短編⑥
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なーんかおかしいとは思ってたんだけどね。
上陸した島で滅茶苦茶歓迎されて、
お酒やら豪勢な食事やらを振舞われて。
でもまあ、海賊でも歓迎してくれるところはたまーにあるし、
お頭のファンなのかな?
くらいにしか思ってなかったんですよ。
今考えてみればやたらと私に酒を勧めて来たのもおかしかった。
元々の狙いは私だけだったってわけね。
「タイミング良くお前さんが来てくれて本当に助かった、これもきっと神の思し召しなんだ!」
「あーはいはい」
何度目かのお手洗いに立ったところを襲われてそのまま暗い部屋に閉じ込められた。
「本来なら酒で酔いつぶして明日まで過ごすつもりだったのにな・・・」
「残念でしたねえお酒に強くて」
村人は私がお酒に強かったことが想定外だったらしいけど、お頭なんかはもっと強いんだから。
だからきっと大丈夫。
「まあいい。明日お前さんには生贄になってもらうからな。大人しくここにいてもらう」
村人曰く、
明日は10年に1度の神に生贄を捧げる日なんだそうだ。
村に若い娘は居るけど、身内を差し出すのは、と躊躇っていたところに私が来た、と。
そんで酔わせてそのまま生贄にするつもりだったらしい。
「お前さんの仲間は酔いつぶれて寝てる。睡眠薬も効いてるんだろう、諦めな」
私よりお酒に強い皆が睡眠薬を盛られたところでそんな簡単に潰れることある?
・・・まあそのうち誰か気が付いて助けに来てくれるか。
なんて呑気に考えてたんだけど。
「時間だ」
来なかったんですけど!!
誰も!!助けに!!
何故!?
ドアが開いて村人が来て、
私の前にお酒を置いた。
「何?飲むの?」
まさか今度は毒入り!?
「生贄と共に神に捧げるお神酒だ。飲むな」
「さいですか」
生贄かぁ・・・このまま大人しくなってやるのも癪だわね。
よし。
私は目の前に置かれたお酒を手に取り、飲み干した。
「なっ、何を・・・!?」
「ぷはぁッ!結構度数強いですねえこれ」
「神に捧げるお神酒だぞ!?」
「流石、神に捧げるだけあっていいお酒。美味しかったですぅ、おかわり下さい」
「ふざっけるなお前!」
「いやたまたま来た旅人を拉致って勝手に生贄にする方がふざけてるでしょうよ」
「それは・・・っ仕方がないんだ!」
「その開き直ってる態度が気に喰わないんですぅ」
「ならどうしろと言うんだ!」
「私はたまたまこのタイミングで島に来ただけの人間ですよ」
「たまたまじゃない、きっと神に呼ばれたんだ」
「あー生贄が海賊でも神様はお喜びになりますかねえ」
「・・・・俺は、知らん。とにかく代わりのお神酒を持ってくるから大人しくしててくれ」
頼むから、と念を押して村人は再び部屋から出て行った。
・・・神様、ねえ。
ていうか皆はまだ寝てるのかなあ。
そろそろ助けに来てくれてもいいと思うんだけど。
なんて思いながらドアを押してみたら、なんと開いた。
開くじゃん。
「動揺して鍵をかけ忘れたようだな」
「ああ、私がお酒飲んじゃったから・・・ってお頭」
外に出たらしれっとお頭が立ってた。
「そんなに美味かったのか?あの酒」
「それはもう」
「いいなァ、俺も飲みてェ」
「あ、じゃあお頭も一緒に生贄になります?」
「それも悪くない、楽しそうだ」
見たところいるのはお頭1人。
「・・・皆は?」
「買い出し中だ」
「・・・・・人が生贄になろうとしてるのに買い出しですか」
「俺が来ただろう?」
「ですけど」
「俺1人じゃ不服か?」
「とんでも御座いません。とーっても嬉しいでーす」
四皇が来てくれて不服なんて言ったら罰が当たりそう。
「さ、帰るぞ」
「帰るんですか?」
私の言葉にお頭が苦笑を浮かべた。
「このまま生贄になるつもりか?」
「楽しそうなのに」
「確かに面白そうではあるが、お前を危険な目に遭わせるのは本意じゃねェからな」
「神様って会って見たかったです」
「よせよせ、ロクなもんじゃねェ」
「会ったことが?」
お頭ならあり得そう。
「神なんぞに俺の大事なアコを見せてはやらねェさ」
お頭は私の質問には答えず、
上を向いて呟く。
そこに、
「お前ら・・・っ何をしている!?」
村人がお酒を持って帰って来た。
「あ、お酒のおかわり来ましたよ」
「酒は惜しいが逃げるとするか」
「はぁい」
私の返事を聞くやいなやお頭が私を肩に担ぐ。
必死の形相で追ってくる村人を見ながら、
これからきっと本来の生贄のコが連れ出されるんだろうなあとぼんやり思う。
「お頭、私・・・」
「やっぱり自分が生贄になる、か?」
お頭には私の思考がバレていたらしい。
「・・・・ダメ、ですかね」
「アコらしいが・・・」
「お酒も飲みたいし」
「美味い酒なら船に戻ればいくらでもある」
「・・・それはそう、ですが」
お頭はあっという間に村人から遠くなってしまった。
皆が買い出しってことはそのまま出航するのかもしれない。
元々この島は小さくて、買い出しだけが目的だったし。
「心配するな、話しは全部聞いてた」
「え?」
「仮にも俺の大事なアコを巻き込もうとした輩をほっとく訳がねェだろう」
とっくにあいつらが動いてるさ。
お頭の言葉に感動よりも先に疑問が湧いた。
「・・・・私が居ないことに気づいたのは?」
「だいぶ前だな。村人との最初の接触から様子は伺ってた」
「はぁぁ!?」
「そもそも歓迎された時点で怪しいとは思ってた」
「・・・・じゃあ何でもっと早く来てくれなかったんですか・・・」
「勿論アコに危害が加わるようなら助けに行くつもりだった。が、一応酒と飯の恩があったからな」
様子を見てたのさ、と笑った。
ここで無事にレッドフォース号に着いたらしい。
丁寧に降ろされた。
「お、生贄様のご帰還だな!」
と皆が迎えてくれた。
・・・・皆も知ってるのね。
「はーい生贄でーす。神様は何処ですかー?」
なんてノったら、
「居るだろ。後ろに怖いのが」
と後ろに居るお頭を皆が一斉に指さした。
「いやー怖い!!」
「なんだ、さっきは自ら生贄になるって言ってただろ」
「それは神様ってのが見たかっただけで・・・」
「ああ、その神様ってのは人間だった」
私のつぶやきにクルーが答えてくれた。
「ええ・・・・」
まあそんなことだろうとは思ってたけど。
「人間なら私でも勝てたかも、って思ってるだろお前」
「わかりました?」
またお頭に私の思考を読まれてしまった。
「ったく、流石お頭の女だよなぁアコは」
「え?私が?」
お頭の女?何のこと?
首を傾げたところ肌が少しだけ痛んだ。
「さ、生贄を置いて俺たちは戻ろうぜ」
「おお、そうしようぜ」
なんて皆はぞろぞろと去って行く。
え、生贄?
「まさかこれまでの言動で俺の気持ちに気づいてなかったとは・・・・言わないよな?」
「何のことで御座いましょう・・・?」
「よし、とりあえず飲みなおそう」
「・・・・ええええ」
結局私は生贄として喰われました。
お頭に。
