短編⑥
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「ぷはぁッ!!」
真夜中の、静かな甲板、ど真ん中。
お酒を煽って空を見上げた。
今日は満月だ。
空も綺麗。
・・・・今日も、よく働いた。
久しぶりに戦闘があったせいか、
宴がいつもより盛り上がったせい。
勿論余裕の勝利だったし悪いことじゃないんだけど、
ちょっと疲れた。
だから今この時間は、私のご褒美の時間。
これで明日も頑張れる。
「こんな時間にこんなトコで1人酒かよ、アコ」
頭上から声が降ってきて、
思わず見上げればエースが私のお酒とおつまみをガン見していた。
「・・・食べる?」
「いいのか?悪ィなァ、ちっとだけ」
声をかければ遠慮なく、とツマミのポテトサラダを大きい口でぱくり。
「小腹がすいたの?宴の時も食べたんでしょ?」
「もう2時間も前だぜ」
「まだ2時間なんですけど」
「細かいことはいいじゃねェか。んなことよりアコはどうしたんだよ」
エースは私の隣にどかりと座り込むと、心配そうに顔を覗き込んできた。
「今日忙しかったから、今ゆっくりしてるとこ」
「そんだけか?」
「それだけ。しいて言えばご褒美?」
「ご褒美?」
「そう。綺麗な月の下でゆっくり1人酒」
今日は満月だし、とエースを見ればエースの顔が固まってた。
「もしかして俺邪魔だったか?」
困惑してるような、何処か悲しそうなエースの顔にしまった、と思うももう遅い。
「ん-ん。そろそろ寂しいなって思ってたとこ」
「・・・・ほんとか?」
「ホント。皆寝ちゃってるし」
「じゃあ俺ここに居ていいのか?」
「勿論。一緒に月見酒しよ」
「・・・グラス、ねェな」
「ラッパ飲み推奨」
「アコもう飲まねェの?」
「もうこんな時間だしね、これで十分」
エースは一瞬躊躇した様子を見せた後酒瓶を手に取り、
「んじゃ、乾杯」
「乾杯」
月夜の下、
美味しいお酒とお肴で2人が酌み交わすのは他愛もないことで。
「今日の戦利品いいのあった?」
「あんまいいのなかった、って皆がっかりしてたぜ」
「それは残念」
「宝石とかはまぁまぁあったみたいだけどナースたちに持ってかれたんじゃねェか、たぶん」
「あーさっきいくらで売れるかみたいな話ししてたかも」
「売るのかよ」
「売るでしょ。私もちょっと欲しかったなー」
「でも売るんだろ」
「売りますよ」
なんて2人で笑い合って。
「そういえばエース今日マルコさんに呼ばれてたよね」
「ああ、この間のがバレた」
「この間のですべてを理解してしまう私のすごさよ・・・」
「今度はアコも一緒にやろうぜ」
「嫌だよ私も怒られちゃうじゃない」
「怒られればいいだろ」
「いーやーでーすぅ」
「はははっ、ケチだな!」
お互い少し酔ってる状態で。
楽しくて。
「そーいえばエースは、さぁ」
「んー?」
好きな人居るの?
と声が出そうになった。
あ、やばい。
心が開放的になり過ぎた。
「・・・何でもない」
「何だよ悩み事か?」
居るの、っていうか誰?って聞きたいのが本音。
だってこの間ナースさん達が言ってるのを聞いてしまったから。
エース隊長も好きな人の前では可愛いわよねーって。
「・・・・エースは」
「・・・・ん」
「・・・・・・・・・最近どう?」
勇気は、出なかった。
「ははっ、何だそりゃ。別に普通だけど」
「そ、そっか。何か楽しいこととかあった?」
「楽しいこと?そりゃ今だな」
「今?」
「こうしてアコと2人で月見酒。楽しいに決まってんだろ」
エースのこの、本当に楽しそうな満面の笑顔を見せてくれるのが私だけにならいいのに。
「私も今、すっごく楽しい」
「そんで?」
「・・・・へ?」
「何か言いたいことあんだろ、ホントは」
・・・ずるい。
普段鈍感なのにこんな時に限って鋭いなんて。
こんな時に限って、しつこいなんて。
「・・・・エースの、好きな人って誰?」
もう誤魔化せないと悟って覚悟を決めた。
エースは目を丸くさせて一瞬沈黙。
そして、
「・・・俺アコに好きなやついるって言ってねェよな?」
頬を赤くさせて静かに聞いてきた。
「ナースさんたちが、言ってた」
どくん、どくんと鼓動が高鳴る。
「あー・・・・」
エースは少しだけ躊躇いを見せた後、ごほんと咳ばらいをした。
「今から俺が言うことは酔っぱらいの戯言な?」
「え」
「明日ちゃんと言うから今は聞き流しとけってこと」
「わ、わかった・・・」
困惑したまま頷けばエースが満足そうに笑った。
「俺はこんな月が綺麗な夜に好きでもねェやつと2人だけで飲んだりしない」
「・・・・・へ?」
「ま、そういうこと」
「どういうこと!?」
「言っただろ?明日ちゃんと言うって」
「え、あ、そ・・・・」
そうだけど!
「じゃ、そろそろ寝るかな。アコも早く寝ろよ」
そう言って背中を見せたエースの耳は真っ赤で。
それはお酒のせいなのか、
別の理由なのか。
そよ風が頬に当たって思わず空を見上げた。
変わらない満月。
もし次に2人で月夜の下で語らいをするならその時はたぶんきっと。
恋人同士で。
