短編⑥
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「ぜっっったいにこっち見ないでよねエース!!」
「へぇへぇ」
どうしてこんなことになってしまったのか。
今私は上陸した島の温泉でエースと2人きり。
ことの発端は私がエースのグラスを割ってしまったこと。
お詫びに何か、と申し出たところ次の島で一緒に新しいものを買いに行ってくれと言われたので、
2つ返事で承諾した。
で、モビーは無事に島に着いた。
私とエースは約束通り一緒に買い物に。
ここまでは良かった。
そう、ここまでは。
買い物をしている時にスコールに襲われて、
全身びしょ濡れになってしまった私たち。
目の前にあった温泉施設に飛び込んだはいいものの、
今は混浴タイムだったらしい。
こんなことある!?
だって湯船につかって寛いでたら裸のエースが入って来たのよ!?
文句を言ったら混浴って書いてあった、って真っ赤な顔でエースが言うから。
でも入らないと風邪ひいちゃうかもだし!!
「・・・どうしよう」
ぽつりと呟けば背中越しに、
「何が」
とエースの不機嫌そうな声。
「他の人入って来ちゃったら・・・!」
エースは私の方を見ないようにしてくれてるはずだけど、
他の人にそんなこと言ったって聞いてくれるとは思わない。
「そのへんは心配いらねェよ」
「・・・え、何で?」
「看板見てやべェと思って急遽貸し切りにしてもらった」
「嘘!?」
そんなこと出来るの!?
「オヤジの名前出したら快諾してくれたぜ」
「さすが・・・」
助かった・・・!
いやこの状況は変わらないけど!!
他の人が入って来ないってわかっただけでも少し安心。
エースの機転にも感謝だ。
「俺もう出るからアコはゆっくり浸かって来いよ」
「えっダメだよ風邪ひいちゃうでしょ」
「元々能力者だから風呂は苦手なんだよ・・・」
そういえばそうだった。
確かに言われてみればエースの声に力がない。
「ダメです。結構濡れたでしょ。ちゃんとあったまって」
「・・・・わァってるけどよ」
「ちゃんとあったまって、髪乾かしたらコップ探さないと」
「・・・・あァ」
「・・・・・エース?」
ぶくぶく、と水の音がして慌てて振り向いた。
「エース!?大丈夫!?」
「ばっ、こっち向くな!!」
振り向けば背中を向けたまま沈みそうになっていたエースも振り返っててばっちり目が合った。
「ごっ、ごめ・・・でも・・・・っ」
エースの裸(上半身)は見慣れてる。
だっていつもそうだし。
でもなんか、でもなんか、お風呂場で見ると妙な色気があるのは気のせい!?
再びエースに背中を向けて頭を抱え込む。
「もう十分あったまったし、俺は出るから」
「う・・・・うん」
数秒後にざぱん、と音がした。
たぶんエースが出た音。
はぁ、と小さいため息をもらして安堵した直後、
「デートの続き楽しみにしてっからな」
と一言。
「え」
でっ・・・・え!?
デート!?
デートだったの!?
・・・・何かのぼせそう。
私ももう少ししたら出よう。
「・・・・はぁ」
身体を拭いて館内着にひとまず着替え終わった。
服は施設の人が乾燥してくれてる。
でもどんな顔でエースと会ったらいいのか。
うろうろしてる間に服が乾いたと、スタッフさんから手渡されてしまった。
その際、
「お連れ様がお待ちで御座いますよ。先ほどから落ち着かないご様子で・・・」
と微笑まれてしまった。
「・・・ふぐぅ」
そんなことを言われちゃ早くエースの前に出ない訳にいかない。
「お・・・・・お待たせ、しまし、た」
更衣室を出るといつも通りのエースが立っていた。
「・・・・おー」
エースは私と目が合ってすぐに逸らした。
・・・エースの耳が赤い。
見慣れたエースの上半身。
・・・・見慣れてる、はずなのに。
何だか顔が熱い。
「えーっと、良いグラスあるといいね・・・」
「そーだな・・・」
・・・エースの横顔、こんなにカッコ良かったっけ!?
外に出ればスコールの後の綺麗な青空。
活気のある町だしエースが気に入るの見つかればいいけど。
「いい匂いがすんな」
「え、そう?」
言われてみれば確かにお肉を醤油で焼いてるような匂いがするかもしれない。
「・・・・なんか」
「なんか?」
「腹減った」
ぐぅ、ぎゅるる・・・。
言われてみればもう夕飯時。
町を見て雨に降られてお風呂入ってる間にもうこんな時間。
「ご飯食べに行く?」
「行こうぜ」
「あ」
行こうぜ、と言ったエースはそのまま私の手を取り歩き出した。
「言っただろ。俺はデートのつもりだって」
「そ・・・・それ、は」
「それに俺は今日良いモン見つからなくていいと思ってる」
「何で!?」
「見つかんなかったらそれを口実にアコとまたデート出来るだろ」
「そ・・・・・・・・・・・・・っ」
そんなこと言われたら滅茶苦茶意識してしまうんですが!!
不意にすれ違ったモビーのクルーが手を繋いで歩いている私たちを見て、
「お、2人とも茹蛸みたいだな!」
と笑った。
「・・・私、も」
「ん?」
クルーを見送った後勇気を出す。
「私も今日良いグラスが見つからなきゃいいなって、思う・・・」
「・・・・それって、期待していいのか?」
「わ・・・わかんない、けど。エースとは一緒に居たいと、思う」
「ま、今はそれでいいや。一緒に風呂にも入ったことだし」
「それは忘れて」
「忘れられねェよ。・・・そんだけ、好きなんだ」
「次のデートの時に雨が降らなかったら、返事する」
「は、絶対降らせねェ」
「・・・楽しみにしてる」
「おう、任せとけ」
そして次のデート、雨が降ることはありませんでした。
返事の内容は内緒。
