短編⑤
夢小説設定
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穏やかな波の音が耳に心地いい。
今日が嵐じゃなくて本当に良かった。
「あー・・・・・・・・」
ぐったりと甲板に横たわる。
頭が痛い。
気持ち悪い。
そして何よりだるい。
身体が重い。
「何やってんだよアコ。具合悪ィのか?」
たまたま通りかかった様子のエースが声をかけてくれて、
「・・・・・・・・・・・・・二日酔い」
答える私の悲しさ。
いや、情けなさ。
「ああ、そーいや昨日だいぶ飲んでたもんなァアコ。何かあったのか?」
「そりゃあね、この人数で生活してれば色々あるよ」
「・・・・・・・・・・何だそりゃ」
「でも大好きだから辛いっていうか」
「つまり?」
「言いたいことは色々あるけど全部言ってたらキリないしなんだかんだ皆大好きだから我慢しちゃうの」
エースにのせられて思い切り、一気にまくしたてた。
それを聞いたエースは少し苦笑して、
「それで昨日の無茶飲みか」
そう言いながら私に手を差し伸べてくれた。
正直起き上がるの辛いんだけどなー。
「にしたってこんなとこで寝てても仕方ねェだろ?余計具合悪くなるぜ?」
エースの気持ちを無駄にする訳にはいかず、
やっとの思いで手を掴み起き上がった。
「・・・・・・・・・・・音がね」
「音?」
「波の音、聞いてたいなって」
ぼーっとした頭に流れてくる波の音が、
気持ちよくて。
嫌なことも全部洗い流してくれる気がするから。
「仕方ねェな。寒くねェか?何か掛けるもん要るなら持ってくる」
「寒くないよ、大丈夫。寒かったらエースにあっためてもらうー」
あはは、と笑ってそう返せば、
ぴしっと固まったエースが面白い。
「・・・・・・・まだ酔ってんのか?アコ」
「酔いが醒めたから辛いんだって。頭痛いし気持ち悪いしだるいの」
「薬は?」
「ナースさんに処方してもらった」
たっぷりのお説教というオマケつきで。
あんな無茶な飲み方するな、と。
でもそれは心配してくれてるとわかってるし、私も反省した。
「こんなとこで寝てたら誰かに襲われるぜ?」
「こんな酒臭い女誰が襲うのよ」
「とにかく部屋で寝た方がいい。行かねェってんなら無理やり連れてくけど?」
エースが私のことを心配してくれてるのも、わかる。
でも二日酔いのせいか、今はまだ我が侭を言っていたかった。
「やだ」
「・・・・・・・・・お前なァ」
「もう少し、ここに居たい。だからエースも一緒に居て?」
「は!?」
呆れた後の驚くエースが可愛くて、思わず笑みが零れる。
あ。
何かさっきより具合少し良くなったかも。
「エースと一緒に波の音聞いてると具合良くなる気がする」
「気のせいだろ」
「お願い」
面倒くさそうなエースの瞳をじっと見つめてそう呟けば、
「・・・・・・・・・仕方ねェから、居てやるよ」
少しだけ顔を赤くしたエースからそう答えが返ってきて、やっぱり私はまた元気になった気がした。