短編⑤
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「赤髪ぃ覚悟ぉっ」
「・・・・宴の最中に襲撃とはなかなかやるなァ」
持っていた酒が無事だったのを確認して、
襲撃してきた犯人を抱きしめた。
「ありゃあ」
「まったく、誰だアコにこんなに飲ませたやつは」
何が赤髪覚悟、だ。
アコは俺の片腕の中で気の抜けた顔をしている。
こりゃかなり酔っぱらってんな。
「ヤソップが唆してやしたぜ、お頭」
「・・・・ヤソップは?」
「逃げました」
今すぐにでも苦言を呈したいところだったが、
俺の腕の中のアコを放っておく訳にもいかねェからな。
・・・・それにこの状況は悪くはない。
恋人である彼女はあまり甘えてくることはない。
特に人前では。
「・・・それで、何が目的だ?お嬢さん。命ならくれてやるつもりはねェが」
腕の中のアコは俺を見てへにゃりと微笑み、
「あなたのハートを頂きに参りましたっ」
・・・・とのこと。
「んなもんとっくに奪われてるぜこっちは」
「あり?そうでした?」
「まったく可愛いなァアコは!普段からもっと甘えてくれりゃいいんだが」
よしよし、と頭を撫でてやれば気持ち良さそうに目を閉じたので、
額に軽く口づけてやればくすぐったそうに身を捩った。
「えっへへェ、シャンクスも可愛いですよー」
「いーや、アコの方が可愛い」
「シャンクスのほうがかあいいですぅ」
酔ってるせいで舌ったらずになっているこの話し方。
「・・・・あーたっまんねェなァ」
このまま部屋に連れ込むか?
だが滅多にないこの状況を周りに見せつけるのも悪くないしなァ。
酒は強くない、とアコ自身が言ってあまり飲もうとはしなかったから、
酔うとこうなるとは知らなかったが。
これから定期的に酔わすか。
「・・・しゃんくすぅ」
「ん、どうした?」
「喉乾いた」
「水飲むか?」
「のむ」
「ほれ」
片手で何とか飲ませてやれば、
「・・・お酒じゃないれすか、これ」
「俺の側に水があると思うか?」
飲み込んだあとに眉を顰めて俺を睨みつけてきた。
怒ってる顔も可愛いんだよなァ。
「わたし、おみずがほしいって言いました!」
「悪かった悪かった、だがここに水はねェんだ」
「じゃあもおいいれす」
アコはふくれっ面で俺から離れようとする。
「待て待て、何処行くんだ」
「お水もらってきますぅ」
「アコ、お前は俺の側を離れちゃダメだ」
「何でれすか!」
「・・・・あー船長命令だ」
こんな酔ったアコを1人でふらふら歩かせる訳にいかねェ。
かといって俺はまだ酒を飲み足りねェ。
「嫌れす」
「アコ」
「いーやーれーす!!」
行かせないようにと腕に閉じ込めるも、アコは喉乾いた!!と子供のように喚く。
「わかったからちょっと待ってろ」
な?と出来るだけ優しく言い聞かせ、
「すまねェが誰か水を持ってきてくれるか」
近くに居る人間に水を頼んだ。
「氷の入った冷たいのがいい」
「・・・だそうだ、頼む」
「へい、了解」
「あ」
「・・・今度は何だお姫様」
ふとアコが俺を見て声をあげ、にっこりと笑った。
「クリームソーダ飲みたい」
「・・・・無茶言わんでくれ」
「いや。飲みたい」
「わかった、今度島に着いたら奢ってやるから」
「今飲みたいのよ。私が」
「・・・・アコ」
「ソフトクリームじゃなくてアイスがいい」
「今のうちにあるので作れるか?」
近くに居たコックに聞いてみるも、
控えめに首を横に振っただけの返事が返ってきた。
「諦めてくれ、アコ」
「わかった。じゃあシャンクス私と別れて」
「・・・・・っそれとこれとは関係ないはずだが!?」
なんっでいきなりそうなるんだ!?
ったく酔っぱらいの思考は・・・いや、
アコの思考はどうなってんだ!?
冗談じゃない、こんなことで別れるなんざ。
「関係あるでしょ。私が食べたいのに」
・・・・アコが酔うと我儘になるらしい。
覚えておこう。
いや我儘なアコも可愛いが、
いかんせん別れを突き付けられるのは困りもんだ。
明日覚えてないとは思うが、万が一ということもある。
「すまん、アコ・・・俺が不甲斐ないばっかりに」
「シャンクスは四皇でしょ。お頭でしょ、かっこよくて優しくて、お酒好きで女好きなのに」
「後半褒めてないな・・・」
「くりぃぃむそぉぉだぁぁぁ」
こりゃ手がつけられねぇ、と悩みだしたところでクルーの1人が水を持ってきてくれた。
「お頭、水です」
「ああ、悪いな。・・・ほらアコ水だ」
「氷がない」
「・・・・すまん」
「しゃんくす絶対悪いと思ってない、でしょ」
「思ってるさ。不甲斐ない恋人で呆れただろう?」
「・・・・それは、おもってない、けど」
「不満があるなら聞かせてくれ。ほら、部屋に行こう。な?」
優しく言い聞かせて連れ出そうとするも、
「部屋行ったらシャンクス絶対えっちなことするでしょ」
「しない。・・・・とは言い切れねェなァ」
「じゃあやぁです」
「・・・わかった、アコが嫌がることはしねェ。だからそこまで飲んだ理由を部屋で聞かせてくれ」
ヤソップに煽られたとはいえ普段からあまり飲まないアコがここまで飲んだのには理由があるはずで。
「・・・・お水、飲んだら」
「いい子だ」
渡した水を飲んだアコはゆっくりと立ち上がった。
「この間の島で、お頭を口説いてた女の人覚えてますか・・・?」
水を飲んで少しは落ち着いたらしいアコがぽつりと話し出した。
「特徴わかるか?」
「口元に大きな黒子が」
「・・・・覚えてねェ、な」
その女がアコに何か言ったか。
「その人が私に言ったんです」
「・・・・なんて言ったんだ?」
「貴女あまり飲んでないようだけどお酒得意じゃないでしょ。釣り合わないわね、あの人と」
「・・・なるほど、それで酒を?」
「ヤケ酒です」
口じゃあそう言ってはいるが、
俺に釣り合うように、頑張ってくれたんだろう。
俺の恋人は本当に愛おしい。
「酒が飲めようが飲めまいが俺には関係ない。これから何があっても俺が愛する女はお前だけだよ、アコ」
「しゃ・・・・・っしゃんくすぅぅぅ!!!」
涙ながらにがばりと抱き着いてきたアコよよしよし、とあやしながら、
これはそういう雰囲気には持ち込めなさそうだ、と苦笑した。
まあいいか。
あとは明日のアコを楽しみにしていよう。
「あれお頭私昨日変なこといっぱい言ってませんでした!?」
「言ってたな」
「なんて!?」
「クリームソーダを今すぐに用意出来ないなら俺と別れる、と」
「・・・・・っ申し訳!!」
「俺は別れる気はないぞ」
「勿論です!!」
顔を真っ青にした恋人はやっぱり可愛かった。
ちなみにこれから1週間の不寝番はヤソップに決まった。