短編⑥
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「お頭が冷たい」
とぽつりと愚痴ったら、
隣を歩いていたヤソップさんが呆れた顔を見せた。
「お前がクールな人が好き、って言ってたからだろ」
「え、嘘」
「まあ覚えてねェのも無理はねぇよな、相当酔ってたし」
「えええ・・・・」
「お頭に飲まされてたろ、それも覚えてないのか?」
「ぜんっぜん!!」
記憶を呼び戻そうとするけどまったく思い出せない。
お頭に好きな人の話しをしたことも、
お頭に飲まされたことも。
そもそも私お頭には絶対恋バナしないのに!!
面倒だから!!
うーん・・・・これから要注意だわ。
「・・・・ていうかクールな人と冷たい人は違いますけども」
「それはお頭に言ってやれ」
「・・・はぁい」
って言えるかそんなこと!!
「アコ、もうすぐ島に着くそうだ」
「今度の島はどんなとこですかね」
「秋島だからな、気候も良いし食べ物も美味いだろう」
「おお、それは楽しみですね!」
クールと冷たいは違いますよ、とは言ってないけど、
飽きたのか、それともクールであることに疲れたのかいつものお頭に戻っていた。
「・・・・で?」
「・・・・・で、とは?」
意味不明の聞き返しにさらに聞き返せば、
いい笑顔で私を見つめたままお頭が口を開いた。
「アコは誰と行くつもりだ?」
あー・・・そういう意味ので?だったのか。
「あーえっと・・・・」
「ベックか?」
クールな男代表と言やァベンだもんなァと私の心を読むようにお頭が見つめてくる。
「いやーお頭もなかなかクールだと思いますよ・・・・?」
「なら俺とデートで決まりだな」
「え」
「な?」
「・・・・・よろしくお願いしまぁす」
力強い声に頷くしかなかった。
・・・・1人で行こうと思ってたのに。
「ってことがあって。明後日お頭と行くことになったんですよ」
怖かった、とベンさんに愚痴れば、
「強引な人が好きって言ってたからだろうな」
と煙草をくゆらせながらベンさんが言った。
「・・・・・誰が?」
「アコ以外に居るか?」
「私ぃぃぃ!?」
記憶に御座いませんが!?
「それにもともと強引な人だったろあの人は」
「それはそう。・・・ですが」
「嫌なら俺から断っておくが」
「あ、いえそれは大丈夫・・・・です」
確かにお頭はもともと強引な人ではある、けど。
それでも仲間の意思は聞いてくれる人だ。
まあ聞いたうえで聞き入れてくれないことも多々あるんだけど。
「ち・・・ちなみに強引な人が好きって私いつ言ってました?」
「昨日の夜、お頭に相当飲まされてた。その記憶は?」
「ないです!!」
やっぱり私最近お頭に飲まされ過ぎてる!!
「・・・ま、今日は気を付けるこったな」
「・・・・どうも」
「さァ飲めアコ!」
「嫌です」
「美味いぞ」
「もうその手には乗りませんよ!!」
案の定夜の宴でお酒を勧められた。
確かに最近お頭とお酒を飲んでいる記憶はある。
でも記憶がなくなるほど飲んでるとは思わなかった。
「そうか・・・・俺との酒は不味いのか・・・」
あからさまに肩を落とすお頭に思わず疼く罪悪感。
「そっ、そういう訳じゃ・・・なくて・・・!」
「アコは俺が嫌いか・・・」
「そんなことは・・・!」
「よし、飲んでくれるな?」
「く・・・・・っ私を酔わせてどうするつもりですか!?」
思い出した、今まではこれで落ちてたんだった!
でも今日こそは!
「・・・俺は楽しく酒を飲みたいだけさ」
なんて笑ってるけど、目の奥が笑ってないお頭。
「恋バナはしませんよ」
「好きなタイプはクールで強引なタイプ、だったな?」
「違います!!」
「違うのか?」
「わ・・・・私の好きなタイプは・・・」
「タイプは?」
「お頭には言いませんっもう寝ます!!」
このまま話してたら全部話しちゃうとこだった!!
危ない!!
叫んで逃げて部屋に鍵をかけた。
けどお頭相手には無駄だったらしい。
「話しの続きを聞きに来た」
「鍵かかってませんでしたかね!?」
「俺に鍵が意味あるとでも思ってたのか?」
「・・・・思ってないです。ついでに言えば話すこともないです」
もうあきらめよう。
それが賢明だわ。
「・・・アコ」
「何でしょう」
「今度のデートは、嫌か」
「・・・いいえ」
「クールな男は嫌いか?」
「嫌いじゃないけど好きでもないです」
「強引な男は?」
「好きじゃないです」
「赤い髪は」
「・・・好きです」
「海賊は」
「好き」
「・・・・俺のことは?」
「・・・・・・すき、です」
それだけ聞いてお頭は満足そうな笑みを浮かべて、
私の頭をぽんぽんと軽く叩き、
「今度のデート楽しみにしてる」
と残して出て行った。
どんなに酔ってたって言う訳ない。
言うなら絶対素面の時。
・・・・好みのタイプはお頭です、なんて。
あああ、次のデートどうしよう!!
(ありのままのお頭とのデートは楽しかったです)
