短編⑤
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「出来たっ」
ナースさん達と楽しく作ったそれは、
生クリームたっぷりのケーキ。
スポンジがやや焦げたけど、許容範囲内。
「上出来じゃない。美味しいって言ってもらえるといいわね」
「え?」
「・・・・・何、今の反応は」
眉を顰めるナースさんに私も怪訝な顔。
「え、だってこのケーキ・・・・」
「エース隊長にあげるんでしょう?」
「あげませんけど」
「・・・・・・喧嘩でもした?」
「してません」
「・・・恋人よね?エース隊長と」
「そうですよ」
「何であげないの?」
「だってこんなに美味しそうに出来たのに!」
「2人で食べればいいじゃない?」
まあせっかく作るなら、と大きめのを作ったから1人で食べるには十分過ぎるサイズ。
「うーん、でもエースって甘いの好きかなあ」
激辛ペペロンチーノが大好物の人だからなあ。
「あげたら喜ぶと思うけど?」
「・・・・・や、でも、その」
「・・・・そんなに嫌なの?」
「嫌、と言うか・・・・恥ずかしいんです」
「恥ずかしい?」
「皆に、ならいいんですけど。エースにだけ何かっていうのが」
「なら勇気出して誘ってみなさい」
部屋にでも呼び出しなさいな、と軽やかに笑ってナースさんは去って行った。
・・・・という訳で部屋に持ち帰ってきたケーキ。
でもなんかわざわざ呼ぶのも恥ずかしい。
こんな時こそエースから来てくれたらいいのに。
いつもは用がなくても何かと顔を出してくるエース。
・・・今日は来ない。
むむむ・・・・・!!
ケーキ・・・・喜んでくれるかな。
今まで何かと言い訳つけてエースの為だけにせがまれるまで何かを作ったことはなかった。
・・・・・今回は頑張って声かけてみようか。
まずエースの部屋に行ってみて。
居なかったらこのケーキは1人で食べよう。
そうしよう。
覚悟を決めてエースの部屋へ。
軽くノックをして、
「エース、いる?」
「おーどうした?」
居ました。笑顔でドアを開けてくれました。
・・・・・こうなれば誘うしか、ない。
「あ・・・・・あのね。私の部屋、来て」
「何だ、虫か?」
「違う」
「じゃあ・・・・あれか?・・・昼間からお誘いか?」
「もっと違うっ!!」
「じゃあ何だよ?」
「ケーキ、好き?」
「ケーキ?嫌いじゃねェけど」
「一緒に食べない?」
「そういうことなら早く言えよ、行くに決まってんだろ」
エースは満面の笑みで頷いて、
2人で私の部屋へ。
「おーっ美味そうじゃん」
「あ、今お茶淹れて来るね」
「悪ィな」
エースと部屋で2人きり。
・・・今までになかった訳じゃないけど少しドキドキ。
お茶の準備を済ませて戻れば、
「おかえり」
と言いながら生クリームを口の周りにつけたエース。
「・・・・もう半分食べたの?」
「これ美味いな!何処のやつだ?」
「へ?」
「この間までいた島で買ったんだろ?」
あ、そっか。
エースには私が作ったって言ってないんだった。
「・・・・え、と。それ・・・私が作りまし、た」
「え」
エースは目をまん丸くして私を指さす。
「・・・・作った?アコが?マジで?」
「マジで」
こくりと頷くと目をぱあぁぁと輝かせ、
「すっげェ!飯だけじゃなくてこんなのも美味いんだな!」
とぱくぱく、もぐもぐ。
「ごちそーさまでした」
そしてあっという間に完食。
私の分・・・・!!
・・・まあ、喜んで食べてくれてたし・・・いっか。
「・・・エースって甘いのあんまり食べないのかと思ってた」
「基本的に嫌いなものはねェよ」
「そうだけど」
「・・・・っつーか」
「うん?」
「好きな女が作ったモンは何でも美味ェ」
・・・そう言って幸せそうに微笑むエース。
ああ、私幸せだなあ、なんて。
「・・・ありがと、エース」
「礼を言うのはこっちだろ?すげェ美味かったぜ?」
「私の分も食べちゃったもんね?」
「あ。・・・・わり」
「今日は特別に許しましょう」
嬉しいから。
これからは甘いの作ったらエースと一緒に食べよう。
心にそう誓った。
「・・・・なァアコ」
「おかわりならもうないよ」
「じゃなくて」
「・・・なに?」
エースがやけに真剣な顔で見て来るから目が離せない。
不意に顔が近づいて、
「・・・ケーキ味のキス、しませんか」
なんて言うもんだから。
待って今その口でキスしたら私まで生クリームまみれになるんですけど!?
とは言えなくて。
「・・・・はい」
生クリームまみれになる覚悟を決めて目を閉じた。
すぐに重なった唇からあふれる甘さ。
離れてエースが私を見て笑ったので、
「エースもだよ」
と教えて私も笑った。
勇気を出して、
甘い時間。
楽しみましょ。