短編⑤
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同じクラスのエース君は、
男女関係なく人気者。
私は同じクラスっていう接点だけであまり話したことこそないけれど。
いい人だとは思う。
背が高くてスタイルが良くて、
爽やかな笑顔。
皆に優しいし。
勉強が不得意なところはご愛敬。
更に彼はサッカー部のエースと来た。
そしてそのサッカー部のメンバーは見事にイケメン揃い。
各選手にはだいたいファンがついていて、
放課後のサッカー部で練習試合でもあれば女子達の間で牽制し合うことになる。
私はと言えばまあクラスの中では隅っこにいる地味女子なので、
触らぬ神に祟りなしを信条でいたわけだけども。
「今度の練習試合、見に来てくれねェ?」
と、当の本人に声をかけられてしまった。
何故。
「・・・・私?」
信じられずとも今私の目の前にはエース君がおり、
彼の目の前には私しか居ない。
「あ、いや・・・無理なら、別に」
「ううん、いいよ」
「ホントに!?」
「うん。行くね、頑張って」
「さ・・・サンキュ!!」
・・・・・周りの女の子達の視線が既に痛い。
けど別に断る理由もなかったし、
おおかたファンの数で勝負でもしてるんだろう。
なんて簡単な気持ちだった、この時は。
エースくーん、サボくーん、と。
黄色い悲鳴があがる中私は今この場にいることを後悔している。
・・・女子たちの圧が強い。
前が、試合が見られない。
隙間から僅かに覗くことしか出来ない。
試合の状況から言えば今のところは勝っているらしい。
まあ一応これでも誘われた立場。
頑張って前の方へ押し進めば、
ちょうどボールを蹴っているエース君が見えた。
あ、居た。
なんて思ったのも束の間。
彼はそのまま見事にボールをゴールへ蹴り上げた。
っしゃあ、とガッツポーズを決めたエース君とほぼ同時に黄色い歓声が上がった。
私も流れるようなその動きに思わず拍手が出た。
次の瞬間思い切りエース君と目が合った。
「あ」
エース君は私に気づくと近づいて来て。
「アコ見てたか今の!!」
「見てたよ、おめでと、う?」
答えた瞬間がばりと抱きしめられた。
「来てくれてありがとな!!」
「どどどど、どういたしまして・・・・?」
とか言ってる場合じゃなくない!?
「おいエース、彼女困ってるだろ」
後ろから苦笑を浮かべて来たのはエース君と同じくらい人気のイケメンサボ君。
「困ってんのかアコ!?」
真面目な顔で見つめられてますます困惑。
「え、試合は!?」
「今のゴールで俺達の勝ち!」
ぴーす。
え、可愛すぎません!?
「おら整列だ、行くぞエース」
「わァってるよすぐ行く。・・・まだ居るよな!?」
「え、うん」
「一緒に帰ろうぜ!」
ずるずるとコートに戻されたエース君はそのまま整列。
私はぽかん、状態。
い・・・・・痛い!!
周りの女子からの目が!!
痛い!!
私の信条は触らぬ神に祟りなしなのに!!
いや待てよこの場合神の方から触れて来た訳だから私悪くなくない?
よし、開き直ろう。
「エース君と付き合ってるの?」
隣の気が強そうな女子に問い詰められたけど、
「付き合っておりません」
「じゃあ何なの今の!」
「エース君に聞いて下さい!!」
では!!と慌てて教室に戻った。
・・・・カッコイイ、と思ってたエース君だったけど。
いやカッコイイんだけど。
可愛い人でもあるんだなあなんて。
しかし神は何を考えているのか。
「なァアコ!!」
「はい!?」
がらりと勢い良く扉を開けて入って来たのは神、
もといエース君だった。
「今下の奴らに俺達付き合ってるって宣言してきた!」
「神よ!!」
解せぬ!!
「神?」
「・・・・どうしてそんなこと言ったの」
「今アコ付き合ってる奴居ないんだろ?」
エース君は目をキラキラ輝かせている。
「居ないけど」
「好きな奴も居ないんだよな?」
「そうだけど!?何故それを!?」
「サボに聞いた」
だから、と彼は私の前で頭を深く下げた。
「え」
「好きだ。俺と付き合って下さい」
「ええええ!?」
「だ・・・駄目か!?」
顔を真っ赤にしたエース君が私を見つめる。
「どうして私、なの」
「可愛いと思ったから」
「私が!?」
「1人で居る時にコロコロ変わる表情とか面白ェって思ってた」
それが可愛いなって思って、
目で追っかけて。
「知ってるか?可愛い、って思うのは好きの始まりなんだぜ」
「そ・・・・そうなの?じゃあ」
私もエース君のこと好きなのかもしれない。
だってさってきも、
今も。
エース君のことを可愛いと思ってしまったから。
可愛いは好きの始まり、らしい。