短編⑤
夢小説設定
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誰かこの事件を解決をして欲しい。
私の部屋で起こったこの事件、この謎を。
しおりとペンはあるのに日記帳本体だけが見つからない、この不可解な謎を!
誰かがこの部屋に入って手帳だけを盗んだ?
何の為に?
読まれてまずいようなことはたぶん書いてなかった筈だけど。
それでも読まれて気持ちのいいものでもないし。
出来れば誰かに見つかる前にこの手に戻したい。
・・・・出来ればお頭にだけは読まれたくない。
いくらお頭でも人の手帳勝手に読んだりはしないよね?
・・・・いやするか。
お頭だもの。
でもたまたま拾ったりしたら読むかもだけど、
わざわざ私の部屋から持って行ったりはしないと思う。
でも私に日記帳を持ち出した記憶はない。
・・・もう1回探してみるしかないかな。
と、散らかった部屋を見渡す。
もともとお頭があれはどうだこれはどうだと色々物を買い与えてくれたおかげで、
物の多い部屋。
だから何処かに紛れ込んでいるのを私が見つけられてないだけの可能性もまだある。
「・・・よし」
と意気込んだところで、
「おーいアコ飯だぞ」
と気の抜けた声、と同時に部屋に入って来たお頭。
「あ」
「・・・・また随分と大惨事だなこりゃ」
「・・・・癇癪起こした訳じゃないですよ」
「大掃除でもしてたのか?」
驚いてるのか呆れてるのか、その表情と声音からははわからないけど。
お頭は私の部屋を見て笑った。
「・・・・そんなとこです」
「なるほど、掃除じゃないのか」
「え」
「となると探しモンか」
お頭に嘘を吐いても無駄だと把握した。
「日記帳探してるんです」
「日記帳?アコの?」
「そうです。見てませんか?」
「いや生憎と見てねェが・・・言っておくが俺じゃないぞ」
「わかってますよ。お頭ならすぐ揶揄いのネタにしますもんね」
「ほう。つまり揶揄われるようなことが書いてるってことだな」
・・・・失言した。
「いやたいしたことは書いてないですよ」
「なら俺も読んでも構わねェな?」
「お頭プライベートって知ってます?」
お頭は1人にまにまと笑みを浮かべて、
「その日記、俺がみつけたら読んでもいいな?」
「いやだから駄目ですって」
話し聞いてました?
「たいしたことは書いてねェんだろう?ならいいじゃねェか」
「読んでもつまらないですよ!?」
「ってことはいいんだな?」
いやもうこうなったらアナタ私が頷くまで諦めないじゃないですか。
「・・・・いいですよ」
どうせアレの意味がわからなければ揶揄われることもないだろうし。
「決まりだな。俺に見つからないといいなァ」
なんてお頭は楽しそうだ。
・・・人の気も知らないで。
「他の人には見せないで下さいよ」
「勿論だ」
お頭はそう言って颯爽と部屋を出て行った。
・・・・さてそうと決まればもう1度この部屋を探さないと。
これを機会にいらないものは捨ててしまえればいいんだけど、
全部思い出があるものだから捨てられないのよね。
・・・お頭からもらった、ものだけは。
・・・・・あれ?
お頭さっきご飯だって言ってなかった?
「ご飯がなくなるぅぅぅ!!」
慌てて部屋を飛び出た。
「だっはっは!すっかり忘れてた、すまん!」
「危うくお昼ご飯抜きになるとこでした・・・!」
別にお頭が悪い訳じゃないけど。
「ま、日記のことは一旦忘れるんだな」
肉を頬張りながらお頭が言う。
「・・・とか言ってその間にお頭が見つけようって寸法でしょ」
そんなお頭をじろりと睨み付ければ、
「失せモノは忘れた頃に何とやらってやつさ」
と笑った。
・・・言われてみれば確かにそんな言葉ある。
「・・・頂きます!」
ならば今は素直に食事を楽しもう。
ああ、カレーが美味しい。
「そういやどんな柄の日記だった?」
「・・・・忘れようとしてたのに!!」
「だっはっは!!」
見つかるといいな、と頭を撫でられた。
結局部屋に帰って探しても見つからなくて、
諦めの朝。
枕元に私の日記帳と小さいメモが置かれてた。
次の♡も楽しもうな、と。
・・・・・お頭とのお出掛けの日に♡をつけてたことが何故か理解されてしまったらしい。
(日記は書庫に混ざって置いてあったそうだ。恥ずかし過ぎて死ねる!!)