短編⑤
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「私何かしたかなあ・・・・」
したんだろうなあ。
でなきゃあのエース君があんなこと言うハズないもの。
目の前の困り顔のサボ君を見てさらに泣きそうだわ。
駅前のカフェ。
目の前には片思いの人の友人。
「・・・・いや、それは違うと・・・思うけど」
「だって!!」
「よく思い出してみろ、そん時のエースの顔」
「顔?」
そう、私は昨日片思い真っ最中の彼。
エース君に言われてしまったのだ。
真っ赤な顔で。
私を睨みつけて彼はこう言った。
「俺はお前と友達になりたくねェ」
と。
「え、たぶん怒ってた」
「・・・・ホントかそれ」
「だって顔真っ赤だったし睨みつけてたし!!」
「いやそれは・・・・違うと思うぞ?」
「いいよフォローしてくれなくて!!」
泣くから!!
「いや泣かんでも」
「だって好きな人に嫌われたんだよ・・・」
泣きたくもなるでしょう。
「嫌われてなかったら?」
「嫌われてなかったらあんな顔されてない」
あの顔が脳裏に焼き付いて離れない。
「わかった、じゃあ今からエースに電話して聞いてみよう」
「やめてぇぇぇ!!!」
スマホを取り出したサボ君を慌てて止める。
「じゃあいつまでもそうやってうじうじしてるつもりか?」
けれどこれもまた正論な訳で。
別に告白してフられた訳じゃない。
「・・・・・それは、その」
「そもそもそんな風に言われた経緯は?」
「雨の日に傘持ってなかったエース君と相合傘で帰ったの」
「良かったじゃないか」
「エース君が御礼に何かするって言ってくれたから私たち友達だから気にしないでって」
言っただけなのに。
友達になりたくない、と宣言されてしまった可哀想な私。
「・・・可哀想だなエース」
「いや私でしょ可哀想なのは!!」
何故だ!!
「よしわかった。今からここにエース呼ぶから」
「え、やだ怖い!!」
「いいか、今1番可哀想なのは俺なの」
「へ?」
「はーやってられねェよ・・・」
「ちょい」
サボ君はスマホをすいすいいじった後席を立った。
「もうすぐここにエースが来る。いいか、逃げるなよ」
「う・・・・・っ」
「じゃ」
軽やかに去って行ったサボ君の背中を恨めし気に見つめるも何も状況は変わらない。
私もしかしてサボ君にも嫌われたんだろうか。
・・・・私が、ダメな人間だから。
最低な人間だから。
いつまでもうじうじしてる、から。
「サボいねェじゃん」
「は」
俯いてうじうじしてたらエース君が来てた。
「あいつが来いって言ったのに・・・アコ、サボ何処行った?」
「・・・たぶん帰った」
「帰ったァ?ったくあいつ・・・」
私を見て顔を顰めたエース君に胸が痛んだ。
そうだよね私と2人きりなんて嫌に決まってる。
でも。
せっかくサボ君が作ってくれたチャンス。
嫌われてるならちゃんと話し合って、
好きにはなってもらえなくても何とか好感度を上げたいところ。
何か怒らせてしまったのならちゃんと謝りたいし。
「エース君時間、大丈夫?」
「ん?ああ、まァ」
「は・・・話したいことがあるの」
「さっきまでサボと話してたんだろ」
「う、うん」
「フられたのか?サボに」
エース君は真面目な顔でさっきまでサボ君が居た席に座って、
私にとんでもないことを言い放った。
「フ・・・・!?フられてないよ!?別にサボ君のことはなんとも思ってないし!?」
「・・・・じゃあ何話してたんだ?」
「え・・・・エース君、に」
「俺に?」
「嫌われたかもって相談、してた」
「はァ!?俺がアコを!?」
驚きを隠さないエース君に心の隅で、
あれこれ大丈夫なのでは?とドキドキ。
「この間友達になりたくない、って」
言ってたでしょう?
と彼の目を見つめれば、
彼はその目をまんまるにさせた。
「・・・・・・・っ、あれか!!!」
そして顔を真っ青にさせて、そう叫んだ。
「もし私が何かしたなら謝りたいの。許してくれなくても・・・・っ」
普段誰にでも優しいエース君にあんなことを言わせてしまった自分が悔しい。
「あー・・・・それは違う、っつーか」
「遠慮しないで言って!!」
「あれは何つぅかその、言葉のアヤってやつで」
「言葉のアヤ?」
そんな感じじゃなかったですけども!?
「だから別に、アコが嫌いな訳じゃ、ねェ・・・」
いやそんな不機嫌そうな顔で言われても!!
信じていいの!?
「ほんと、に?」
「・・・・おう」
「じゃあ今まで通り仲良くしてくれる?」
「それは・・・・ちと難しい・・・かも、な」
エース君らしくない歯切れの悪さもさることながら、
まさかの返事に心が折れそう。
というか泣きそう。
やっぱり私嫌われてるらしい。
「・・・・・・そっそこまで怒ってるってこと!?」
「怒ってるんじゃねェ、けど」
だあああ!もうこうなれば自棄よ!!
「私エース君のことが好きなんだけどどうですかね!?」
やっぱりダメですかね!?
・・・・はっきり口にし過ぎたかもしれない。
エース君の目が点になってしまった。
「・・・・・・・え」
「あ。えと。・・・そういうことです」
言ってしまったものはもう戻らない。
それなら開き直るのみ!!
「さ・・・・・・・・」
「さ?」
告白の返事がさ?
最低だ!とか!?
最高に嫌いだ!とか!?
「先に言いたかったっつーの・・・・・」
はあああ、と深いため息とともに聞こえた声。
「はい!?」
「いや、悪いの俺だよな。悪かった」
「え、と?」
「つーかあれで伝わらないと思ってなかったんだよ」
「何のことでございましょう!?」
エース君は片手で顔を覆いながら私を睨みつけた。
あの時と同じように真っ赤な顔で。
「友達に云々っつうのは、友達じゃなくて恋人になりてェって意味」
「そ・・・・・・そうだったの!?」
「あーだからまァ、その、アレだ」
「・・・・・私バカじゃん・・・・」
1人で勝手に決めつけて落ち込んで。
「・・・この間の、傘の礼ってことで。今度俺とデートしてくれませんか」
「ああ、なんて馬鹿なわた・・・・え?」
「・・・ダメか?」
「喜んで!!!」
絶望から一転。
幸せです!!