短編⑤
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「ショクアタリだってよ」
「・・・・はあ、そうなんですか」
元気そうな彼は、
俺はルフィだと満面の笑みで私に自己紹介をした。
どうやら食あたりで入院することになったらしい。
本来なら入院するほどでもないらしいのだが、
どうやら食べた物があまりにも、な物だったらしく、
様子見で入院させられることになったのだとか。
今まで呑気に1人部屋、なんて過ごしてたけど。
仕方ない。
「ルフィお前あれほど気をつけろって・・・・!!」
そこに血相を変えて来た男の人。
「おーエース!俺は元気だぞ」
「入院すんだから大人しくしてろ馬鹿」
と、ここでようやく私に気づいたらしい。
「あ・・・」
「初めまして、同室のアコと申します」
目が合ってベッドからぺこりと頭を下げた私に、
「いやァすんませんね、こいつカエルとかミミズとか食っちまって」
苦笑を浮かべながらとんでもないことを言い放った。
かえ・・・る・・・だと!?
「あ、こいつはルフィって言います」
「さっきちゃんと言ったぞエース」
「俺はエース、ルフィは俺の弟なんだ」
よろしくお願いします、と深々とエースさんは頭を下げた。
お兄さんの方はマトモっぽい。
「こ、こちらこそ・・・」
どうしよう私と同室の人やばい人かもしれない。
「お前も食あたりなのか?何食ったんだ?」
純粋無垢なルフィ君の台詞に困惑。
するとすぐにルフィ君の頭にエースさんの拳が跳んできた。
「馬鹿。食あたりとは限らねェだろ」
良かったやっぱりお兄さんマトモだった。
入院するのがお兄さんの方だったら良かったのに。
「私は・・・私の病気は原因不明で」
「原因不明?」
「症例がないんだそうです。色んな薬試してるんですけど」
「それは・・・大変、だな」
エースさんがすごく言葉を選んでくれて発してくれたのがわかる。
「だからなかなか退院出来なくて。ルフィ君とは短い付き合いになりますけど、仲良くさせて下さい」
「ミミズ食ったら治るんじゃねェか!?」
「馬鹿!」
再びルフィ君を殴りツッコミするエースさん。
いってェ、と殴られたところをさするルフィ君。
「あははっ、お2人仲良いんですね。面白い」
「おう、エースはすぐ殴るけど面白くて優しいんだ!」
ルフィ君の満面の笑みからもエースさんへの信頼がわかる。
「とにかく、入院に必要なもの持ってくるから大人しくしてろよ」
「わかった!」
元気良く返事した彼がその通りに待っているのは難しく、
やれ面白いことをしようだの腹が減っただのと彼はとにかく元気だった。
入院に必要なものを持ってきたエースさんが来る頃にはすっかり待ちくたびれていたルフィ君。
「エース!飯!」
「病院食な。食あたりで入院の奴には食いモンは差し入れ禁止だ」
「えー!!嫌だ!」
「嫌だじゃねェ!」
「・・・ルフィ君自己責任って知ってる?」
「ジコセキ荷?」
「自分で責任持てるかってことだ」
「よくわかんねェけど腹減った」
「お兄さんが怒らないなら、どぞ」
私は隠し持っていたおやつを彼らに差し出した。
「いいのか?アコのだろ?」
「いいんです、おやつは心の栄養だから」
「うひょー頂きます!」
「エースさんも、どうぞ」
「・・・悪ィな」
3人で食べたオヤツはとでも美味しかった。
「チョコ、好きか?」
「え、はい」
翌日ルフィ君のお見舞いに来たエースさんがチョコをくれた。
「ルフィうるさくねェか?大丈夫か?」
「全然、賑やかで楽しいです」
「病室が賑やかってのもなァ・・・」
呆れ顔のエースさんに、
「アコはいい奴だぞエース!」
満面の笑みのルフィ君。
「今日の昼の検診次第で明日退院だぜ、ルフィ」
「ホントか!?・・・でもそしたらアコはまた1人になるんだな」
「私は平気。慣れてるから」
「・・・原因に心当たりとか、ねェのか」
「さあ・・・精神的なものかもとは言われたけど」
「具体的な症状は?」
「目眩とか、心臓が苦しくなったりとか」
「全部調べたんだよな?」
「・・・・はい」
これを言う度に散々言われてきた。
甘えてる、弱いって。
わかってる。
・・・・わかってるんだよ。
「じゃあよ、退院したら一緒に遊ぼうぜ」
「え」
「エースの奢りで美味いモン食いに行こうぜアコ!」
「お前は小遣いから出せ」
「えーっ」
「・・・・私、が?」
「嫌か?」
「こんなに、弱いのに」
「ホントに弱かったらルフィと同室なんて1日で音をあげてるって」
「ルフィ君は本当に楽しくて、一緒に居ると元気になるから」
「だからよ。楽しみがあった方が元気になるだろ?」
「肉食おうぜ肉!カエルは食わなくていいからな!」
「当たり前だ馬鹿」
「ってェ!!」
こんなに温かい人たちが外には居るんだ。
私・・・・私は。
「・・・・私きっとすぐ退院します。そしたら私と一緒に」
「おう、待ってるぜ」
「美味い飯屋いっぱい知ってんだぞ!ししっ」
「腹いっぱいになったらカラオケとかいいよな」
「エース歌美味いからな!」
「あんま言うな」
「・・・・有難う」
神様、この2人と出会わせてくれて有難う。
でも何より、
2人に。
私と出会ってくれて有難う。