短編⑤
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今日は暑くも寒くもなくて。
ちょうどいい気温。
だから私は恋人、シャンクスとのデートでチーズケーキとホットコーヒーを注文した。
・・・・シャンクスは、クリームソーダを。
チーズケーキは確かに美味しくて、
珈琲も落ち着く温かさ。
・・・・・なんだけど。
ちらりとシャンクスのクリームソーダを見る。
涼し気な緑。
上に乗ったバニラアイスの美味しそうなこと。
ごくり。
思わず喉が鳴る。
「食うか?1口」
シャンクスが苦笑しながらグラスを差し出してくれた。
「いっ・・・・いいの?」
「ああ」
「アイスも!?」
「勿論だ」
ああ、優しい恋人。
「お言葉に甘えて頂きますっ」
爽やかなメロンソーダに、
甘くて冷たいアイスクリームが口の中に広がる。
ああ、幸せ。
「美味いか?」
「美味しい。シャンクスも私のチーズケーキ一口、どう?」
「アコが食わせてくれるなら有難くもらおう」
ん、とシャンクスが口を大きく開けた。
・・・・これは、あーんというやつをしろということね。
いいけど。
「はい、あーん」
「ん。美味いな」
何の躊躇もなく口を開けたシャンクスは笑顔でチーズケーキを食べた。
「美味しいよね、ここのスイーツ」
「愛しい恋人に食べさせてもらうモンは何でも美味いさ」
「・・・・ブルーベリーでも?」
私は知ってるのよ、シャンクスの嫌いな食べ物を。
「口移しなら食べられる」
さらっと何言ってるのこの人。
我が恋人ながら怖い。
「じゃあ永遠に食べられないね」
「冷たいな」
「うん、冷たくて美味しいねアイス」
噛み合わない恋人との会話。
それすら楽しいと思ってしまうくらいに私はシャンクスを愛してる。
「美味いなァ」
「・・・・ていうかさ」
「ん、どうした?」
「・・・・・シャンクスの腕時計カッコイイね?」
ふとシャンクスが身に着けている腕時計に目が留まった。
初めて見る。
「ああ、自分で買ったんだ。気に入ってる」
シャンクスは腕時計を外して、
「つけてみるか?」
と私の腕を取った。
「いいの?」
「男物だがデザインは悪くないだろう?」
「・・・おお、カッコイイ」
シャンクスの腕のサイズに合ってるから私の腕にはぶかぶかだったけど。
・・・素敵。
「気に入ったんならそのままつけてていいぞ」
「え!?」
「新品でなくて悪いが新品同様だ」
「いやいや、え!?」
「いい男避けになる」
まだ傷もついていない腕時計を私につけたシャンクスはそう爽やかに微笑んだ。
「流石にもえらないわ!気に入ってるんでしょう!?」
「ああ。それを愛しい恋人が気に入ってくれたんだ、嬉しいじゃねェか」
「駄目だよシャンクス、もらえない」
「色違いでも気になってたのがあったんだ、これで買える」
「・・・シャンクス」
「高いモンでもないから気にする必要はないさ」
な?と私の髪を優しく撫でてくれる。
「値段じゃないよ、シャンクス」
シャンクスが気に入って買った物を。
・・・私は、こんな簡単に。
「アコがもらってくれたら俺が嬉しいんだ」
「でも、」
「言っただろう?男避けだって」
「・・・・有難う、大事にする」
ああ、またやってしまった。
私は何故かシャンクスの所持品や注文したものが気になってしまう。
でも別に欲しかった訳じゃない。
・・・本当に、ただ素敵だと思っただけで。
「・・・シャンクスが私にあげられないものって、何?」
ふと疑問に思ったことを口にすればシャンクスは上を向いて唸り出した。
「うーん、そうだなァ。あるにはあるが」
「・・・何?」
まあ流石に命とかまではくれないのわかってるけども。
「俺のプライド、だな」
「・・・・命、は?」
想像もしてなかった答えに返事が少し遅れた。
「やるさ。嘘じゃねェ」
「・・・・そこは嘘って言って欲しかった」
「何なら俺の名前も欲しくないか?」
「は?」
シャンクスはそう言うとポケットから小さな小箱を取り出した。
「返事はすぐでなくていい、考えておいてくれ」
箱の中に光る指輪。
「・・・私、もらってばっかりで」
申し訳なさすぎる。
「俺が好きでやってるだけだ、気にするな」
「今度・・・この腕時計の色違い、シャンクスにプレゼントさせて」
「ああ、一緒に買いに行こう」
「時計と一緒に私ももらってくれる?」
なんてちょっと気障だけど。
「腕時計を恋人に贈るのは意味があるんだ、知ってるか?」
「え、知らない」
シャンクスは柔らかな笑みを浮かべて私の左手の甲に口づけた。
「同じ時間を歩みたい」
「・・・それなら間違いないわ」
私はあなたと同じ時間を歩みたい。