短編⑥
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1週間ほど前、私は好きな人に告白をした。
クラス・・・いや高校の中でもトップクラスにモテる人に。
勿論玉砕覚悟。
返事はいつでもいいと言い逃げしようとしたところ、
首根っこを捕まえられて、
いや俺も好きなんですけど。
とお返事を頂いた。
信じられないことに、
私はポートガスDエース君と見事両想いになった訳で。
そりゃあ舞い上がりもする。
恋人になったからには、色々あるよね。
帰り道にデートしたり、お互いの家に遊びに行ったり。
手を繋いだり。
あとエース君ファンの女の子に呼び出されていじめられたり。
まあそんなことを諸々覚悟してた訳ですが。
おかしいな!?
私は何故今この瞬間も1人で帰路に着いているのでしょうか!?
手を繋ぐことはおろか、
2人で帰るなんて夢のまた夢なのは何故でしょうか!?
時間があればクラスで話したりはするけど、
居たって普通の世間話だし。
まあそんなだからエース君ファンの女の子から呼び出しどころか、
睨まれることもない。
俺も好き、って聞いた気がするのは気のせいだった?
私の願望からくる幻聴だったのかな!?
両想いになって1週間。
・・・・何もないのは、
エース君が本当は私のことなんか好きじゃなかったから?
いやいや早まるな私。
エース君は忙しいのだよ。
私が理解してエース君を支えてあげなければ。
そう自分に言い聞かせて、
明日こそは・・・と眠りについた夜。
「・・・・さいっあく」
よりにもよってエース君に別れてくれと言われる夢を見てしまった。
何ということ。
この夢を正夢にさせる訳にいかない。
「エース君今日一緒に帰りたい・・・・っ」
なので勇気を出して誘ってみた。
エース君はきょとんとしながらも、
「悪ィけど俺今日も部活あって遅くなるから」
とお断りを入れてくる。
いつもならここでわかりました、と下がる私、
今日はここでおめおめと引き下がる訳にはいかない。
「待ってちゃダメ?」
「ダメじゃねェけど・・・いいのか?」
「エース君が嫌じゃなければ!!」
「おし、じゃあ一緒に帰ろうぜ」
ごり押しすれば満面の笑みで頷いてくれたエース君に安堵して、
「有難う待ってる・・・・っ」
楽しみ過ぎて浮かれてしまう。
とりあえずエース君の部活、バスケ部での活躍を拝見。
黄色い悲鳴のほとんがエース君へのものだと思う。
ほんっとカッコいい。
不意にエース君と目が合った。
「あ」
っと思ったら、にこり、と微笑みかけてくれたエース君。
良かった、これならあの悪夢が正夢になることはなさそう。
いよいよ始まるのね私とエース君のラブラブな物語が!!
「悪ィ待たせた!」
「大丈夫、全然待ってないよ」
両想いになって初めての下校イベント!!
期待に胸をときめかせていたのは最初の5分。
話すことはといえばいわゆる世間話ばかりで、
まあこれはこれで楽しいんだけど。
・・・・私たち恋人よね?
という疑問が沸き上がる。
いやでもまだ付き合い始めて1週間だしこんなもの、かも。
せっかく2人きりなのに。
「エース君今度の日曜日予定なかったら遊びに行かない?」
思い切ってデートのお誘い。
告白の時と同じくらいの勇気を出した。
けど、
「あー悪ィ、日曜は予定が」
「あ、大丈夫。全然、大丈夫」
玉砕。
仕方ない、予定があるならと笑ったら、
「じゃあ俺こっちだから。またな!」
と爽やかな笑顔を残してエース君は去って行った。
まあまだ1週間だし!
これからゆっくり進んで行けばいいよね!
と思いながら1か月が過ぎた。
あっという間だった。
何もなかった。
たまに私から声かけて一緒に帰ること以外は。
友人に相談してみても、
一緒に帰れるならいいじゃんまたデート誘いなよ。
で終わりだし。
・・・もう1度好きだと伝えたら彼はどんな顔をするんだろう。
俺も好きだと言ってくれるかな。
なんてモヤモヤしながら何度目かの一緒の帰り道。
「腹減ったな」
とエース君。
「部活終わりだもんね。何か食べて行く?」
と聞いてみれば途端に目を輝かせた。
「行こうぜ!俺美味いラーメン屋知ってんだ!」
ラーメン!?おやつがラーメン!?
でもせっかくのお誘いをお断りなど出来ぬ!
「行く・・・!」
小腹がすいた、とお店に案内してくれたエース君は、
ラーメンと餃子とライスを頼んでいた。
小腹とは。
「アコラーメンだけか?」
「このあと夕飯もあるからこれで満足・・・!」
「俺の餃子も1コやるよ、ほら」
「有難う・・・!」
勿体なくて食べられない!食べるけど!!
「ん・・・美味しいね!?」
ラーメンだけでもお腹いっぱいなのに、と思ったけど餃子は野菜が多いからかあっさりめで。
「だろ!?アコなら気に入ってくれると思ってた」
「エース君の選んだものに間違いはないね・・・!」
「じゃあ今度は定食屋行かねェ?」
「行く!」
勢い良く返事をしたところで涙がぽろぽろと零れ落ちた。
「え・・・な、なんだどうした!?」
嫌なら嫌でいいんだぞ、とエース君が慌てふためく。
「むしろこれは嬉し泣きです・・・!」
「嬉し泣きィ!?」
「恋人っぽい・・・!」
学校帰りに2人で寄り道してご飯なんて幸せ過ぎる!!
太るかもとかそんなことはもうどうでも良い。
この状況が!幸せ!
「こんなんで、いいのか?」
「いい・・・!嬉しい!」
大きく何度も頷いたらエース君がこれ以上ない程の満面の笑みを浮かべた。
「じゃ、じゃあこれからも誘っていいんだよな!?」
「勿論!!」
「じゃあ・・・・帰り、手繋いでも、いい・・・か?」
顔を真っ赤にしたエース君が意を決したように呟いた。
「喜んで・・・!」
これが夢なら覚めないで欲しいって思ったけど、
口の中に残るにんにくの香りは間違いなく現実。
「実はアコと付き合うことになったって言ったらサボのやつが色々言って来たんだよ」
とエース君。
聞けば女の子と付き合うならラーメン屋はダメだとか俺たちと同じ感覚じゃダメだとか、
お前は力加減が出来ないから手は繋ぐなとか色々言われてたらしい。
それで進展がなかったのね・・・!
「浮気じゃなければどんと来いだよ!」
中途半端な覚悟でエース君を好きになった訳じゃないからね!
と伝えれば、
「好きだ、アコ」
真剣な瞳に見つめられて。
破壊力よ・・・!
「私も好きぃ・・・・!!」
帰り道は手を繋ぎました。
