短編⑥
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大変なことになった、と言うべきか。
厄介なことになった、と言うべきか。
喜んでいいのか。
悲しむべきか。
何にせよ周りからの視線が痛い。
買い出しに、と立ち寄った小さな島。
けれど小さいなりに立派に食べ物も揃ってるし、
泊まるところもお酒を十分に飲むところもある。
と言う訳で、昼間のうちに買い出しを終えて暗くなった頃、
お酒を楽しめる場所に来てみたんだけれども。
私は何故か、
6人程の女子に囲まれている。
しかも皆結構な美女。
何でもこの島には女子が少ないらしく、
「きゃー女の子ぉっ珍しいっ可愛いっ」
から始まり、あっという間に囲まれ、
一緒に来たお頭は蚊帳の外。
そして困惑しながらも楽しくお酒を飲んでいるうちに話しの流れは恋愛の話しに。
「一緒に来た人恋人?」
え、嘘。
四皇知らないの?
かと思いきや、
「いいなあ四皇が恋人とかぁ」
あ、知ってた。
「いや別に・・・恋人とかじゃ、ないです」
「えーじゃあ好きな人は!?クルーの中に居るの!?」
お頭からの視線が痛い。
ものすごく痛い。
いやでもあのお頭がよく黙ってるものだ。
「いや別に好きな人とかは・・・」
「嘘ー!私さっき見たけどかっこいい人いっぱい居たよぉ」
「だ、誰ですかね・・・例えば」
「副船長さん!」
あー確かにベックさんはイケメンだけれども。
でもそんなことを言おうものなら、
または頷こうものなら後ろのお頭が黙っちゃいないと思う。
「あー優しいですけど煙草臭いですよ」
とりあえず無難な言葉にとどめておく。
「抱きしめられたことある!?」
ある訳あるかぁ!!
「ないです!!」
女子って恋バナ好きだよね・・・!!
お頭にそろそろ助けて、と意味をこめて視線を送れば、
肝心のお頭はにこにこと上機嫌でこちらを眺めている。
・・・・楽しんでるなこの人。
「じゃあどんな人がタイプなの?」
「どんな人って・・・・」
どんな人だろう!?
「・・・・ちゃんと言葉にしてくれる人、とか」
そう答えた瞬間、
「この後俺と飲みなおさない!?」
「いや俺が色々案内してあげるよ!」
「何言ってんだ、俺の方が詳しい!!」
と、今まで店に居たお客さんの男性がたが一気の押し寄せてきた。
何!?何事!?
「この島女の子少ないじゃない?だからモテるのよ」
女の子たちがケラケラと笑った。
いや笑ってる場合じゃないぞこれは。
「そこまでだ」
「あ」
案の定お頭が立ち上がって私の腕を掴んだ。
「悪いがこれ以上は見逃せねェ」
「あー・・・・すみません、ひとまずここらでお暇させて頂きます・・・」
さすがに四皇に立ち向かう勇敢な者はいない。
ご馳走様でした、とお店を出た。
「えと、すみませんでした・・・」
「何の話しだ?」
「お頭をのけ者にして」
拗ねてるかと思いきやお頭はあっけらかんと、
「いや、楽しかった」
と笑った。
・・・・この言葉が本心かどうかはわからないけど。
「まあそう言ってもらえたなら・・・」
「実のある話も聞けた」
「え、そうですか?」
「アコのタイプの男の話しとかな」
「忘れてください!!」
1番忘れてて欲しいことを!!
「しかしそうか、はっきりと伝えたつもりだったんだがな・・・」
お頭がぽつりと呟いた。
「・・・・何がですか?」
でもその言葉は曖昧過ぎて良くわからない。
「こっちの話しだ。本当にベックに抱きしめられたことはないんだな?」
「ある訳ないじゃないですか」
「他のクルーには?」
問われてふと考える。
その沈黙をどうとったのか、
ぴりりと肌が痛んだ。
「誰だ」
地を這うような低い声。
「いや居ないです。一瞬考えたけどそんな経験お頭以外にいません!!」
「・・・・そう、か」
「そうですよ。お頭からしかセクハラされたことはないです」
「セクハラした覚えはねェんだが」
お頭は顎に手をやりまじまじと私を見つめた。
「もっと自覚してください・・・」
「愛情表現だろ?」
「ええ・・・・」
ものは言いようよね、なんて考えていたら、
「それとも・・・嫌だったか?」
それなら控える、と少し寂し気にお頭が苦笑した。
「お酒臭い時はちょっと嫌でした」
正直に言ってみたら、お頭がゆっくりと頷いた。
「わかった。考慮しよう」
・・・言ってみるもんだなあ。
まあどれだけ本気かはわからないけど。
「とりあえずレッドフォース号で飲みなおします?」
「そうするか」
てくてくと歩いていたら、
お頭が手を繋いできた。
「な・・・何事ですか?」
「繋ぎたいんだ。ダメか?」
「もしかして結構飲みました?いいですけど・・・」
「酔っちゃいねェ」
「・・・・はあ」
「言っただろう?お前と手を繋ぎてェのさ」
「いいです、けど」
甘えたいのかな。
「帰ったらさっきの話しの続きを聞かせてもらおうか」
「さっきの話し?」
「アコのタイプの男の話しさ」
「だから忘れてくださいって・・・」
言いかけたら、不意に手を引かれた。
目の前にはお頭の厚い胸板。
「生憎と忘れるつもりはない。今夜中にアコを落とすつもりだからな」
「・・・・・は?」
「今までは遠慮してたがこれからははっきり言わせてもらう」
「え」
遠慮してたっけ!?誰が!?誰に!?
「覚悟しとけよ?」
「は・・・・・はい・・・」
「楽しみだなァ、恋バナ」
私はもう2度とこの島に来たくない。
