短編⑤
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「理想のプロポーズの仕方?」
「そそ。何かあんだろ?」
1つや2つ、と軽い口調で問われた。
私の恋人でも何でもないただの友人のヤソップさんに。
とは言え恋人であるシャンクスの友人でもあるんだけど。
今日は2人で飲みたいと言われたのでシャンクスの承諾を得たうえで飲みに来てるんだけど。
「まあ、なくはない・・・・」
「どんなもんかちっと聞かせてくれよ」
「えー・・・何でヤソップさんに」
「まあいいじゃねえの。な?」
「あくまで私の場合でしか話せませんけど」
「それでいいから」
理想のプロポーズ、かあ。
そりゃあ綺麗な夜景のレストラン、とか。
テーマパークのお城の前、とか。
色々考えたことはあるけど。
「1番大事なのは・・・言葉ですよね」
「何か色々言ったほうがいいとか?」
「逆に。シンプルにわかりやすい方がいいですね」
「あー・・・なるほどなァ」
「君の味噌汁を毎日飲みたいとか言われてもいやアンタも作れってなりますし」
真剣に答えてるのにヤソップさんはこれに大爆笑。
「んで、場所とかタイミングとかにこだわりはない訳か」
「まあ・・・そうですね。ていうかそういうのは自分で考えて欲しいです」
そういうのも含めて返事を考えたいから。
まあ人目がある場所では恥ずかしいからご遠慮願いたいところだけど。
「おー厳しいなァ。ま、参考になったわ」
ありがとよ、と自分の分のお金を置いてヤソップさんは満足げに出て行った。
・・・何だったの。
プロポーズ、かあ。
シャンクスは考えてるんだろうか。
シャンクスならどんなプロポーズになるかな。
まあ本当に好きな人からならだいたいどんな時でも承諾しちゃうものだと思うけど。
さて私も会計をして出ようかとレジに向かったら、
「お支払いは済んでおります」
と言われた。
「え」
ふと入口を見るとこっちを見て手を振ってる男性が1人。
「来てたの?シャンクス」
恋人のシャンクスがレシートを手に待っていた。
「俺も混ぜてもらおうかと思ってな」
「でもヤソップさん帰ったわよ」
「ああ、さっき会った。それなら俺の可愛い恋人もうすぐ出て来るだろうと待ってたんだ」
「その通りになったって訳ね。・・・ねえ、ヤソップさんて奥さんいるわよね」
「ああ、勿論。息子も居る」
「・・・だよね」
なら何で私にあんなこと聞いたのか。
「・・・・まさかとは思うがアコ」
「何?」
「誰であろうと渡す気はない」
なんてシャンクスが真剣な顔で言うから、
「勿論。誰であろうと乗り換える気はないわ」
「そりゃ安心だ」
腕を組んで微笑みかければシャンクスは満足そうに笑った。
「シャンクス明日は仕事?」
「いや、休みだ。何処か行くか?」
「今日シャンクス飲み損ねちゃったでしょ。何処か美味しいとこでも2人でどうかなって」
「優しいなァ・・・言葉に甘えさせてもらおう」
「シャンクスの行きたいお店でいいわよ」
「考えておこう」
次の日待ち合わせ時間の前にシャンクスから連絡があった。
『たまには家に来ないか?』
と。
簡単なものなら用意出来るから、とのこと。
特に異論もなかったので2つ返事でOKして、
迎えに来てくれたシャンクスの車に乗った。
「シャンクスが腕によりをかけてくれるの?」
「ああ、たいしたモンは出来ねェが・・・」
「ううん、楽しみ」
話しながら運転するシャンクスの横顔を見つめる。
・・・少しだけ、ほんの少しだけ眉間に皺が寄ってる。
具合悪いのかな?
・・・それか緊張してる?
「・・・シャンクス?」
「ん?」
「何かあった?」
「いや?・・・・まだ、な」
「まだ?」
「こっちの話しだ。問題ないさ」
「・・・なら、いいけど」
他愛もない話しをしながらシャンクスの部屋に入って、驚いた。
「昼から・・・・だが、たまにはいいだろう?」
テーブルに並べられたお酒。
とご馳走。
「・・・これシャンクスが?」
「アコの口に合うといいんだが」
お洒落なグラスにお酒が注がれて。
グラス同士を合わせて乾杯をした。
「頂きます」
ん、美味しい。
「このカナッペ美味しい・・・サラダも、すごく」
「簡単なものばかりではあるが・・・なかなか上手く行った」
「有難うシャンクス。昨日も私シャンクス置いてきぼりにしたのに」
「いいんだ、気にするな」
デザートもあるんだ、とシャンクスは満足そう。
・・・・・ふと、こんな何でもない日常の中の。
ちょっとした特別な時間。
プロポーズはこんな時でもいいかな、なんて思ってしまった。
シャンクスが私との結婚を考えてくれてるかはわからないけど。
・・・私から逆プロポーズ、とか。
なんてね。
「そろそろ甘いのはどうだ?」
「頂くわ」
シャンクスが持ってくる、と立ち上がって。
数分が過ぎた。
・・・・まさか今作ってるってことわないわよね?
「・・・シャンクス?」
不安になって立ち上がると、そこには。
「すまん、待たせた」
「え・・・・・・っと」
何本あるかわからない程たくさんの薔薇の花束を抱えたシャンクスが居て。
「受け取ってくれるか?」
「どういう、こと・・・」
「アコ。俺と結婚してくれ」
「・・・・・・なるほど」
腑に落ちた。ようやく。
「・・・なるほど、ってのは」
「ヤソップさんに頼んだでしょ、昨日」
「バレたか」
私の推理にシャンクスは悪戯がバレた子供のように笑った。
「昨日の今日じゃバレバレよ」
「昨日のアドバイスを聞いて自分なりに考えてみた結果だ」
人前でのプロポーズは恥ずかしいだろう?
とシャンクスも名推理。
「ご名答。今が1番いいタイミングだったわ」
「ということは、返事は」
「勿論」
今この時の、あなたのプロポーズが1番の理想よ。