短編⑥
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「サボ君また告白されたんだって」
「あ、そ」
「・・・・つれないねェエース君」
「別に」
クラスメイトで仲のいいエースは、超モテるサボ君と幼馴染らしい。
まあエースもサボ君に負けないくらモテてはいるんだけど。
でもサボ君が、とこういう話をするとだいたい不機嫌になる。
最初は幼馴染の方がモテるのが嫌なのかなと思ってたんだけど、
そういうことでもないらしい。
最近わかったのは、どうやらエースには好きな女の子が居るみたいで。
たぶんその子をサボ君にとられないかやきもきしてるんじゃないかと、思うんだけど。
今日の授業ももう終わって放課後だというのにしかめっ面のエース。
「気になる子の名前教えてくれたら聞きに行ってあげるのに」
「・・・・うるせェ」
「でもほら、サボ君好きな人いるみたいだし」
エースの好きな子とかぶってたらどうするの?
と聞いたらエースの顔がものすごいことになった。
鬼のよう、とでも言うべきか。
「誰から聞いたんだよそれ」
「サボ君本人」
「・・・お前ら仲良かったか?」
「普通」
「へー」
聞いておいて興味なさそう。
まったく失礼だな。
「聞いておいてそれだけですかエース君」
「で?」
「・・・・・で、とは?」
「誰だよサボの好きなやつ」
お、そこには興味があるみたい。
まあ幼馴染だもんね。
「知らない」
「知らねェのかよ!!」
「話の流れで好きな人いるんだ、って言われてへーそうなんだねー、で終わった」
「いやそこはツッコんで聞けよ」
「無理だよそこまで仲良くないもん、私にはデリカシーってもんがあるもん」
これもへーで終わるのかと思いきや、
エースは突然神妙な顔で黙った。
「・・・・エース?」
「アコはサボの好きなやつに心当たりねェのか?」
「ないけど」
さっきも言ったけどサボ君とはそこまで仲がいい訳じゃないし。
「ほんとかよ」
「気になるならエースが聞けば?」
「・・・・別に」
目を逸らしたエースを見て、
滅茶苦茶気になってるんだな、と思う。
でも聞けないんだろうなあ。
「・・・幼馴染なんでしょ?」
「興味ねェ」
「エースは好きな人と今どうなのよ」
これ以上サボ君の話題にしたらまずいかな、とそろそろ話題転換。
「お前はどうなんだよ、好きなやつとか・・・居るのか?」
だけど何故か話題は私の話しに。
「えー内緒」
エースの答えも聞けてないのに私の答えだけ言える訳ない。
「・・・居るってことか?」
「内緒だってば」
「サボだろ」
「違いますぅ」
「じゃあ誰だよ」
「別に好きな人居ないし」
「じゃあ俺も言わねェ」
「じゃあって何よ。じゃあって」
エースってこんな面倒だったっけ!?
もっとさっぱりあっさりじゃな性格じゃなかったっけ!?
「アコだってモテるだろ」
「・・・・エース程じゃないよ」
エースは変わらず不機嫌だ。
面倒くさいのでそろそろご機嫌をとりたいところ。
「興味ないやつにモテても仕方ねェ」
「・・・まあそれは、そうだろうけど」
それは私も同じ。
好意を持ってくれるのは嬉しいけど、
勇気をもって伝えてくれる人にNOを口にするのはなかなか辛い。
「結構頑張ってんだぜ、これでも」
「好きな子にアピール?」
「・・・・一応、な」
小さく頷いたエースの耳が赤い。
ホントに好きなんだなあその子のこと。
「じゃあその子もエースのこと好きだったりして」
私なりに頑張って励まそうとするも、
「そうは思えねェ」
と寂しそうに首を横に振った。
「何、ほかに好きな子いるって?」
「はっきりとは言わねェんだよ。でも俺はサボが好きなんじゃないかと思ってる」
あー・・・・だからサボ君をライバル視してるのか。
納得。
「大丈夫、サボ君よりエースの方がかっこいいよ」
「本当にそう思ってんのかよ」
「思ってるよ。何処をとってもエースはサボ君に負けてない。・・・数学の成績以外は」
なんて揶揄い半分で言ってみれば、
「数学の成績良いほうがいいのか?」
と真剣な顔で聞いてくる。
私に聞くよりその好きな子に直接聞き給えよと思うけど、
「まあ悪いよりは印象良いと思うけど?」
「・・・・頑張るか」
・・・・思ったより本気で好きな子らしい。
「数学の成績あがったら私にも教えてよ・・・って思ったけど、ダメか」
「あ?何でダメなんだよ」
「私に勉強教えてたら好きな子に誤解されるかもしれないし」
「は、むしろ誤解されてェもんだな。その方が早い」
・・・・妬かせたいのかな?
ダシに使われるのはあんまり気持ちいいものではないけど。
エースの為なら。
「じゃあ、お願いしようかな」
「つーかよアコ」
「うん」
エースは言いにくそうに頬をぽりぽりとかき、
私から目を逸らす。
今日のエースは本当に珍しい。
「一緒に勉強、しねェ?」
「え、私数学苦手なんだけど」
苦手同士勉強して成績が上がるかな!?
「問題によってはわかるとこもある・・・気がするし、大丈夫だろ」
たぶん。
なんてお気楽なエースに思わず苦笑する。
まあ妬かせたいなら何でもいいしね。
「いいよ、一緒に勉強しよっか」
「・・・よろしくお願いしマス」
好きな子に一生懸命なエースが可愛い。
・・・なんて言ったら怒られるだろうけど。
いいなあ、エースの好きな子は。
「まあ私はエースが数学出来なくても好きだけど」
なんて思わず本音をぽつりと漏らせばエースは顔を真っ赤にさせて、
「おまっ・・・それを早く言えよ・・・いやでも・・・ま、いいか・・・」
「・・・・大丈夫?」
何やら1人でぶつぶつ言ってるエースが少し心配になってきた。
「誰のせいだと思ってんだよ・・・」
「いや私じゃないでしょ」
エースは軽く私を睨むと、
「お前ホントに好きなやつ居ないんだよな?」
「居ないけど。何で」
「そりゃあれだろ・・・好きなやついたら誤解、されるだろ?俺と2人でいたら」
「好きな人は居ないけど気になる人はいるかなぁ」
「はァ!?」
今度は滅茶苦茶大きい声をあげるエース。
情緒不安定だな。
「エース声大きい」
「誰だよ気になるやつって」
「気にしないで、気になってるだけだし」
「いや気になる。サボか?サボなんだな?」
いい加減しつこすぎて思わず、
「エースだよ」
「え」
「あ、でも気になってるだけだから気にしないで。好きな子妬かせようね!」
本当に気になってる程度なのだ。
だというのに、
「・・・・っざけんな」
今度は怒りだした。
「・・・・そんな怒らなくても」
「気になってるってんなら少しは妬けよ!」
「私が妬いてどうすんのよ!?」
「俺が好きなやつはお前だっての!!」
「・・・・・はい!?」
え、私全然アピールされてなかったけども!?
とか言ったら完全にキレられそうなので口に出す寸前で止めた。
「覚えとけよアコ」
「え、なに」
半笑いのエースが私を抱き寄せて耳元で、
「絶対ェ落とす」
そう囁いて今度は満面の笑みを浮かべた。
「お・・・・え?」
「勉強会楽しみにしてっからな!間違っても絶対サボとか呼ぶなよ!?」
「わ・・・・・・わかった」
とりあえずどんなアピールされてたのか一生懸命思い出してみることにしよう。
(3日後に付き合うことになった)