短編⑤
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「エース君、あなたと別れがってた」
クール系美女が私にそう言って来た。
「あ、ほんと?有難う連絡してみるわ」
「っじゃなくて!!別れなさいよ!!」
あークール美女は怒ってても美女だなあなんてのんきに考えながらスマホを取り出す。
「ちょっと、どうするつもり!?」
「勿論エースに確認」
ほうれんそう大事だからね。
「っあんたなんかエース君に不釣り合いって言ってんのよ!」
大学に入って知り合って、付き合い始めた恋人。
エースはイケメンでモテる。
勿論イケメンなだけじゃないけど。
エースと交際を始めてからこんなのしょっちゅうだ。
「ご忠告どうも。じゃ、私はこれで!」
エースは何故私を恋人に選んだのか。
「何でアンタなのよぉぉ・・・・!!」
消え入りそうな声で呟いた美女に、少しだけ胸が痛んだ。
「エース、私と別れたいんだって?」
今日はお互いに講義前半だけだったので、
お昼ご飯を一緒に学食で食べている。
「・・・・今度は誰に言われたんだよ」
「知らない美女」
苦々しい顔で問いかけるエースに美女の顔を思い出しながら答える。
「で、その美女の言うこと信じたのかよ」
「信じてないから聞いてるんだよ」
「別れたい訳ねェだろ」
「うん。私はエースの口から聞いたことしか信じないから」
大丈夫。
「・・・俺のせいで、アコに辛い思いさせてるよな」
「まあ面倒は面倒だけどね。そこまで辛くはないよ」
「いじめられてねェか?呼び出されたりしたら言えよ」
「有難うね、私は平気よ」
呼び出されてもイジメられても割と楽しんでるから。
まあ犯人が誰かわからないうえに物を隠されたりとかいうのは困るけど。
そんな時は大きな声で警察に被害届出したーとか言っておけばだいたい翌日には返却されているし。
「この間、サッチに言われたんだ」
「何て」
「彼女の1人も守れねェのかって」
「・・・それは私への宣戦布告かな?」
「・・・何でだよ?」
まあ実際はサッチさんて人が私を心配してくれただけなんだろうけど。
「恋人を苦しませたくないのは私も同じだよエース」
「・・・・でも、俺のせいでアコが」
いつもの食事ならエースは美味しそうに笑顔でご飯を頬張って、
寝てしまうのに。
確認の為とはいえエースにこんな顔をさせてしまったのは私の責任。
「エースが陰で私をいじめろって指示してるんなら怒るけど」
「んなことしねェ」
「それならエースに責任はないでしょ?」
「俺と付き合わなきゃこんなことにならなかったのに」
「・・・・じゃあ、別れる?」
「嫌だ」
嫌だ、と言ったエースの瞳には強い意志が窺える。
「うん、私も嫌」
私も強い声音で伝えればエースの強張った顔が少しだけ和らいだ。
「・・・サボ、っているだろ」
「うん、いるね」
「サボに彼女が出来た時同じことがあった」
「・・・・うん」
「サボも出来る限りのことはやったんだ。でも彼女は、もう無理だって」
泣きながらサボから離れて行った。
「・・・それは、サボ君辛かったね」
「だから俺も彼女なんかいらねェ、って思ってた」
サボ君も辛かっただろうけど、
間近でそれを見て来たエースも辛かっただろうな。
「・・・・でも告白はエースからだった」
エースは当時割と女の子には冷たくて、
だから私も彼女とか作る気はないんだろうな、と思ってた。
・・・だから本当に驚いたのを今でも覚えてる。
「・・・・好きだと、思っちまったんだ」
「・・・私の、何処を?」
「強いとこ」
「つよ・・・!?そこは可愛いとかじゃないんだ!?」
思わず突っ込んでしまった私にエースは今度こそ笑った。
「ふははっ、悪ィ。勿論可愛いとこも好きだぜ?」
「いやそもそも私強くないけど」
「強ェよ。・・・だから俺はそれに甘えてんだ」
「・・・そう?」
「でも強くても傷つかない訳じゃないことも知ってる」
エースは本当に優しい。
そんなところも大好きだなあ。
「本当にやばかったら逃げるよ。・・・それともそんな弱い私は嫌い?」
「嫌いになんかならねェけどよ・・・その前に俺に言えって」
「あ、そうでした。勿論頼りにしてる」
「おーそうしとけ」
「・・・・じゃあお言葉に甘えて質問」
「・・・どんと来い」
何で私、の他にも疑問があった。
「私エースに不釣り合い?」
「・・・・不釣り合いって言ったら?」
「とりあえず筋トレするけど」
「だははっ!!何で筋トレなんだよ!?」
「え、そりゃエースの筋肉がヤバいから」
私も筋肉鍛えれば少しは釣り合うかなあって。
真剣に考えてみたけどまずそこからかなあって。
「・・・アコのそういうとこ、すげェ好き」
目を細めて微笑む優しい笑み。
私もエースのそういうところが好き。
「私も、好き」
「不釣り合いなんかじゃねぇよ、むしろ俺には勿体ないくらいだ」
「いいじゃない、お似合いってことで」
「・・・・だな」
お似合いの私達の恋は、
これからも続く。
誰に何と言われようとも。