短編⑤
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
長いこと拠点にしていた島を出て、1日が過ぎた。
胸にぽっかりと穴が開いたような気分。
「お頭っ」
甲板でお頭の姿を見かけたので、
勢い良く抱きついてみた。
「お、っと。どうしたアコ?珍しいなアコから抱きついてくるなんて」
お頭は余裕で私を受け止めてくれた。
「・・・・・・・・・・かたい」
「は?」
「お頭の身体。かたいです」
ぽかんと口を開けて間抜け面なお頭に簡単な説明をする。
「そりゃまあなァ。アコはやわらかいなー。気持ちいい」
そして今度はだらしなく口元を緩めてニヤニヤし始めた。
「・・・・・それはあれですか、太ってるってことですか」
「おいおい、そんなこと言ってねえだろう?アコは女だから柔らかくて当然だ」
「そこなんですよ!」
「・・・・・・・今度は突然何だ?」
突如大声をあげた私にお頭は苦笑を浮かべつつ、優しく問いかける。
「女の子って柔らかいんですよね。私ずっと忘れてました」
「・・・・・・何かあったか?」
首を傾げるお頭に、更に細かく説明する。
「昨日長いこと拠点にしていた島を出たじゃないですか」
「ああ、そうだな」
「で、あの島に私と仲良くしてくれた女の子居たじゃないですか同じ年くらいの」
「ああ、居たな」
「その子とお別れの時、抱きしめ合ってお別れしたんですよ」
「ああ、見てた」
「見てたんですか。・・・・とまあ、そういう訳です」
あれ、あの時お頭何処に居たんだっけ。
「つまり、どういうことだ?」
「女の子って柔らかくて気持ちよくて、いいなあって」
この船には私以外の女の子が居ないから、
すごく新鮮だった。
忘れていた、女の子の柔らかさ。
ぬくもり。
「女のクルーが欲しいってんなら無理だぞ」
「・・・・・・何でですか」
そう、お頭の言う通り私は私以外の女性のクルーが欲しかった。
でも私のその切なる願いはあっさりと切り捨てられた。
「何でも、だ」
「納得出来ません」
「・・・・・・・・・あのな、アコ」
「浮気しない自信がないからですか?」
断固としてNOと言い張るお頭にむっとなって言い返す。
「バカ言え。お前以外の女なんか興味ねえよ」
「じゃあ何で、ですか?」
「あー・・・・・・・・・それは」
「それは?」
「・・・・・・それは、何だ、その、アレだ」
浮気しないと言いながら、女性のクルーを入れない理由を言おうとしないお頭。
・・・・・・・・・・・怪しい。
「アレって何ですか。ちゃんと説明して下さい。・・・・・出来ないなら」
「出来ないなら?」
「泣きます」
お頭は私の涙に弱いと知ってるから。
だからそう言えば、
「・・・・・わかった、言う。言うから泣くな」
お頭は渋い顔で頷いてくれた。
「お願いしますっ」
「・・・・・・女のクルーを入れると」
「入れると?」
ごくり、と唾を飲み込んだ。
・・・・その、理由は?
「アコが俺に構ってくれなくなるだろ、絶対」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい?」
え、あれ、聞き間違えた?
「うちの船に女が居たらアコは絶対そこかしこでいちゃいちゃすんだろ?その女と」
「・・・・え、だって女の人ですよ?」
「ただでさえ俺に構ってくれてねえのにそんなことになったら俺はどうすりゃいいんだ」
「あの・・・・・・お頭?」
戸惑う私にお頭は至って真面目な顔で続ける。
「だから駄目なんだ。わかったか?」
「・・・・・理解はしました」
でも納得はしてません!
「よし。んじゃあ部屋行くか」
お頭は私の答えに満足げな笑みを浮かべ、私の腕を掴んだ。
「・・・・・部屋?何でですか?」
今度は私が疑問符を浮かべる番で。
さも当然のように部屋に行こうといきなり言い出したお頭に尋ねてみると、
「誘ったのはアコだからな?覚悟は出来てるんだろう?」
「さそっ!・・・・・ってないですよ私!?」
「さて、どっちの部屋がいい?アコの部屋でもいいが俺の部屋の方が」
「話を聞きましょうお頭!」
私の言葉なんか聞く耳持たず。
問答無用で私は片腕のお頭に引きずられ。
「ぎゃあああああ!!!」
言わなきゃ良かった。