短編⑥
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恋人のマルコさんと喧嘩した。
モビーの長男であり、船医であるマルコさん。
だからナースさん達に囲まれてるのは仕方ないとわかってはいるけど。
いるけど!!
喧嘩中のこのタイミングであえて私の目の前で美女を侍らせて、
こっちをニヤニヤしながら見てくるマルコさん最低ですよね!!
でもここで嫉妬してる素振りなんか見せてたまるか!
目が合ったマルコさんに、にっこりと微笑みかけて。
静かに踵を返した。
・・・・・1人部屋に戻ってため息を吐いた。
マルコさんはモテるから。
私なんか捨てられてしまうかもしれない。
今回の喧嘩の原因・・・なんだっけ。
くだらないことだったような気がする。
ああ、そう。
今朝の朝食で私が嫌いな野菜を残したこと。
それをサッチさんが許してくれたことで喧嘩したんだった。
マルコさんだって豆が嫌いなくせに!!
・・・食べたほうがいいのは、わかってるけど。
やっぱり私が悪い?
こんな私じゃフられて当然?
いやまだフられてないし。
駄目だ、1人で居たら悪い方向にばかり考えてしまう。
船長に相談に・・・なんてことしたらマルコさんに余計に呆れられてしまいそうだ。
オヤジまで巻き込むんじゃねェよい、って。
わかってる、わかってるんだけど。
「・・・・来ちゃった」
「グラララァ・・・!かまわねェよ、大事な家族の悩みくらい聞いてやらァ」
「父さん・・・!!」
優しい言葉に甘えることにした。
実はかくかくしかじかで、と説明。
船長は私の言葉を目を細めて頷きながら聞いてくれた。
それだけで少しスッキリ。
「それでアコ、お前はどうしたいんだ」
ひとしきり話し終わった後船長は優しく私に問いかけた。
「どう、したい・・・」
「マルコに復讐したいのか?それとも仲直りがしてェのか」
私はどうしたいんだろう。
「俺にマルコを説教して欲しいならしてやらァ」
マルコさんが私の為を思ってくれて言ってるのはわかってる。
じゃあ何が気に喰わなかったのか、といえば。
「・・・マルコさん、いつも厳しいんです」
それは私だけにじゃないけど。
自分にも厳しい人。
別にそれはいいんだけど、
「まるで私は恋人じゃないみたいで」
妹?と思ってしまう時が多々ある。
お風呂上りに髪を乾かさないでいると風邪ひくよい、と声をかけてくれた時。
嬉しい反面私はマルコさんの妹ですか、と口に出しかけた。
「マルコさんに釣り合う私になりたい、でもなれなくて」
素直に妬くことも出来ない可愛くない自分が嫌い。
「グラララ・・・・!俺の可愛い娘をあんまり悪く言うんじゃねェよ・・・!」
「でも・・・」
「お前は俺の自慢の娘だ、アコ」
「それは・・・素直に嬉しい・・・です、けど」
「マルコも俺の自慢の息子だ、自分の気持ちがわかったんならさっさと行って来い」
「はいっ!!」
って、勢いのまま返事して船長の部屋を出たはいいけど。
まさかまさかの。
「ど・・・・・どうも」
部屋を出たらマルコさんとばったり。
まさか船長わかってた!?
まさかマルコさん全部聞いてた!?
話すなら今!?
いやでも心の覚悟が!!
「今、いいかい」
「は・・・・・・はい」
「俺の部屋で話しがしてェ」
「望むところです・・・!」
私は船長の自慢の娘!
腹を括れ!!
マルコさんの部屋久しぶりだなあと思いながら入ったら、
難しい顔のマルコさんがそのへん適当に座れよい、と口を開いた。
「・・・まずは、オヤジの部屋に行ってた理由を聞かせろい」
「お察しのとおりマルコさんとのことを相談してました」
呆れられるか、怒られるかと思ったけどこれには何の反応もなかった。
「オヤジに話しをしたうえで俺に言いたいことがあるなら聞くよい」
マルコさんが話しを聞いてくれる。
・・・・これは、チャンス。
前に進めるか、それとも。
「・・・私、は。もっとマルコさんと・・・っイチャイチャしたいです!!」
言った!!!
覚悟を決めて口にしたら少しスッキリした。
そして気になるマルコさんの反応は!?
「・・・・・は?」
短い言葉に冷めた視線。
これしきで負けるか、私は船長自慢の娘なんだから!!
「いい歳してそんなこと出来るかってマルコさんのお気持ちもわかりますけど!!」
私はマルコさんの妹じゃなくて恋人なんですから!!
目を見て思いの丈をぶつければ、
マルコさんの目が少しだけ見開いて。
そして口元を手で隠し、
私に背を向けた。
・・・・もう顔も見たくないってこと?
それはかなり・・・・ショックかも、しれない。
「・・・・悪い、よい」
「我儘言いました・・・・ごめんなさい、失礼します・・・・っ!!」
いたたまれなくなって部屋を出ようとしたら腕を掴まれた。
「い、」
その力は少し強くてマルコさん怒ってるのかと思った。
「・・・いい歳したおっさんが、どう接していいかわからねェんだよい」
「・・・・へ?」
そのまま勢い良く私を抱きしめたマルコさんは耳元でぽつりと呟いた。
「情けねェだろい?この歳になってもまだ惚れた女の接し方に迷う」
「え・・・誰が・・・」
「俺が、だよい。妹扱いの方が楽に傍に居られた。・・・悪かった」
弱々しい声、珍しい。
「マルコさん・・・自覚、あったんですね」
「・・・・よい」
「私はマルコさんの恋人になりたい、です」
「俺もだよい。これからは遠慮なくアコを愛させてもらおうかねい」
ちゅ、と額に口づけ。
今までは頬だったのに。
「船長に相談したことは怒ってないんですか・・・?」
「怒れねェよい。俺も相談に行こうとしてたとこだ」
「わお」
「アコが先に行ったと知って、別れ話をされるんじゃねェかとひやひやしてたよい」
「別れませんよ。大好きです、マルコさん」
「愛してるよい、アコ」
見つめ合って。
深い口づけを交わして。
ベッドに倒れこんだ。
私たちは、
これからが恋人。
これからも、恋人。
