短編⑤
夢小説設定
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夢を見た。
それは何とも不思議な夢で。
・・・夢占いで調べてみたいけどどう調べたらいいか、わからない。
「ねえ、どうしよう」
お昼休み。
「どんな夢なのよ?」
友人のナミに相談したところ、
ナミが調べてくれると言う。
「クラスメイトが海賊になってたの」
「・・・・何それ」
「でもってめちゃくちゃカッコ良かったの!!」
「ちなみに誰?」
「エース」
今日は何だかエースを目で追ってしまう。
それ程に夢の中の彼がカッコ良かった。
「元から好きだったんじゃなくて?」
「全然。大食漢だし弟馬鹿だし何考えてるのか全然わからないし」
「・・・まあ、否定はしないわ。とりあえず調べるけど」
「どうやって?」
「クラスメイトが出て来た、でいいんじゃない?」
「海賊だったの」
「ソコ重要視しなくていいでしょ。・・・本人来たわよ」
「え」
ナミの視線の先、私のすぐ隣まで既にエースが来てた。
「俺の名前聞こえた気がしたんだけど、呼んだか?」
エースには恋心なんてものはないものの、
まあ同じクラスだし普通に仲はいい。
「エースって海賊に興味あったりする?」
「海賊ぅ?何だそりゃ」
エースは唐突な私の質問に思い切り顔を顰めた。
「私の夢に海賊のエースが出て来たの」
「で、それがとってもカッコ良かったんですって」
「ナミ!!」
言わなくていいことまでナミが口にするので咎めたら、
舌を出して逃げて行った。
・・・ナミのやつぅ。
「へェ、海賊ね」
「だから・・・クラスメイトが海賊になって出て来るのはどんな意味があるのかなって」
ナミに調べてもらおうと思ったんだけど。
「意味あんのか?」
「わかんないけど」
「海賊・・・って俺何やってたんだよ」
「帽子かぶってて上半身が裸でーハーフパンツ履いててー」
「変質者じゃねェか」
「後、手から火が出てた」
「・・・・何だそりゃ」
呆れ顔のエースを見ながら必死に今日の夢を思い出す。
「エースが私に、一緒に来いよって手出してくれたんだけど」
「・・・・けど、何だよ」
「・・・火が出てたから無理って断ったのよ」
「ははっそりゃそうなるよな!」
でも今思えばあの手を取れば良かったと後悔してる。
「エースと海賊やったら楽しそうだよね」
「悪くねェな。次は俺の夢に出てきてくれよ、海賊のカッコして」
「無茶言わないでよ。・・・出たいけど」
「俺が火ならアコは水の能力者とかいいんじゃねェ?」
「いいね!カッコイイ!」
なんて話しつつも、
目の前のエースが今日の夢と重なってドキドキ。
・・・エースってこんなにカッコ良かったっけ?
「何か顔赤くねェか?大丈夫か?」
「へ!?」
こつん、と額と額がぶつかった。
「平熱高いほうか?」
「ま、まあまあ・・・」
「んじゃこんなもんか」
「・・・・と思う」
「無理しないで辛かったら保健室行けよ」
「・・・うん」
私を心配してくれるエースの瞳に私が映る。
・・・・それに気づいただけで、こんなにも苦しい。
「そんで、してみたのか?」
「え?」
「夢占い」
「・・・・してない」
「今調べてみろよ、俺も気になる」
「う・・・うん」
クラスメイト、海賊。
・・・異性。
「・・・・・・っ」
海賊に反応はしなかった検索機能。
「・・・何だったんだよ」
異性のクラスメイトが夢に出て来るのは、
その人のことが好きだから。
もしくはその人との進展がある。
・・・・と出た。
けどこんなの言える訳なくない!?
「で・・・・出てこなかった」
「んじゃ俺が調べてやるよ」
「いいいいいい大丈夫!!」
必死に否定する私を見てエースがニヤリと笑った。
「よし任せろ」
「ちょっ待っ!嘘でしょ!?」
エースは言うが早いかスマホを取り出して打ち込みだした。
「・・・・・・マジか」
「・・・・・ま、まあ占いだし?」
恐らくエースも私と同じ結果を見たんだろう。
顔を真っ赤にして呟いた。
「・・・これって、期待、してもいいのか?」
「へ!?」
気が付けばエースの熱い視線が私に向けられていて。
・・・・どうしよう私も今顔真っ赤だ、たぶん。
「その、アコも、俺のこと・・・好きだ、って」
思っていいのか?
「・・・・・・っ、え、待って」
も、って言った?
「俺は・・・ずっと好きだった、けどな」
「は!?」
「だから、まあ・・・・違うってんなら俺の気持ちがアコの夢に出たのかもな!」
なんて耳まで真っ赤にしてエースが笑うから。
今まで気にもしてなかったのに。
・・・心臓が跳ねて。
夢の中であの時、
手を出された時。
その手を取ってたらこんな笑顔が見れたのかもしれないと思った。
「・・・なァ。俺と一緒に来いよ。・・・だったか?」
・・・・夢と同じ台詞。
同じように出された手。
でも火が出てないから、
私はその手を取れる。
「・・・今日好きになったって言ったら怒る?」
恐る恐る聞きながら手を取ったら、ぎゅうと握りめられた。
「大歓迎!」
にし、と笑ったその顔はやっぱりカッコ良くて。
「・・・エース前世は海賊だったりして」
「前世の俺と今の俺どっちが好きなんだよ」
少しふて腐れた顔のエースの頬に、
口づけた。
・・・私も、負けないから。
今日から始まった恋。