短編⑤
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
この間まで居た夏島を出て、
もうだいぶ過ぎた。
・・・・・いい加減、何とかしてェ。
「なァ、アコ」
「あ、ごめんエース父さんに呼ばれてるのー!!」
「お・・・おう」
オヤジに呼ばれたんなら仕方ねェ。
慌てて部屋を出て行くアコを見送って、軽くため息を吐いた。
・・・・・・・・最近全然触れてない。
でもそろそろ、触りたい。
仕方なく俺も部屋を出たら、
「お、どしたエース。元気なさそうだな」
サッチがたまたま通りかかって、声をかけてきた。
「・・・・・・・アコが」
「まぁたアコちゃんのことかよ。お前ら両思いなったんだろ?」
数ヶ月前、サッチの助けを得て俺とアコは恋人になった。
・・・・・俺も、浮かれてた。
「この間、夏島行ったろ?」
「ああ」
「俺はアコの水着が見れると思って楽しみにしてたのによ」
「拒否られたって訳か」
「恥ずかしいからヤダ、ってよ。くっつこうとしてもエース熱いからって離れようとしやがるし」
「あーあ」
それ以来ずっと、ぎこちないままで来てる。
この雰囲気を、
この関係をいい加減何とかしてェもんだ。
せっかく恋人になったのに。
「馬鹿だなエース。俺の前でだけ水着姿見せてくれって言や良かったのに」
「は?」
「部屋で2人きりの時なら喜んでなったんじゃね?」
「・・・・・・・・・・そっか」
恥ずかしい、っていうのは他の奴に見られたくねェって意味だったのか。
「ま、お前が熱いのは仕方ないよな。メラメラの能力だし」
「・・・・・・・・だよな」
再びため息を吐いたとこで、サッチがにや、と笑った。
「だがなエース君。今後はチャンスだぜ?」
「チャンス?」
「今目指してる島は?」
「冬島」
「冬島の気候は?」
「寒いに決まってんだろ?」
「ってことは熱々のエース君がくっついても?」
「・・・・・・・・・嫌がられない?」
「でもって冬島には温泉がある。当然混浴も」
「・・・・・・混浴」
「2人で生まれたままの姿で時間を過ごせば当然進展もあるわなァ?」
思わずガッツポーズ。
「っしゃ!サンキュサッチ!」
冬島なら遠慮なくアコに触れる!
混浴・・・!
「さむっ」
ぶるっと身体が震えた。
冬島に着いたせいで、すっごく寒い。
「さあアコ!温泉よ温泉!」
「やった温泉!」
ナースさんおススメの温泉があるとかで、
一緒に来てるんだけど。
「あ、私たち用事済ませてから行くから先に行ってて?」
「はーいっ」
そんなナースさんの言葉に疑いも持たず、
準備を済ませて入った、露天風呂。
冷たい身体を湯船に入れると、
心もほぐれる。
「ほぁぁ・・・・」
気持ちいい・・・。
ちゃぷちゃぷとお湯で遊びながらナースさん達まだかなーと思ってると、
入り口から誰かが入ってきたのが見えた。
「・・・・・・・・・・・・え?」
その姿を見て、私は絶句。
「へェ、結構広いな」
「えっ、えええええエースぅ!?」
「・・・・・・よう、アコ」
下にタオルを巻いただけのエースは爽やかに笑って湯船に入ってきた。
ちょっと待って、ちょっと待って!!
「ななななんでエースがここにっ、だってここっ、」
「混浴だからな」
「はいいいい!?」
混浴なのここ!?そんなの聞いてない!
「私もう出るっ!」
「おい、アコ待っ、・・・・ってアコ」
慌てて立ち上がった私をエースは驚いたように見る。
「何!?」
「・・・・何で水着着てんだよ」
ほんと!水着着ておいて良かった!
水着OKって書いてあったから・・・ってそれはアレか、混浴だから!?
「・・・・買ったけどまだ着てなかったやつ」
「何で夏島で着なかったんだよ?」
「・・・・・だって」
「だって?」
「あの時すっごい太ってたし・・・私1人で泳ぐ訳にいかないじゃん」
エースは能力者で、泳げないのに。
「っていうか!私もう出るから・・・っ」
「アコ、行くなよ」
「でも他の人来ちゃう・・・・っ」
いくら水着着てるとはいえ恥ずかしいもんは恥ずかしいんだ!
と思ったら、
「誰も来ねェよ」
エースはあっさりと言い放った。
「・・・・・・・・・何で言い切れるの?」
「ここ、オヤジの知り合いのとこで、貸し切りなんだぜ」
「・・・・でもすぐナースさん達が、」
「だから来ねェって。今日は俺とアコだけの貸し切りだから」
「ええええ!?」
ででででも!エースと2人きりなんてもっと恥ずかしい!
「・・・・な、アコ」
エースは私の方に近いづいてくると、
何かを探るような目で見てきた。
「・・・・・・な、なに?」
「俺達、付き合ってんだよな?」
「う・・・うん」
「ここはもう夏島じゃねェし、暑くないよな?・・・触っても、いいだろ」
「ででででも、私水着で・・・エース、は、ハダカでっ」
素肌同士、で。
腕が、触れた。
「あ・・・・っ」
「逃げるなよ、アコ」
心臓がぎゅーっと締め付けられた。
「に・・・逃げたい」
「・・・・・・・・・俺のこと、嫌いか?」
「好きだから逃げたいの!エースカッコイイし好きだから苦しくて見たいけど見れないし恥ずかしいしああもう私はどうしたらっ」
「・・・・アコ?」
エースは私の名前を呼んだ後、
そっと私の胸に手を伸ばした。
「ちょっ、ええええ、えす、えええーす!!」
「すっげェドキドキ言ってる」
「や、やだっ、えーす・・・!」
「可愛い、アコ」
そのままむに、と揉まれた。
「急展開過ぎです!!!!」
頭が爆発しそうになって叫んだら、
エースがぶはっ、と噴出した。
「はははっ、悪ィ。でも安心した」
「・・・・安心?」
「嫌われてるんじゃねェかって思ってたし」
「・・・嫌いだったら私も好き、なんて言わないよ」
「だよな。じゃあゆっくり、な」
言いながらエースはちゅ、と私の頬に唇を押し付けた。
「・・・・・・・・・・・っ!ガンバリマス!」
幸せなエース君は、
それでも『のぼせるからもうエースとはお風呂に入りたくない』
と言われたそうだ。
by 4番隊隊長