

「ひーっひっひ!これで白雪姫も終わりだねえ」

醜い老婆に化けたお后様。

高笑いをしながら去っていきました。


倒れた白雪姫を見つけたのは、
エースでした。

アコ!?」

「・・・・・・ん、エース?」

白雪姫は気絶しただけでだったようです。

「お后が来たんだな!?誰も入れるなって言っておいただろ?」

「そっか、あれがそうだったのね・・・ハッピーかい?が口癖だって知ってたのに」

気づけよ。

というツッコミを抑えて、エースは白雪姫を抱きしめました。

「とにかく、無事で良かった・・・!」

「エース・・・・・」

エースの優しい言葉に、白雪姫は反省しました。

「いいかアコ、絶対誰が来ても開けるなよ」

「・・・・・・・・わかった。約束する」



そして、約束を交わした2人。


果たして白雪姫は同じ過ちを繰り返さないのでしょうか!?




「この世で1番美しいのは、白雪姫です」

「まだ生きていたのか・・・・私としたことがツメが甘かったみたいだねえ」

お后様、まだ白雪姫を殺すことを諦めていないようです。






「じゃあ俺達は行くよい」

「はい、行ってらっしゃい」

「お前も来るんだよいエース!」

「嫌だ!アコが心配じゃねェのか!」

白雪姫が心配で、

残ると言い張るエース。

「誰も家に入れなきゃ大丈夫だろ?」

「サッチの言う通りだぞエース」

「ほら、行くぞエース」

ジョズや他の小人に言われて、

「・・・・・・・・・・わかったよ」

渋々エースは頷きました。

「ちょっと寂しいけど・・・頑張って、エース」

白雪姫の笑顔と言葉に、
エースは嬉しそうに笑って出て行きました。

くれぐれもドアを開けないようにと念を押して。

そしてやはり、お后様はやって来ました。

「お嬢さんお嬢さん、今日は素敵なクシを持ってきたよ。開けておくれ」

「ごめんなさい、ドアを開けることは出来ないの」

「お前さんも女なら髪を綺麗にしたいだろう?」

「それなら大丈夫。エースが綺麗にとかしてくれるから」

「・・・・・・・・何だって?」

「エースが私の頭に登って、優しくとかしてくれるの。とても気持ちがいいのよ」

白雪姫の頭によじ登り、エースが髪をとかしてくれるのでした。

その時エースはバレないように白雪姫にキスをしているとか、していないとか。

「しかし、可愛いクシなんだがねえ」

「エースの方がきっと可愛いわ」

うっとりと語る白雪姫に、お后様もついに諦めた様子で、

「そうかいわかったよ。・・・若さの秘訣を知りたいのかい?」

「いいえ、興味ないわ」

「・・・・・・・・覚えておいでよ」

不気味な言葉を呟き、帰って行きました。





夕方になり、真っ先にエースが帰ってきました。

アコ!無事か!?」

「おかえり、エース。誰も中に入れなかったよ」

白雪姫がエースを出迎えると、

「よし、偉かったな」

エースがよじ登って白雪姫の頭を撫でてくれました。

昨日エースが抱きしめてくれて、
どんなに心配をかけたか身に沁みたから。

だから今日は絶対に約束を守ろうと心に決めていたのでした。

「明日も絶対にドアを開けるなよ?」

「うん、勿論」

白雪姫が頷くと、エースがその白い頬にちゅ、と口付けました。

「・・・・・・エース恥ずかしい」

「俺が居る間は絶対俺が守ってやるから」

「・・・・うん」

真っ赤に染まった頬に、

全身真っ赤なエース。

そんな2人を見ながら他の小人達はやれやれと揃ってため息を吐くのでした。





そして、次の日。


「行って来るな、アコ

「行ってらっしゃい、頑張って」

同じように仕事に出掛ける小人達を見送った白雪姫は、掃除洗濯洗い物、と家事をこなしていました。

そこに、

「お嬢さん、美味しいリンゴはどうだい。栄養もあるよ」

「ごめんなさいね、ドアは開けられないの」

「こーんなに艶々して美味しそうなリンゴなのにねえ」

お后様の言い方に白雪姫は心が揺れました。

でも、

エースとの約束は守る。

そのことだけは心に固く決めていました。

しかしそんな心をも見透かしているかのように、お后様は語りかけます。

「こぉーんな美味しいリンゴ、エースとやらが食べたら喜ぶだろうねえ」

「・・・・・・・・でも私はお金を持っていません」

「お金なんかいらないよ」

「なら、尚更もらえません」

「タダでやるのがいけないってのかい」

「商売をする気が本当にあるのならお金はもらった方がいいわお婆さん」

無料ほど高いものはない、と白雪姫は知っていました。

「小生意気なこと言うじゃないか。だがね、このリンゴを小人が食べたら喜ぶんじゃないかい」

「・・・・・・・・・え、」

「どうせ残り少ないんだ、これさえなくなれば私は仕事を終えて帰れるんだよ。人助けじゃないか」

「・・・・・・・・・・・・それは」

「それに小人が喜んでくれるなら、ますますいいことだ。違うかい?」

違わない。

食べ物なら、きっとエースだって他の皆だって喜んでくれる。

白雪姫の心は揺れ、

そしてついに。

「・・・・・リンゴ、頂きます」

白雪姫は再びドアを開けてしまいました。

その瞬間を狙って、

「まずはお前が食べな!」

お后様が無理やり白雪姫の口にリンゴを突っこみました。

突然のことに白雪姫は慌ててしまい、

飲み込んでしまいました。

そしてそのまま、ばったりと倒れてしまったのです。

「毒入りリンゴはさぞかし美味かったろうねえ白雪姫、これで今度こそ私が1番美しい!」

倒れた白雪姫に高笑いを残し、
お后様はご機嫌でお城に帰りました。







昨日は約束を守った白雪姫、と安心していた小人達は家に帰って驚きました。

「学習能力ってもんがねえのかいこのお姫さんは・・・!」

アコ!何で・・・・!!」

「息、してねえよ・・・・」

小人達は悲しみました。

特にエースの悲しみようとういったら、

他の小人たちがかける声もないほどでした。

「せめてガラスの棺に入れて埋めてやろう。な、エース」

「いい子だったのになぁ、白雪姫」

小人達は力を合わせて白雪姫をガラスの棺に丁寧に入れて、

景色のいいところまで運ぶことにしました。

小人達がせっせと白雪姫を運んでいる途中、

隣の国の王子様が馬に乗って通りかかりました。

「お、その棺の中の女の子可愛いなァ」

「赤髪・・・てめェ何してんだよい」

「この辺に美味い酒があるって聞いてな。それより、その棺の中の女の子は白雪姫だろう?」

「だったら何だよ」

「俺の嫁にする。だいたいこうのってアレだろ?キスすりゃいいんだろ?」

赤髪王子の適当な台詞に怒ったエース。

「っざけんな!見ず知らずの男にそんなことさせっか!」

エースのお怒りもごもっともでしょう。

「んなこと言ってたら彼女助からないだろ」

「俺がする!」

勢い余って、エースが叫びました。

皆が唖然とする中、エースは棺を開け、

目を閉じている白雪姫に、そっと口付けました。

すると、

「・・・・・・・・・・・っ、ごほ、ごほっ」

何と白雪姫が息を吹き返しました。

アコ・・・・!?」

白雪姫の口からは、リンゴの欠片。

毒で倒れたのではなく、リンゴの欠片が喉に詰まっていたようです。

それをエースがキスしたせいなのか偶然なのか、欠片が取れた様子。

「・・・・・・・・・・・・・エース?」

アコアコ・・・・っ」

その様子を見て小人達はほっと安堵し、
通りすがりの赤髪は王子は苦笑。

「んじゃま、俺は新たな酒探しに行くとするかね・・・・」

そう言って赤髪王子は去って行きました。

「私・・・・エースに美味しいリンゴ食べさせたくて・・・・ドア、開けちゃって」

意識を取り戻しら白雪姫の泣きそうな言葉に、

エースが1つの決意をしたようです。

アコ!俺達とずっと暮らそう!俺が幸せにするから!」

「エース・・・・・・」

白雪姫は、

顔を真っ赤にして、

ゆっくりと頷きました。







こうして白雪姫は、

エースとその他の小人達と共に幸せに暮らしましたとさ。








ちなみにお后様は、

1番の美しさを諦め、持っていた医術を生かして人々を助けるようになったとのこと。







めでたし、めでたし・・・・・・?


















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