短編⑤
夢小説設定
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「うぅ・・・・・・・」
「・・・・大丈夫か?」
「だいじょーぶでぇす・・・・」
「大丈夫じゃねェな」
あっさり言い切ったエースに苦笑を浮かべる力ももう残ってない。
「大丈夫だって・・・ほら元気ぃ・・・・」
「何処がだよ。・・・ったく」
私としたことが。
風邪をひくなんて・・・!!
「ホントに大丈夫だからさ・・・もう行きなエース」
「嫌だ」
・・・・・驚く程返答が早かった。
「いやでもうつっちゃうし」
「別にいいんじゃねェ?」
「良くありません。風邪は辛いんだよ」
「辛いんだろ?だったら俺がなればいい」
そう言って優しい笑みで私を見下ろすエースがカッコ良くて。
ドキッとした。
・・・・また熱上がったかも。
「・・・馬鹿」
好きでもない女にそういうこと言わないで欲しい。
期待しちゃうから。
・・・勘違い、しちゃうから。
「俺は風邪くらいでどうにかなったりはしねェしな。何か欲しいモンあるか?」
「・・・・強いお酒をかっ喰らいたい気分」
「おいおい・・・・どういう気分だよ」
強いお酒一気に飲んでこのまま寝てしまいたい。
そういう気分だ。
「だって情けなくて」
「何がだよ」
「皆風邪なんかでダウンしたりしないのに」
「いや、する奴はするだろ」
「・・・・働かざるもの食うべからず、なのに」
「いつも真面目に働いてんだろ。休めばいいんだ、こういう時くれェ」
「・・・・いつも真面目じゃないよ」
「そっか?」
「たまにサボってる」
いつも真面目に、なんてやってられないよ。
「ぶはっ、いいんじゃねェ?それで」
「・・・・いいのかなぁ」
「いいんだよ」
「私、ここにいてもいいのかな」
・・・駄目だ、心も弱ってる。
「いいに決まってるだろ」
でもそんな私の弱い心をエースがぐっと引き上げてくれた。
強い声で、優しい笑顔で。
「・・・・ありがとね。でも明日からは真面目にやる」
きっと今日具合が悪いのは今まで真面目にやってなかったツケなんだ。
そう思うから。
でもエースはそんな反省してる私を笑って、
「サボればいいと思うぜ」
・・・・なんて悪魔の囁きをしてくる。
「駄目でしょそれは」
「そんで俺にちょっと食いモン持ってきてくれよ」
「・・・・怒られちゃうでしょー私が」
「一緒にサボれば一緒に怒られんな!」
うわ、眩し!!
なんて眩しい笑顔なの。
「・・・そういえばエース」
「ん?」
さっきからちょっと気になってはいたけど。
「夕飯食べたの?」
「ああ、食ったぜ」
・・・そうだよね夕飯食べもしないでエースがここに居る訳がない。
「ちなみに今日の夕飯何だった?」
「肉」
「・・・・・・そっか」
・・・・まあ肉はあるだろうね。
「皆大変そうだった?」
「いや、いつも通りだな」
「ホントに?」
「忙しそうではあったけどな。パニックって感じじゃなかったぜ」
エースは私の聞きたいことを理解してくれたようで、的確に説明してくれた。
・・・・・ほっとしたような、寂しいような。
複雑な気分だ。
「でも俺は物足りなかった」
「足りなかったの?じゃあサッチさんに何か作ってもらったら?」
まあエースがお腹いっぱい食べるのには結構な量が必要だから仕方ないんだけど、と思いながら助言すれば、
何故かエースはむっとした顔。
「そう言う意味じゃねェ」
「・・・・・そう、なの?」
・・・・何だか頭がぼーっとしてきた。
「・・・眠ィか?」
「ん・・・」
「側に居てやるから寝てろよ」
・・・・寝れる訳ない。
好きな人が側に居る状態で。
「いいよ、エース」
「・・・何でだよ」
エースは不機嫌そうに呟くけど、
「だって・・・気になる」
「俺が気になって寝れないってことか?」
「・・・・うん」
「気にしないで寝ろよ」
「・・・・無茶言わないで」
必死に伝える私にエースはそれでも譲らず、
「嫌だ」
・・・もう。
「側に居てェんだよ・・・」
・・・・・・・ほんとに、もう。
「・・・私が寝たら部屋に戻る?」
「戻らねェ」
「何で!」
「戻るって言ったらアコ寝たフリすんだろ?」
・・・・バレてるし。
「・・・心配してくれるのは嬉しいけど」
「心配じゃねェ」
「え?」
「心配・・・もあるけど・・・」
「・・・・・けど?」
エースの赤くなった顔に少し期待してしまう。
「み、見張りだ。アコが抜けだしたりしねェでちゃんと休んでるかどうか」
「・・・抜け出せる状態に見える?」
「・・・だ、だよな」
正直身体はだるく、眠い。
でも今もっとしんどいのはこのエースとの関係。
・・・・変わるかもしれない、時間。
「・・・・エースがおやすみのキスしてくれるなら居てもいいよ」
なんて、ちょっとだけ偉そうに言ってみるけど実はかなり勇気出した。
「いっ・・・・・・いいの、か?」
「エースが私のこと好きだっていってくれるなら」
して。
そう言ったら真っ赤なエースの顔が近づいて。
私はゆっくり目を閉じた。
すぐに私より熱いんじゃないかっていうほどの唇が重なって。
・・・・・・・安心した私はそのまま意識を手放した。
次に目を開ける時、
同じように真っ赤なエースがしっかりと、
『好きだ』
と言ってくれるまで。
私は夢の中で。