短編⑤
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「維新三傑を答えよ」
「知らねェ」
「知らないはずはない!!」
だってこの間授業で習ったんだもの!!
まあその授業の時エース寝てたような気もするけど!!
「そもそも維新三傑って何だ?」
そこからかい!!
思わず大きなため息が漏れた。
もうすぐテストを控えている私達。
今日は日本史の勉強をするために、
幼馴染のエースの家に居る訳ですが。
「倒幕と明治維新に尽力したメインの3人のことだよ」
「とーばく?」
駄目だこれは。
「1人は絶対知ってるから!!」
「ヒントくれ」
我が幼馴染ながら心配で仕方がない。
「上野に居る」
「わかった犬連れてる奴だな!?」
「そう!名前は!?」
「西郷ナントカ」
「隆盛ね!!」
さすがのエースも西郷さんは知ってた、良かった。
「三傑ってことはあと2人居るのか」
「木戸孝允と大久保利通ね」
「知らねェな」
「木戸孝允は桂小五郎だよ」
「それは聞いたことある」
まあここまで知ってれば及第点かなあ。
難しい顔で唸るエースに思わず苦笑するしかない。
「大久保利通は髭の人で、西郷さんと幼馴染だった人」
「幼馴染?へェ、俺達と同じだな」
「だね。でも最後には喧嘩別れしたまま亡くなっちゃったんだよ」
「・・・・何でだよ」
お、エースが歴史に興味を!!
「これも授業で習ったんだけど。征韓論が原因」
「せいかんろん?食い物か?」
「あー・・・征韓論ていうのは」
云々。
簡単に説明をしたらエースはまた唸り出した。
「大久保何とか何で西郷を止めたんだよ」
行かせればいいじゃねェか、と不服そう。
「大事な幼馴染が死ぬかもしれないのに?」
「・・・絶対そうなる訳じゃねェんだろ?」
「どうかな。あの時代ならどうなるかわからなかったから」
それに岩倉使節団として初めて日本以外の国を、
外国を見た大久保さんが今は自国を何とかしないと、と思うのも理解出来る。
「・・・・でもよぉ」
「じゃあエース、私が死ぬの覚悟で行くって行ったら送り出してくれる?」
「絶対嫌だ」
あまりに早い返事にくすくすと笑えば、
「嫌に決まってんだろ。アコが危ない目に遇うのを見送れる訳ねェ」
嬉しい答え。
「私も一緒。だって西郷さんは死ぬ気だったらしいから」
私もエースが死ぬつもりの度をみすみす行かせたりはしない。
「それで西南戦争が始まったの。覚えられそう?」
「西郷は大久保が殺そうとしてるって信じたのか?」
幼馴染なのに。
何処か怒ったようにエースが呟いた。
「・・・・信じたかはわからないけど、西郷さんは反乱のリーダーになったの」
大久保さんは最後まで西郷さんが居る訳ないと信じてたようだけど。
「それで、喧嘩したまま・・・・」
「大久保さんが殺された時懐には西郷さんからの手紙が入ってたって」
何だかしんみりしてしまった。
・・・エースがここまで歴史を勉強してくれるなんて予想外だったなあ。
「俺は・・・アコと喧嘩別れしたまま死ぬなんて嫌だ」
「そりゃあ私も嫌だけど。でもエースは西郷さんぽい」
「俺がァ!?」
「優しいし。老若男女人気あるし」
「・・・ならアコは大久保だな」
「そう?」
「頭いいしいつも落ち着いてんだろ」
自分でそう思ったことはないけど嬉しい。
「そしたらあれだね、私達現代版西郷&大久保だね!」
「・・・あんま嬉しくねェな」
エースが複雑そうな顔をした。
え、ちょっと傷つくんですけど。
「ま、まあ私たちの方が最高の幼馴染だけどね!?」
「・・・・そうか?」
「違う!?」
流石に泣きそうよ!?
「俺は嫌だ。アコと最高の幼馴染とかは」
「そ・・・・・・・そんなにエースに嫌われてたなんて知らなかった」
「いや逆だけど」
「逆?」
「・・・・俺はお前とずっと幼馴染は嫌で、つまりそれは、あーあのアレだ」
顔を赤くしたエースが言いにくそうにもごもごしてる。
「・・・・幼馴染を超えた親友になりたいってこと?」
「違ェ!・・・・・幼馴染じゃ、恋人にはなれねェのかよ」
・・・・ぷしゅう。
そんな音が出そうなくらい私の顔も熱くなった。
「きっとなれるよ私達なら!最高の恋人に!」
頭真っ白になって訳のわからないことを口走ってしまった。
「ホントか!?」
それでもエースは目を輝かせて。
私はこくこくと頷くので精一杯。
「じゃあよ、次の歴史のテストでいい点とったらキスしていいか?」
「ほわっつ!?」
「駄目、か?」
「・・・・イイ点数取ったらね!」
「よっしゃ!待ってろ大久保何とか!」
「利通ね!!」
あと木戸孝允も忘れないでね!!
歴史の勉強が大変なことになった、けど。
これはこれで私の歴史の中の大事件、でした。