短編⑥
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時が過ぎるのは早いもので。
私は40を過ぎた。
この間生まれたばかりだと思ってた甥ももう小学生らしい。
両親からの結婚はまだかと急かされることもいよいよなくなった。
結婚はもう諦めた。
・・・・というのに、
人生と言うのはおかしいもので。
「俺が結婚してやるよ」
「あんたは可愛げを何処に置いてきたの?願い下げよ」
諦めてからこのかた、何故か告白されることが増えた。
しかも、年下の男に。
まあ別に相手が年下でも構わないんだけど、
私に告白してくるのは何というかこう、私とは合わないタイプばかりで。
辟易してしまう。
「また告白されたとか」
「そう。告白っていうかプロポーズ」
「それはそれは。参考までに聞かせてもらっても?」
同じ独身仲間であり、3つ下の後輩のシャンクスは私の話しを楽しそうに聞く。
後輩のシャンクスと一緒にお昼休憩をとるのはもはや日課になってる。
「俺が結婚してやるよ」
「・・・・で、アコさんは何て?」
「可愛げを何処に置てきたのか聞いてやったわ」
そのままに答えればシャンクスが大爆笑を始めた。
「なるほど、可愛げのある男がお好きですか」
「別にそういうんじゃないけど・・・あのコまだ20代よ」
20代ならもう少し可愛くてもいいんじゃない?
「そりゃあ確かにそうだ。なら、30代の男なら?」
「あったら可愛いかもしれないけど」
困惑しながら答えればシャンクスが苦笑を浮かべた。
「生憎と可愛げはないが俺も立候補しても?」
「・・・・・何に?」
「アコさんの結婚相手に」
そして、にこりと微笑んだ。
・・・・冗談、には見えないところが怖いんですけど。
「シャンクスなら相手はよりどりみどりでしょ?」
「俺は選びたい訳じゃない、選ばれたい方なので」
「モテる男は言うことが違うわね」
「何とでも批判はお受けしますよ。それで?」
「え」
「何ならこのまま婚姻届けを出すのも俺は一向に構いませんが?」
「私が構う。まず状況の理解が追い付いてないの。ちょっと整理させて」
「勿論、返事はいつでも」
まず状況を整理させろって言ってるのに。
えーつまり、つまりよ?
「・・・・シャンクスは私のことが好きなの?」
「愛してる、と理解して頂きたい」
「本気?」
「信じられないなら信じてもらえるまで示しますが」
「遠慮するわ。今のところ誰とも結婚は考えてないの、悪いけど」
「年上が相手でも?」
「でも、よ」
「俺に可能性はゼロではない、と?」
「・・・・まあ、それはそう」
年下、と言ってもこの歳にもなればたかだか3つ差。
たいした差じゃないと思う。
それにシャンクスは今まで告白してきた面々と違って常識もあるし、
気も合う後輩。
1を教えれば100理解するくらいの頭脳もある、と思う。
でも1つ言うことがあるとすれば、
タイミングが最悪だ。
「ならまずは今度の日曜のお誘いをしても?」
「受けるかどうかは場所次第」
「勿論お望みの場所へエスコートを」
「じゃあ美味しいパスタのお店に連れて行ってくれる?」
「パスタを?そりゃあ勿論」
「お洒落なお店で麺は大盛無料でデザートセットのあるお店」
「お望みのままに」
なんて甲斐甲斐しくお辞儀をしたシャンクスに、
「会計は勿論割り勘のつもりで来て」
「いや、誘った方が出すのは当然で」
「それなら行かない」
ぴしゃりと釘を指せば苦笑を浮かべたまま頷いた。
「パスタで好きなのは?」
「割と何でも好きよ。ナポリタンでもカルボナーラでもペペロンチーノでも」
「了解」
「あとはお任せしていいかしら」
「勿論お任せを」
「・・・・じゃあ、よろしく」
って訳でまさかのシャンクスとデートになってしまった訳だけど。
正直少し面倒なことになったな、くらいにしか思ってなかった。
その時は。
まず前日にシャンクスからお店のランチメニューを見せられたのでゆっくり考えることが出来た。
デート当日はゆっくりめの待ち合わせ。
お店の場所は駅からすぐ。
しかも確かにお洒落で、接客も良い。
前日から決めていたパスタランチのデザートセットを大盛で注文。
これがまたすごーく美味しくて。
デザートまでしっかり完食。
シャンクスも美味い、と始終笑顔。
・・・あれ、結構いいかもしれない。
ランチを終えた後は自然の多い公園を散歩。
シャンクスは意外にも花や草に詳しくて、
花言葉などを教えてくれた。
そして頃合いを見計らったかのように、
「さてそろそろ小腹が空いた頃かと」
と連れて来てくれたのは古民家カフェ。
「アコさんは紅茶は?」
「好き」
「ここは紅茶が美味いと有名でしてね」
「ケーキも種類たくさんあるのね」
「気になるものがあればシェアしますが?」
・・・かゆいところに手が届く、とはこのこと。
「有難いけどシャンクスだって食べたいのあるでしょう?」
「ここは何を食べても美味いと噂ですから」
「じゃあお言葉に甘えようかしら」
とは言えさっきデザートセットで甘いものを堪能してるし。
なんて思いながら慎重に選んで注文したら、
これがまた美味しいのなんの。
「シャンクスモテるでしょ、やっぱり」
仕事が出来る男は違うわ。
「生憎と惚れた女性からは色好い返事をもらえてないんですがね」
嫌味も完璧だわ。
「・・・どうして今まで何も言わなかったの?」
「アコさんの眼中にないことがわかってから、でしょうね」
「・・・・そう?」
「結婚するにしても相手は会社の人間じゃない方がいいと思われていたのでは?」
「思ってたわね、間違いなく」
「だからですよ。アピールしてもまったく気づいてもらえねェのは流石に・・・」
「・・・・それにしたって」
「それに、最近のアコさんは肩の力が抜けてより魅力的になられた」
「この歳になっても訳のわからないことが多いわ・・・」
「俺もです」
すべてわかってます、みたいな顔して何言ってんだか。
「ねえ、今度は私にデートプラン提案させてくれない?」
ここまで完璧なのをされたらされっぱなしじゃ悔しいもの。
そう伝えればシャンクスは壊顔して頷いた。
人生とはわからないものだわ。
(このあと付き合いました)
