短編⑤
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「理想の告白?」
「こんな場所でこーんなこと言われてみたい、みたいなやつ」
そう私に聞いて来たのはこの大学の誰もが知るモテ男。
幼馴染のサボ。
「サボなら聞く必要ないんじゃない?」
「それは否定しない」
しないんかい。
「ちゃんと好きなコのこと考えた方がいいよ」
「考えてるけど・・・俺は仲間思いだからな」
「ああ・・・誰かからの依頼?」
「そんなとこ。だから参考までに聞かせてくれよ」
「告白ねえ・・・好きな人に言われるのが1番いい」
「身も蓋もないな、そりゃ」
「まあね」
「じゃあどんな奴を好きになる?」
「・・・・私の話し?」
「それでいい」
「美味しい物を食べさせてくれる人」
「食い物か」
「でもって告白されるなら美味しいものを食べてる時がいいなあ」
「・・・・あー参考になった、ありがとな」
サボは全然感謝なんかしてないような顔で去って行った。
・・・変なの。
告白かあ。
されるのもいいけど私はしたいかもしれない。
好きな人が居るのなら。
・・・いやまあ居るんだけど。
という訳で帰り道。
「エースの理想の告白は?」
本人に聞いてみるに限る。
これまた幼馴染のエース。
・・・・私の、想い人。
「俺がする方じゃねェのかよ」
「される方で」
「されたくねェ」
男として。
なんて嫌な顔。
マジか。
私告白出来ないじゃない。
「・・・・されると仮定したら?」
「あー?・・・・・お前はどうなんだよ」
「私?理想の告白?」
「ん」
「美味しい物を食べてる時」
「・・・妙にあっさり出てくんな」
訝し気な顔のエースに、
「さっきサボに聞かれたから」
と答えれば、あんの野郎・・・と言いながら顔を真っ赤にした。
「美味いモン、だァ?」
「ステーキとかハンバーグとか焼肉とか・・・ラーメンもいいなあ」
「肉ばっかじゃねェか。そんなん食ってる時に告白されて嬉しいか?」
「その人が一緒に美味しいって食べてくれる時なら嬉しい」
美味しい物を分かち合える人は好きだし。
「お前さ・・・・サボに告白されたらどーすんだよ」
「サボに?あり得ない」
突然エースが訳わからないことを言いだす。
「あり得ないことはないだろ・・・・考えてみろよ、されたら」
言われて想像してみる。
「・・・・・・何が目的って聞いてみる」
「ひでェなオイ」
「まあ冗談は置いておいて。されてみないとわかんないかな」
「・・・あ、そ」
「で」
「・・・何だよ」
「エースはどうなの」
「・・・何が」
「どんな告白されたいの?」
さっきははぐらかされたけどこの話し終わるまでは帰る訳にはいかない。
「別に」
「・・・・エースって結構モテるよね?」
「普通だろ」
と言ってはいるけど、小さい頃から何度か告白されてるのを目撃したことがある。
「でも彼女は作ったことがない」
「・・・うるせ」
「今まで1番嬉しかった告白は?」
「ない」
「・・・手厳しいなあ」
「好きな女からの告白じゃなきゃ嬉しくはねェよ」
あー正論。
「それもそっか・・・」
ますます告白できなくなっちゃったなあ。
「・・・まあでも、嬉しくない訳じゃねェ」
「だよね。私も告白してみよっかなあ」
「はァ!?誰にだよ!!」
「好きな人」
「だから誰だよそいつ!?」
「内緒ー」
「サボか!?」
「そんな血迷ったことはしません!!」
サボに聞かれたら怒られそうだけど。
「・・・アコこのあと時間あるか?」
「え、あるけど」
「飯食って行かねェ?奢るから」
「エースの奢り?」
「そいつの話し聞かせろよ」
ということでやって来たファミレス。
「俺の知ってる奴か?」
知ってる・・・・というか本人ですが。
「はい、ポテト。あーん」
「・・・・・・・・・・食わせんな」
と言いつつ私が差し出したポテトを素直に口を開けて食べるエース。
「美味しい?」
「・・・・んまい」
もぐもぐと咀嚼するエースを見つめて可愛いなあと思う。
エースのこと、きっともうすぐ寝ちゃうんだろう。
「ハンバーグも美味しいよ」
「・・・・・・ソース、ついてる」
「は」
不意にエースの手が私の頬に伸び、
ソースを拭い取る。
そしてそのままぺろり。
「・・・・あり、がと」
「少しは意識したかよ」
「エースこそ。私もう子供じゃないんだから」
「知ってる」
「・・・・・っ、ねえ」
「美味いなコレ」
「って私の!!」
いざ告白しようとした瞬間ハンバーグ取られた。
「今、でいいか?」
「・・・食べ終わった後に聞かれても」
「そっちじゃねェ。好きだって・・・今でもいいか」
「・・・・・・・・な、に」
「サボにも・・・誰かわからねェ奴にも渡すつもりないからな」
俺はお前が、アコが好きだ。
「・・・・うそ」
「嘘じゃねェ。理想のタイミングとかにはならなかったかもしれねェ、けど」
「最高のタイミング。私も・・・今好き、って言っていい?」
「・・・・マジで?」
「マジで」
美味しいもの食べて笑顔になって。
好きと伝えて、
伝えられて笑顔になって。
きっとこれ以上ない、
素敵な告白のシチュエーション。
だと思いません?
(ちなみにサボはエースの為に聞き出そうとしてただけだったらしいです)