短編⑤
夢小説設定
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エースは嫉妬深い。
よくヤキモチを妬く。
まあでもそんなことは知ってて恋人になったんだけど。
・・・・・それにしたって。
「ナースさんだよ!?」
「近すぎだろ!?」
「いやいやいや相手サッチさんとかならまだしも!!」
「サッチなんか絶対駄目だ」
ナースさんにメイクを教えてもらってただけなのに。
いきなりエースが近い!!とか言って割り込んで来て、強制的にメイク教室は終了。
「サッチさんは私も嫌だけど!」
サッチさんにメイクなんて教えてもらいたくない。
じゃなくて。
「あんま可愛い顔他の奴に見せんなよ」
「無理」
「何でだよ」
「ナースさんに色目使う必要なんかないしエースが心配する必要何もないじゃない」
「楽しそうにしてるだろ」
「そりゃするよ、楽しいもん」
「それが駄目なんだ」
「何で!?」
「可愛いから」
可愛いと言ってくれるのは嬉しいけど!!
頭を抱える私にエースは、
「そんな顔他の奴が見たら・・・他の奴だってアコのこと好きになっちまうかもしれねェだろ」
と何処か拗ねたように呟く。
「ないない」
絶対ない。
「こんなに可愛いんだぜ?ないとは言い切れねェ」
「皆私とエースのこと知ってるんだよ?」
「ここにいる奴ら全員海賊なんだぞ」
「そうだけど・・・家族だよ」
「家族でも駄目だ」
・・・・埒が明かない。
「私はエースしか見てない。わかるでしょ」
ぎゅ、とエースに抱き着けば強く抱きしめ返してくれるエース。
「・・・俺、束縛してるよな」
ぽつりと聞こえた言葉に思わず苦笑した。
「・・・まあエースがヤキモチ妬きなのは知ってたけど」
まさかここまでとは。
「好きなんだよ」
「・・・・うん、大丈夫」
大丈夫だよ、エース。
エースに言いながら、自分にも言い聞かせる。
・・・大丈夫。
エースは私を好きなだけだから。
・・・・そう、思っていたのに。
「私が見てなかったらキスしてたんじゃないの!?」
「ンな訳あるか!」
「すっごい近かったよね!?」
ことの起こりは1時間前。
このモビーは珍しく敵船と遭遇。
戦闘になった。
と言っても結果はモビーの圧勝。
私はのんびりとエースの活躍を見ていたところ。
・・・・敵船の中に女性が居て、
エースがその敵の女性と応戦。
見るに堪えない程近かった、2人。
「戦ってたんだ仕方ねェだろ!?」
「仕方なくない!!」
「・・・って言われてもな」
エースは渋い顔で頭をぽりぽり掻く。
「エースなら炎で遠くから攻撃出来るじゃん!!」
「たまたま相手から近寄って来たんだよ」
「胸が大きかったねあの敵のお姉さん!!」
「まあ小さくはなかったな・・・」
「もういい。エースのばーか!!」
思い出しているかのようなエースに思い切り叫んで背中を向けた。
その瞬間ククッと笑い声が聞こえた。
「笑うとこじゃないですけど!?」
「だってよ・・・もう顔も覚えてねェ女だぜ?」
「・・・そうかも、しれないけど」
嫌だったんだもん。
「お前って・・・ほんっと・・・」
「・・・・何」
「可愛いよな」
目を細めて私を見つめて、愛おしそうに優しく髪を撫でてくれるエースに、
もう怒る気力はない。
「はあ、もう・・・・」
「俺はアコしか見てねェよ」
「・・・・うん」
・・・・何かいつもと逆だ、これじゃ。
初めてエースの気持ち、わかったかも。
戦ってる時のカッコイイエースを見てたら。
ああ、こんなカッコイイエース、
ナースさんの誰かが惚れちゃうんじゃないか、とか。
不安になった。
私より可愛いナースさんはたっくさんいる。
そしたらエースは。
・・・エースも、いつもこんな風に思ってるんだなあ。
「・・・ごめんねエース」
「ん?気にしてねェよ、嬉しかったし」
「今日のもだけど。いつも」
「いつも?」
「ヤキモチ妬かせちゃって」
「いいって。むしろいつも妬いてごめんな」
手と手を繋いで仲直り。
これからもずっと、
妬いて。
妬かせて。
ずっと一緒がいいな。