短編⑤
夢小説設定
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私だって曲がりなりにも白ひげ海賊団の一員な訳で。
でも私はナースさんのように医学がある訳でもなく、かといって美人でもスタイルが抜群な訳でもない。
料理は出来るけど、戦えないし。
・・・・・・・・・・何で私ここに居られるんだろうって思ったりもする。
『え、君が?白ひげ海賊団?嘘だろ?』
『じゃあ何が出来るの?』
たいていこう聞かれて、
『・・・・・・・・・・・料理』
としか答えられない私。
先日降りた島で久し振りに言われて、
かなり落ち込んでる今。
別に初めてのことじゃない。
でもやっぱり辛くて、苦しくて。
逃げるな、と自分に言い聞かせる。
ここで負けちゃ駄目だって。
・・・・・でも、想い‘続ける,っていうのは結構大変なことで。
負けてしまいそうになる。
「・・・・・・・・・・・・負けるもんか」
と1人呟いた時、
コンコン、とノック音が聞こえた。
「アコー?居るか?」
「エース?」
いつもと同じ、明るいエースの声。
慌てて私もいつもの顔を作る。
心配かけないように、しなきゃ。
「アコ?」
部屋に入ってきたエースは私を見るなりきょとん、とした。
「どうしたのエース?」
「・・・・なんか変な感じがした」
「え?」
変な感じ?
「ま、いいや。なあアコ、何か作ってくんねェ?」
「え?さっき夕飯食べたでしょ?」
「食ったけど、あんなんじゃ足りねェ。かと言って次に倉庫のモン食ったら1週間飯抜きってサッチに言われてるしよ」
「・・・・・・・・うん、じゃあ何か作るよ」
「よっしゃ!」
って、あれ?
・・・・・・思い出した、けど。
「今厨房にサッチさん居るよ?」
そうだ、まだ厨房にはサッチさんが居るハズだ。
なら私が行かなくても。
けれどエースは満面の笑みを浮かべて、言う。
「知ってるぜ?」
「え?」
「え、アコ今忙しいか?」
戸惑う私にエースも戸惑ってる様子。
「そんなこと、ないけど」
「俺はアコの作る飯が好きだから、アコに作ってもらいてェんだ」
駄目か?と首を傾げるエースが可愛くて。
・・・・・・・・・・好きだと言ってもらえたことが、嬉しくて。
「・・・・・私でいいの?」
それでもまだ不安な私にエースは笑う。
「アコがいいんだって言ってんだろ?アコと居ると楽しいし、俺アコのことすげェ好きだ」
真っ直ぐに私を覗き込むその瞳に嘘はない。
楽しい、とか、
好き、とか。
・・・・エースの笑顔とか。
その言葉だけでさっきまでの気持ちが消えていく私は現金な女かもしれない。
これからも頑張れる。
そう思えてしまう私は、
単純かもしれない。
「ありがとね、エース」
「は?飯作ってもらうの俺なんだから俺がアコに有難うじゃねェのか?」
「いいんだよ、私が有難う、なの」
困惑顔のエースにそう言えば、
「よくわかんねェけど、やっぱアコはその顔だよな!」
「・・・・・・・・・・顔?」
意外な言葉が返って来た。
「さっき部屋に入った時変な顔してただろ?でも今はちゃんと俺の好きなアコの顔で、安心した」
「・・・・・・・・・・・・・・・・よーし、とびっきり美味しいオムライスを作ってあげよう!」
「マジで!?」
「ケチャップでハート書いてあげるね!」
「腹に入ったら同じだけどな!」
「ロマンの欠片もないね!」
もし次に、
君は何が出来るの?と聞かれたら、
私はこう答えよう。
『皆を笑顔に出来ますよ』と。
きっとそれがここに居られる理由。
ちなみにここに私が居る理由は、
皆のコトが好きだから。