短編⑤
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「一瞬でいいから強く求められたい、って思ったことある?」
とある島で出会ったお姉さんは、
お酒を飲みながらそう言った。
「・・・・・・・・・ない、ですね」
「あなたは幸せなのね」
「お姉さんもしかしてお頭のこと、」
「あら、あんなに素敵な人じゃないわ。もっと最低な男よ。私を置いて行ったの」
「・・・・・海に?」
「そうよ、色んな海を見てみたいって」
「・・・・それは、寂しいですね」
「私は好きだから行かないでって言ったんだけど」
「駄目、だったんですね」
「僕も好きだけど海へ行く、ですって」
・・・・・・そう言って、
寂しそうに笑ったお姉さんの顔は、
目の焼きついた。
数日後、船は無事に出航した。
揺れる波を見ながら、
私は考える。
・・・・・・・・もし私が、
お頭に置いていかれたら。
考えただけで頭も心も重くなる。
・・・・・・・・もし、そうなったら。
強く求められたいって思うのかなあ、私。
「なーに黄昏てんだアコ?」
ぽん、と頭に乗せられた大きな手。
大好きな匂い。
これが・・・・なくなっちゃうのかあ。
「おい、アコ」
「・・・・・・・お頭」
「ん?どうした?」
「お頭は・・・・一瞬でいいから強く求められたいって思うことあります?」
私のこの真剣な問いにお頭は一瞬きょとん、として。
「ねェな」
すぐにそう言った。
「・・・・ない、んですか?」
「ない。一瞬で満足するような男に見えるか?俺が」
「・・・・・・・・・・・あ、そっちですか」
求められなくてもいいんじゃなくて、
『一瞬』が嫌なのね。
「・・・・・お前は今、そうだって言いてェのか?」
「や、そういう訳じゃないんですけど」
「けど?」
「もし大好きな人と離れることになったら、私もそう思うのかなあって」
思って。
「ほう、大好きな奴ってのは誰のことだ?ん?」
にやにやといやらしい顔で私の顔を覗きこんでくる、お頭。
・・・・・・・・・・何か素直にお頭ですって言うのも悔しい。
「渋くて強くてカッコ良くて頼りになる副船長」
「お前な・・・・そこは俺だろう?」
「素敵ですよねーベンさん」
にっこり微笑んで見せたら、
「・・・・・・・・覚えておく」
「え、」
妙に低いお頭の声が耳に届いたと思った途端悪寒がして、
目の前が真っ暗になった。
片腕にぎゅっと抱きしめられてる。
苦しいやら、嬉しいやら。
でもこんなことされたら、
「・・・・・・・・っおかしら」
「アコが大好きなのは、誰だ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・おかしら、です」
・・・・って言うしかないじゃん。
「そうかそうか、可愛いなーアコは」
言わせたくせに・・・・!
って悔しいけど、見得張った私もちょっと反省。
「で、何だってまたそんなこと考えてたんだ俺の可愛いアコは」
「・・・・・・・・・この間の島で、知り合ったお姉さんが」
「言ってた、と」
「・・・・・・・・・・はい」
ぎゅっと抱きしめられてる腕が強くなった。
「俺がアコを置いていくって?」
「・・・・置いていかれたら、どうかなあって」
お頭の腕に閉じ込められながら、考える。
「どう思った?」
「・・・・・・・・・・・・わかんないです」
お頭の胸元に吐き出した言葉は小さくて、
すぐに消えた。
続いて出来た言葉は、
「だって想像したくない」
しただけで、泣いてしまいそうになる。
心の底からの、
本当の気持ち。
でもその言葉は消えることはなく、
「想像しなくていい」
お頭が受け止めてくれた。
「でもいつか、」
いつか・・・・置いていかれることにならないって言い切れないから。
だから不安で、仕方なくて。
「いつかなんてねェさ」
耳に響いた力強い声。
「・・・・・・・・・・絶対、ですか?」
「絶対。むしろ掻っ攫うから安心しろ」
いつもならここでほっとして、
有り難う御座います、って言える。
でも、今は言えなかった。
「喧嘩、してても?」
「怒るアコも可愛いって知ってるか?」
「・・・・我が侭、言っても?」
「お前はもう少しくらい我が侭言え」
「・・・・ぶくぶくに太っちゃっても?」
「安心して俺の子が産めるな」
「すんごいすんごい太っても!?」
「鍛えて片手でも抱きあげらるようにしてやるさ」
「例えばすっごく悲しいことがあったとして、ずっと泣いてたら」
うっとおしく、感じたら。
「俺が笑わせてやる」
「お頭のこと、嫌いって言ったら」
「俺は愛してるから問題ないな」
「・・・・・・・・・・・っ」
えーと、えーと・・・・後は。
「他には?」
「え?え、っと」
「・・・・っつーかだな、アコ」
「は、はい」
腕の力が緩んだので顔を上げたら、
真剣なお頭の瞳とかち合った。
「一瞬どころか俺はずっとアコを求めてるんだが?」
優しい目が、
私の心に入ってきた。
・・・・・・・きゅん。
「そ・・・・・そうだったんですか?」
「・・・・・・・・・・・・お前、わかってなかったのか」
がっくりと肩を落としたお頭に思わず苦笑を浮かべた。
「・・・・・・ごめんなさい」
「俺はアコからもずっと強く求められてェって思ってる、とも言っておこう」
「・・・・・・・・う、ぇっと」
何て言ったらいいのか口の中でもごもご言葉を迷わせていたら今度はお頭が苦笑した。
「別に無理にとは言わねェし、強制でも命令でもねェから、今は気にするな」
「・・・・・・・や、あの」
「・・・・・・・・・どうした?」
・・・・恥ずかしいから下を向きつつ、
ぼそりと、
「・・・・・・・お頭の側に居たいって思いなら、いつも強くあります・・・ハイ」
呟いた。
・・・・・・・・あれ、反応ない。
ちら、とお頭の顔を見る為に再び顔を上げたら、
「ん、むっ・・・・」
目の前は真っ暗になって唇が塞がれてることに気づいたのは数秒後。
「アコの希望通り側に居ることにするか」
「へ?」
「よーし部屋行こうなー」
「あ・・・・・・・あれ?」
「俺は今無性に求めてるから、な」
いや、私の望みはそんなことじゃないんだけど!?
難しいなあ、
求め、求められ。
とある島で出会ったお姉さんは、
お酒を飲みながらそう言った。
「・・・・・・・・・ない、ですね」
「あなたは幸せなのね」
「お姉さんもしかしてお頭のこと、」
「あら、あんなに素敵な人じゃないわ。もっと最低な男よ。私を置いて行ったの」
「・・・・・海に?」
「そうよ、色んな海を見てみたいって」
「・・・・それは、寂しいですね」
「私は好きだから行かないでって言ったんだけど」
「駄目、だったんですね」
「僕も好きだけど海へ行く、ですって」
・・・・・・そう言って、
寂しそうに笑ったお姉さんの顔は、
目の焼きついた。
数日後、船は無事に出航した。
揺れる波を見ながら、
私は考える。
・・・・・・・・もし私が、
お頭に置いていかれたら。
考えただけで頭も心も重くなる。
・・・・・・・・もし、そうなったら。
強く求められたいって思うのかなあ、私。
「なーに黄昏てんだアコ?」
ぽん、と頭に乗せられた大きな手。
大好きな匂い。
これが・・・・なくなっちゃうのかあ。
「おい、アコ」
「・・・・・・・お頭」
「ん?どうした?」
「お頭は・・・・一瞬でいいから強く求められたいって思うことあります?」
私のこの真剣な問いにお頭は一瞬きょとん、として。
「ねェな」
すぐにそう言った。
「・・・・ない、んですか?」
「ない。一瞬で満足するような男に見えるか?俺が」
「・・・・・・・・・・・あ、そっちですか」
求められなくてもいいんじゃなくて、
『一瞬』が嫌なのね。
「・・・・・お前は今、そうだって言いてェのか?」
「や、そういう訳じゃないんですけど」
「けど?」
「もし大好きな人と離れることになったら、私もそう思うのかなあって」
思って。
「ほう、大好きな奴ってのは誰のことだ?ん?」
にやにやといやらしい顔で私の顔を覗きこんでくる、お頭。
・・・・・・・・・・何か素直にお頭ですって言うのも悔しい。
「渋くて強くてカッコ良くて頼りになる副船長」
「お前な・・・・そこは俺だろう?」
「素敵ですよねーベンさん」
にっこり微笑んで見せたら、
「・・・・・・・・覚えておく」
「え、」
妙に低いお頭の声が耳に届いたと思った途端悪寒がして、
目の前が真っ暗になった。
片腕にぎゅっと抱きしめられてる。
苦しいやら、嬉しいやら。
でもこんなことされたら、
「・・・・・・・・っおかしら」
「アコが大好きなのは、誰だ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・おかしら、です」
・・・・って言うしかないじゃん。
「そうかそうか、可愛いなーアコは」
言わせたくせに・・・・!
って悔しいけど、見得張った私もちょっと反省。
「で、何だってまたそんなこと考えてたんだ俺の可愛いアコは」
「・・・・・・・・・この間の島で、知り合ったお姉さんが」
「言ってた、と」
「・・・・・・・・・・はい」
ぎゅっと抱きしめられてる腕が強くなった。
「俺がアコを置いていくって?」
「・・・・置いていかれたら、どうかなあって」
お頭の腕に閉じ込められながら、考える。
「どう思った?」
「・・・・・・・・・・・・わかんないです」
お頭の胸元に吐き出した言葉は小さくて、
すぐに消えた。
続いて出来た言葉は、
「だって想像したくない」
しただけで、泣いてしまいそうになる。
心の底からの、
本当の気持ち。
でもその言葉は消えることはなく、
「想像しなくていい」
お頭が受け止めてくれた。
「でもいつか、」
いつか・・・・置いていかれることにならないって言い切れないから。
だから不安で、仕方なくて。
「いつかなんてねェさ」
耳に響いた力強い声。
「・・・・・・・・・・絶対、ですか?」
「絶対。むしろ掻っ攫うから安心しろ」
いつもならここでほっとして、
有り難う御座います、って言える。
でも、今は言えなかった。
「喧嘩、してても?」
「怒るアコも可愛いって知ってるか?」
「・・・・我が侭、言っても?」
「お前はもう少しくらい我が侭言え」
「・・・・ぶくぶくに太っちゃっても?」
「安心して俺の子が産めるな」
「すんごいすんごい太っても!?」
「鍛えて片手でも抱きあげらるようにしてやるさ」
「例えばすっごく悲しいことがあったとして、ずっと泣いてたら」
うっとおしく、感じたら。
「俺が笑わせてやる」
「お頭のこと、嫌いって言ったら」
「俺は愛してるから問題ないな」
「・・・・・・・・・・・っ」
えーと、えーと・・・・後は。
「他には?」
「え?え、っと」
「・・・・っつーかだな、アコ」
「は、はい」
腕の力が緩んだので顔を上げたら、
真剣なお頭の瞳とかち合った。
「一瞬どころか俺はずっとアコを求めてるんだが?」
優しい目が、
私の心に入ってきた。
・・・・・・・きゅん。
「そ・・・・・そうだったんですか?」
「・・・・・・・・・・・・お前、わかってなかったのか」
がっくりと肩を落としたお頭に思わず苦笑を浮かべた。
「・・・・・・ごめんなさい」
「俺はアコからもずっと強く求められてェって思ってる、とも言っておこう」
「・・・・・・・・う、ぇっと」
何て言ったらいいのか口の中でもごもご言葉を迷わせていたら今度はお頭が苦笑した。
「別に無理にとは言わねェし、強制でも命令でもねェから、今は気にするな」
「・・・・・・・や、あの」
「・・・・・・・・・どうした?」
・・・・恥ずかしいから下を向きつつ、
ぼそりと、
「・・・・・・・お頭の側に居たいって思いなら、いつも強くあります・・・ハイ」
呟いた。
・・・・・・・・あれ、反応ない。
ちら、とお頭の顔を見る為に再び顔を上げたら、
「ん、むっ・・・・」
目の前は真っ暗になって唇が塞がれてることに気づいたのは数秒後。
「アコの希望通り側に居ることにするか」
「へ?」
「よーし部屋行こうなー」
「あ・・・・・・・あれ?」
「俺は今無性に求めてるから、な」
いや、私の望みはそんなことじゃないんだけど!?
難しいなあ、
求め、求められ。