短編⑤
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「太った」
「またか」
見たくなかった数字。
いやでも何となく予想はしてた。
エースと一緒に美味しい美味しいと食べ過ぎてたのは気づいてた。
・・・スカートの、ウエストのキツさにも。
「絶対リバウンドだぁぁぁ・・・・!」
「何でだろうなァ」
けろっと言うエースに、
「乗って」
「あ?」
「エースも体重計乗って」
「・・・・・こうか?」
乗せて見たけど。
・・・・エースの数字に変化はない。
「もうやだ。絶対エースのせい。同棲解消、お別れしましょ」
「は!?」
「だって同じもの食べててエースだけ太らないなんてずるい!」
「いやそんなこと言われてもな」
「しかも食べてる量は絶対エースの方が多いのに!」
「そりゃ俺は筋肉もあるし・・・」
「私も筋肉つける」
「まあやる気があるなら手伝うけどよ」
「ほんと!?」
「そりゃ同棲解消とか別れるとか言われるよりは」
「頑張る!」
「ってもなァ・・・・」
手伝うと言った割にエースは曇り顔。
「・・・何?」
「女は男に比べて筋肉つきにくいんだよ」
「そ、それはそうだろうけど・・・」
「ようはまた痩せれりゃいいんだろ?」
「でも・・・また太る・・・」
「油断しなきゃいいんだよ」
・・・ってエースは簡単に言うけど。
「例えば?」
「間食し過ぎないこと」
「・・・・むぅ」
「あとはゆっくり食うのもいいんだぜ?」
言われてみれば確かにエースは食べてる途中に寝て、起きてまた食べて。
時間がかかってる。
・・・それが、いいの?
「頑張る・・・・」
「頑張り過ぎんのも駄目な」
「え!?」
「たまには自分を甘やかすのも大事。ずーっとピリピリしてたら続かねェだろ」
「そ、そっか・・・」
「それにそんなアコ、俺嫌だ」
「・・・・・うん」
真剣なエースの眼差しに思わず心を打たれた。
「つーかもう良くねェ?ちょっとやそっと太ったって」
「良くない」
それは良くない。
「俺は気にしねェけど」
「私が気にするの。・・・好きな人にはいつも可愛い自分を見てもらいたいし」
「・・・・俺?」
「以外にいません」
同棲して1年。
でもまだまだ好きな人。
きっとこれからもずっと好きな人。
・・・・まだまだ、ドキドキしてる。
頷いた私にエースは照れくさそうに笑って、
「俺は・・・一緒に美味そうに飯食ってくれるアコが好きなんだけどなァ」
とぽつり。
嬉しいけど・・・!!
「複雑・・・」
「とりあえず今日の飯はカツ丼な?」
「ちょい」
「嫌か?じゃあカツカレー」
「・・・・あんま意味ない変更だね」
「好きだろ?カツ」
「すっごい好き」
「あ、今日お前の好きなアイスも買ってあるから後で一緒に食おうぜ」
「エース大好きー!!!」
ってまるめこまれるとこだったぁぁ!!!
「俺が作ってやるからさ」
「うー・・・・じゃあせめてサラダを先に食べて・・・あと運動」
「夜の運動なら任せとけ」
「ってこら」
「俺的にはもうちっと胸あっても・・・」
なんてエースが言うから、
「エース嫌い。最低」
「っ、悪ィ・・・・」
・・・エースに嫌い、と言うと酷く落ち込む。
「・・・・嘘、好き。いいよ今日カツ丼で」
「・・・いいのか?」
「要はエースのペースに合わせてゆっくり食べればいいのよね」
「まあ、そうだな」
エースは頷いたあと、にやりと笑みを浮かべた。
「・・・・何?」
「俺が食わせてやるよ」
「は!?」
「それで万事解決。だろ?」
「だろ・・・って」
「そんでアイスははんぶんこ」
「・・・・まあ、それは」
いいけど。
「そうと決まれば早速料理開始だ!」
「よろしくお願いしまーす」
丼に、ほっかほかのご飯。
その上に分厚いトンカツ。
をダシと卵で閉じ込めたもの。
「はあぁぁぁ・・・美味しそう!」
カロリー高いものって美味しいんだよね!
「ほら、あーん」
「あ・・・・あーん・・・・・あふぃ!!」
宣言通りエースが食べさせてくれる。
人に食べさせてもらうって難しい。
「・・・大丈夫か?美味くねェ?」
「めちゃくちゃおいひい!!!」
「ははっ、なら良かった!」
エースは器用にも自分のご飯も食べながら私に食べさせてくれた。
エースが寝てる時は私もお休み。
・・・アイスもしっかり半分を私に食べさせてくれた。
「これでホントに太らない?」
「ま、あとは適度な運動してりゃあ大丈夫だろ」
・・・・ほんとかなあ。
「このままぶくぶく太ってエースに嫌われるかも・・・」
はあ、とため息を吐けばエースが笑った。
「嫌いになったりなんかしねェよ。って言っても信じられねェだろうから」
「え?」
エースの少し震えた手。
赤い頬。
でも絶対に逸らされない、真っ直ぐな視線。
・・・・エースの手の中の、箱。
「死ぬまで愛するって誓うし、幸せにする。約束するから」
俺と結婚して下さい。
「・・・・やっぱ痩せないと」
「は!?」
「だって可愛いドレス着たいもの!!」
「・・・それが返事か?」
「ぶくぶくに太っても離婚しない?」
「するか。・・・させねェよ」
「・・・ふつつかものですが、よろしくお願いします」
「お・・・お願い、しマス・・・・」
1ヵ月後体重計ったら普通に痩せてた。
・・・エースって、すごい。