短編⑥
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今日も推しが尊い。
誰がなんと言おうと私の推し(二次元)は素敵だ。
けれども、
「何見てるんだアコ?」
「しゃっ・・・・なに、も」
「そうか?」
私はいわゆるオタクである。
けれどもそれを恋人であるシャンクスに知られてはならない。
故にスマホを慌てて隠した。
スマホの待ち受けはシャンクスとの2ショット。
だけどアルバムにはたくさんの推しの画像がある。
「そろそろお昼ご飯にしよっか?」
「そうだな、腹も減って来た」
愛想笑いで胡麻化して、
適当なレストランへと歩く。
わかってる。
シャンクスは優しい。
私がオタクであることを知っても嫌いになったりはしないだろう。
受け入れてくれるとも思う。
けれども知られたくない。
何故なら推しが居るから・・・・!
3次元には嫉妬を隠さないシャンクス。
2次元にはまさかしないと思うけど、
絶対にしないとも言い切れないところ。
でも私から推しを取られたら・・・・!!
恋人は恋人として推しはまた推しで好きな訳で。
好きというレベルではなく神の域と言っても過言ではない。
グッズはおかしくない程度に実用品を愛用してるから私がこの作品を愛していることは知ってる。
でもイベントにはこっそり行ってるし、
そこまでのオタクとは思ってないはず。
このまま墓まで隠し通してみせるわ・・・!
「そういえば」
チェーン店のレストランに入って、注文を済ませたあとシャンクスが何気なく口を開いた。
「そういえば?」
続きを促せばシャンクスは笑顔のままさらりと、
「今度は家デートってのもしてみないか?俺の家で」
家・・・・デート・・・・!!
つまりそれはシャンクスの家でいちゃいちゃ・・・!!
「す・・・・・する・・・」
興味はあったので小さく頷けば、
「そうか!今週末なら泊まれるな?来月はアコの家での家デートも悪くないと思うんだが」
と話して来た。
思わず固まる私。
家デート!?うちで!?
無理無理むりむりムリムリ!!!
うちにどれだけのグッズが存在していると思うの!?
ポスターに始まりフィギュアは勿論のこと、
アクスタに自作のグッズアクセサリー・・・・!!
そんなものが間違ってシャンクスの目に入ったら!!
捨てられたら!!
捨てろとか言われたら!!
片付けられる程の量でもない!!
近くで預かってくれるような知人は居ないし、
居たとしても推しが居ない家なんて落ち着けない!!
「う・・・・うちはちょっと・・・」
「ダメか?」
「狭いし」
「俺は気にしないが」
「ら、来客用のお布団とかないし・・・」
「何処でも眠れるのが自慢なんだ」
「す・・・・すごいね・・・」
どうしよう・・・・!
「嫌か?」
「え」
「俺を家にあげるのは・・・嫌か」
寂しそうに微笑むシャンクスに痛む胸。
そりゃあ二次元の推しだって大事。
でも1番大事なのは目の前の恋人、シャンクスで。
「嫌じゃない、けど」
「けど?」
「ホントに狭いし汚いよ!?」
「そんなことで幻滅したりはしねェさ」
「趣味の変なものとか・・・置いてある・・・」
「むしろ見て見たい」
シャンクスは優しい笑みで私を見つめて、
優しく髪を撫でてくれた。
「俺はどんなアコでも愛してる。それはこれからも変わらない、絶対にだ」
そんな甘い言葉をすっと信じられる程子供じゃない。
・・・・・けど。
今までのシャンクスの言動を鑑みて、
簡単に人を貶したりする人じゃないのは知ってる。
本当に私を大事にしてくれてることもわかってる。
「・・・・わかった」
「楽しみにしてる」
満面の笑みのシャンクスに、私はこの時どんな顔をしていたんだろうか。
それから、あれよあれよと言う間に時は過ぎ、
シャンクスとのお家デートが終わった。
シャンクスの家は綺麗で、
たぶん一生懸命片付けてくれたんだと思う。
・・・・こんなに思ってくれてるシャンクスに、私も応えないといけないよね。
でも推しへの想いだって簡単に捨てられるものでもないし。
・・・だからこそ、推しへの思いを隠したままシャンクスの側にいることは出来ないかもしれないと最近思い始めた。
墓まで持っていくと1度は決めたけど。
目の前で私を大事にしてくれる人の為に出来ることを今しよう。
捨てろと言われたら話し合いをしよう。
私の大切なものを大切にしてくれない人じゃないはずだから。
・・・・・とは思うものの。
今まで隠し通してきたこと、
ましてや墓まで持っていくと1度決めたものを話すのはなかなかに勇気がいる。
『じゃあ明日、楽しみにしてる』
「あんまり期待しないでね!?」
『それは無理な話しだな、恋人との家デート。しかもアコの家は初めて。期待もするさ』
前日の電話でこんなこと言われてプレッシャーでしかない。
大丈夫。
部屋は綺麗にしたし、夕飯の買い出しも完璧。
シャンクスがいつ来ても大丈夫。
なんて思ってたらインターホンが鳴った。
「い・・・・いらっしゃいませ」
「今ちゃんと誰か確認したか?」
「一応したけど」
「ちゃんとしないと危ないぞ」
緊張しながら出迎えれば真っ先にお説教くらって緊張が解けた。
「シャンクスだったから開けたの」
「ならいいが・・・あまり心配させてくれるな」
靴を脱いですぐにシャンクスがふわりと抱きしめてくれた。
ああ、このままずっとここに居て欲しい。
中になんか入らないで欲しい。
というのも無理な訳で。
「それじゃあ早速邪魔させてもらうか」
「ど・・・・どぞ」
私の家が狭いのは謙虚とかそういうんじゃなくてただの真実。
でもシャンクスは、
「存分にいちゃいちゃ出来るな」
とにこにこ。
「・・・何も言わないでいてくれてありがと」
部屋の狭さは大丈夫。
で。
部屋の隅に置かれた推しグッズコーナー。
これを目にしたシャンクスは、
「おっすごいなァ」
・・・心臓が大きく飛び跳ねた。
「ごめん・・・今まで隠してたけど・・・私・・・・っ」
「そういや今度コラボカフェもあるらしいな。俺も行ってみたいんだが」
「・・・・え?は、え?」
目をキラキラと輝かせて私を見つめるシャンクス。
「アコがこのキャラが好きなのは前から言っていただろう?」
「そう・・・・です・・・けど・・・!」
「だぁっはっは!そんな驚くことか?」
「だって私オタクなんだよ!このコめっちゃ推してるの!大事なの!」
「でも恋人は俺だ」
「それはそう」
「キス出来るのも夜の営みが出来るのも俺だけだ。そうだろう?」
「そりゃあそう」
「なら何の問題もねェな。それで、料理1つでもらえるグッズはランダムだったはずだな」
「そう!!」
「俺なら多少の量は食えるぞ」
ちゅ、と頬に軽いキス。
そしてウィンク。
「しゃっ・・・・すき・・・・!!!」
もっと早く言えば良かった!!!!
