短編⑥
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これはきっと何かの悪夢。
であって欲しい。
「俺だろい?」
「いーや、俺っちよ」
「俺だよな!?」
上から順番にマルコさんサッチさん、最後にエース。
次の島でデートしてくれと3人同時に申し込みに来たのだ。
・・・・・何故!?
ちなみに順調にいけば次の島に着けるのは明日。
「・・・・・えーっと」
「俺なら次の島案内してやれるよい」
「欲しかった材料買ってあげちゃうぜ?」
「お・・・俺はえっと、あー、あれだ、美味い飯屋探すなら任せろ!!」
悪夢じゃないなら何の罰ゲームなんだろう。
しかも3人同時って。
「私とデートしても何のメリットもないと思うんですが・・・」
やんわりとお断りしてみるも、
「惚れた女と歩けるだけでおおいにメリットだよい」
「こんな可愛い子と歩けるなんて幸せ間違いねェや」
「え!?えっと、あーっと、アコと一緒が1番楽しいからいいんだ!!」
エースが不憫だ。
ここは素直に聞いてみよう。
「これは何の罰ゲームで・・・?」
「罰ゲームじゃねェよい」
「じゃあどういう悪夢?」
「甘い夢なら今夜俺っちが見せてあげるよ?」
「ならどういう状況なのこれは!?」
「俺を選んでくれるよな!?な!?」
どいつもこいつも説明になりゃしないんですけど!!
・・・罰ゲーム、じゃない。
なら何なの?
「・・・状況を的確に説明してくれた方とデートしまぁす」
とにかく今の答えはこれに尽きる。
そしてこの問いにいち早く答えたのはマルコさんだった。
「腹の探り合いはもう終わりにしようってことになったんだよい」
「・・・・うん?」
でもよくわからない答え。
「そうそう。もういい加減はっきりさせようぜ、って思った訳」
どういう訳!?
「俺負けねェし」
「つまり!?」
「俺ら3人好きなやつが同じだったから、誰が選ばれるかいい加減決めようぜって話し。なァ俺だよな!?」
必死についていこうとする私にエースが辛うじてわかるように話してくれた。
・・・・けど。
「え・・・・・じゃあその好きな人のとこ行けばいいんじゃ」
「お前だよい」
「俺のスイートハニーちゃん」
「俺たち全員お前が好きなんだよ」
「そ・・・・・・・・・・そんなことある!?」
このモビーに何人美女ナースが居ると思ってるの!?
その中で!?
各隊長3人が!?
私を好き!?
「あるだろい」
「あるあるぅ」
「あるんだから仕方ねェだろ」
ないない!!
「で?どうするんだい」
「俺なら満足させてあげられるよん?」
「絶対ェ俺!!」
何処か余裕の笑みを浮かべるマルコさん。
楽しそうなサッチさん。
必死の形相なエース。
3人の私への気持ちが真実かどうかは置いておいて。
「エースで」
「っしゃあ!!」
「・・・・エースに負けるとはねい」
「マジかぁ」
だって1番的確にこの状況説明してくれたのエースだし。
「負けたおっさんはおとなしく引き下がるとするかねい?」
「次の島で可愛い子探すかなあ」
2人はあっけなく去って行った。
・・・なんだったの。
「明日が楽しみだなアコ!!」
満面の笑みで喜んでいるエースを見るに、
エースの気持ちに嘘はないんだと思う。
・・・・けど。
「・・・うん、楽しみ」
まあいっか。
「・・・・で、寝てるしね」
デート当日。
張り切っていたエースとのデートはとても楽しくて、
お店を見たり買い食いしたりしてたんだけど、
まあ当然のように食事中エースは寝てしまった。
デートって言ってもエースと普通に出かけてるだけ、なんだよね。
普通はもっとこう、手を繋いだりとかさ。
・・・・ってなんでもやもやしてるんだ私。
マルコさんとサッチさんもだけど、
私今までエースから好意なんてちっとも感じてなかった。
嫌われてるとは思ってなかったけど。
「エースの気持ちにまったく気づいてなかったって顔に書いてあるよい」
「は!?」
よい!?
「結構頑張ってたのになァ、可哀想なエース」
「へ!?」
聞きなれた声が聞こえて振り向けば後ろに奴らが居る。
「マルコさんサッチさん!?」
「心配しなくても野暮な真似はしねェよい」
「俺らエースの恋を応援し隊」
2人の微笑ましげな表情に思わず納得してしまった。
ああ、だから。
エースは必至だった。
でも2人は何処か余裕が見えてた。
「・・・2人がエースをけしかけたんですか?」
「エースが可哀想だったからよい」
「結構アピール頑張ってたんだぜ、あいつ」
「し・・・・知りませんでした・・・」
「ま、そういう訳だから俺らの可愛い弟を頼むよい」
「今夜は帰ってこなくてもいーよ?」
そう言って2人は再び爽やかに店を去って行った。
・・・・謎はすべて解けた!!
エースのアピールが何だったのか以外は!!
「寝ちまった!!悪い!!」
がばりと飛び起きたエースの顔は真っ青。
「エース。はい、あーん」
「あー・・・・?ん・・・」
寝起きのエースに私の食べかけのプリン(デザート)を一口。
素直に口を開けたエースに放り込んだ。
「美味しい?」
「・・・・甘い」
「甘い1日にしてくれる?」
「スイートハニーとか呼んだ方がいいか?」
「それはキモイからやめて」
「ははっやっぱ俺アコが好きだ」
そうして笑ったあとエースは私をじっと見つめた。
「な・・・・何?」
「お前も俺とおんなじ気持ちだって思っていいのか・・・・?」
真っ赤な顔で、真剣な表情で。
・・・・この顔が、好きだなあと思う。
嬉しいとも。
「うん、好き」
だから私は笑顔で頷いた。
・・・・あの時の私の選択、ぐっじょぶ。