短編⑤
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
抱きしめられたり、キスされたり。
その他諸々されると、やっぱり照れる訳ですよ。
相手が好きな人なら尚更で。
ドキドキして、心臓が破裂するんじゃないかって思うくらいで、
顔なんかもう自分でわかるくらいに熱くなって赤くなる。
勿論嬉しいと思うし幸せでもあるんだけど。
・・・・・・・・・・・でも、
それが何だか私だけかと思うと。
悔しい。
昨日の夜、すれ違い様お頭に名前を呼ばれて振り返った瞬間。
「おやすみアコ」
と、額にキスをされた。
まさかの不意打ちに真っ赤になった私をお頭は本当に楽しそうに笑いながら去って行って。
私は思ったのだ。
お頭の照れた姿が見てみたい!
と。
という訳で、
早速実践。
と言っても私とお頭じゃ身長差があり過ぎて不意打ちのキスなんて出来ないので。
「あ、お頭っ」
出会いがしらに抱きついてみる。
「なんだ、アコ。今日はいつにも増して可愛いことするじゃねえか」
・・・・・・・・・・・・・全然照れない。
嬉しそうではあるけど、余裕で私を受け止めてくれてる。
思い切ってぐ、っと顔をあげて全力でお頭の頬に狙いを定めて。
これまた不意打ちのキスを仕掛けた。
「・・・・・・・・アコ」
と、少し驚いた声を出したお頭に、
これはイケる!と期待したものの。
「ベンに何か言われたのか?」
「・・・・・・・は?」
「俺に何かさせるっつー魂胆だな?」
途端真剣な顔でそんなことを言い出した。
「・・・・・・・・・・・・・・もういいです」
はあ、と深いため息を吐きつつお頭から離れた。
次の作戦考えなきゃ。
「おーいアコ?悪かった、悪かったからもう1回やってくれ今の。つーかヤらせ」
「知りませんっ」
結局照れたのは私だけ。
むむ・・・・!!
1回部屋に戻って、もう1回考える。
よく考えたらこんなことでお頭が照れる訳ないか。
・・・・・・・・・普段やらないことで。
お頭が照れそうなこと。
「おーかしら」
「ん?どうしたアコ」
もうこれしかない。
お頭の部屋に行くと書類と睨み合いをしてるお頭がいたのでチャンス。
「わ、お仕事してるんですね。偉いですお頭!」
「あ、ああ・・・・そうか?」
「カッコいいです、お頭。素敵です」
「まあ、俺だってたまにはやるさ」
けれどお頭は嬉しそうに笑うだけ。
・・・・・・・・・・や、それだけでも可愛いなって思うんだけど。
こっちがドキドキしちゃう。
嬉しそうな笑顔も、
「アコ?どうした?」
心配そうな真剣な顔も。
私が照れるには十分で。
・・・・・・・・・・・・・負けたかも。
そう思った瞬間、
「お頭!襲撃です!」
ドアがバン、と開いて入ってきた仲間から告げられた襲撃宣告。
「残念だが、これはここまでだな。大丈夫か、アコ?」
「あ、はい」
あんまりないことだけど、
もう襲撃には慣れてる。
それでもいつも気を遣ってくれるお頭が好きだなあと思う。
大好きで、
信じられる。
「何かあったらすぐ言えよ」
ぽんぽん、と私の頭を優しく叩いて背を向けたお頭に、
「大丈夫です。信じてますから」
心の底からの気持ちを伝えた。
「・・・・・・・・そうか」
「お頭?」
「アコにそこまで言われちゃ、頑張らない訳にはいかねェな」
一瞬だけ振り向いて笑ったその頬に少しだけ紅がさしていて。
「え」
・・・・・・・・・・もしかしてお頭、
今、
照れた?
その表情に、
やっぱり私が照れた。