短編①
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「乗せてくれるの?ストライカーに!?」
それはエースとずっと居ると決めてから数ヵ月後のこと。
任務でエースが居なくなると聞いたので、今回もまたお留守番かなと思っていたら、
『一緒に行こうぜ』
とエースが言ってくれた。
今回の任務は特に危険がないということで、父さんからの承諾も貰ったらしい。
一緒に行くと言ってもエースが移動に使うのはストライカーな訳で。
「ああ、乗せてやるよ。落ちても助けられねェけどな?」
「乗りたい!」
「じゃあ決まりだな。出発は明日。準備しとけよ」
「やった!」
前に約束したこと覚えてくれてた。
嬉しすぎる。
ミリアに報告したら、良かったわね、と喜んでくれた。
「でも確か今回のエース隊長の任務って泊まりだったわよね」
「そうなの?」
「ふふ、2人でゆっくりして来るのね」
「危険な任務じゃないのかな」
「ほんとに危険だったら船長が行かせないわよ。それでなくてもアコのこと可愛がってるんだから」
「そっか。じゃあ楽しんでくる。ありがとねミリア」
「エース隊長に存分に甘えてくるといいわ」
「・・・・・・・・・あはは、ありがと」
それから自分の部屋に戻ったけど、なかなか寝付けないまま次の日の朝になった。
「アコ、隈出来てんぞ」
「え、ほんと?」
「寝れなかったのか?そんなんで大丈夫か?」
「楽しみで寝れなかったからかも。大丈夫大丈夫!」
ストライカーに乗れることも勿論楽しみなんだけど、何よりエースと2人で出かけられるのが楽しみだった。
島に着けば2人で出かけたりはするけど、
それ以外は船の上。
勿論それはそれで楽しいんだけど。
でも2人きりという機会は貴重。
「じゃ行くか」
「行ってきます!」
見送りに来てくれたミリアやサッチさん達に手を振って、私とエースはストライカーに飛び乗った。
「しっかり掴まっとけよ、アコ」
「え、うん」
エースの後ろに乗った私は、前で運転するエースのお腹に手を回した。
「行くぜ」
その言葉とほぼ同時に動き出したストライカー。
「え、ちょ、ぎゃああああ!!!!」
待って待って!速い速い!
思ってたより速いスピードに焦って、私は思わず回す手に力を入れた。
「だから言っただろ?しっかり掴まってろって」
「落ちるぅぅぅぅ!!!!」
「落ちんなよー」
平然と言い放つエースに、掴まるだけで精一杯の私。
「はやいいぃぃぃぃ!!」
「スピード上げるぞ」
「何でえええ!!?」
楽しい!楽しいんだけど怖い!!
「お疲れ。無事か、アコ?」
物凄いスピードにしがみつくこと1時間。
何とか目的の島に着いた。
「・・・・・・・・・エースってスピード狂だったんだね」
けろっとした様子のエースに私はぐったり。
「あ?別にそんなことないぜ?」
「だってすっごい速かったよ!?」
「いつもあんなスピード出さねェし」
「はあ!?」
何ですと!?
「いや、必死で俺にくっついてるアコ見てたら面白くなっちまって、つい」
「ついって・・・・・・」
ほんとにほんとに必死だったのに!
「悪い悪い」
絶対悪いと思ってないエースの態度。
「もう・・・・帰りは安全運転でお願いしますよエースさん?」
「さァ、どうすっかなー」
「・・・・・・・・・・・エース?」
じろりと睨んでみても、エースには効く訳もなく。
「ははっわかってるよ。・・・あーでもなァ」
軽く笑って誤魔化される。
「もういい。エースなんて嫌い」
そこまで言って初めて、エースは顔色を変えた。
そしてふわりと包み込まれる。
「・・・・・・・悪かったよ」
耳元でぼそりと呟かれた。
「ほんとは必死にしがみついてくるアコが可愛かったからだったんだぜ?」
「・・・・・・・・・・・嬉しいような嬉しくないような」
複雑な気分。
「あと背中が気持ち良かった」
「背中?」
「アコの胸が当たって」
「んなっ!!やっぱ反省してないでしょエース!」
「反省はしてる。帰りはちゃんとアコのこと気遣ってやるからさ」
「・・・・・・・・・・から?」
「・・・・・・・・・・・・・・だから、嫌いとか言うな」
消えそうな声。
胸に灯るのは少しの罪悪感と嬉しさ。
「うん。ごめん。好きだよ、エース」
そう伝えれば一層強く抱きしめられた。
「・・・・・よし」
安心したようにエースはそう言うと、
「今夜は泊まりだからな?アコ」
「あ、うん。それは聞いてる」
「寝れると思うなよ」
「はい!?」
顔をあげればいつもの大胆不敵なエースの顔があって。
明日無事に帰れるのかな、と
本気で心配した。