短編⑤
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モヤモヤはする。
それは認める。
でもだからと言って、
お頭と、隣に居る美女を引きはがしたいとか。
2人をどうにかしてやりたいとか。
そんなことはまったく思わない。
楽しそうだなあ、とか。
お酒飲み過ぎなんじゃないのかとか思ったりはするけど。
「単刀直入に言わせてもらうが」
「あ、はい」
隣にベンさんが座ってきた。
到着した島でのお楽しみ。
お酒の席で。
「お前を妬かせたいんだと思うぞ、お頭は」
「・・・・だと思います」
「それは恋人故の余裕か?それとも愛がないからか?」
「愛はあるつもりですけどね」
「ということは恋人故の余裕、か」
「あると思います?」
「違うのか」
「確かに愛されてる自信はありますよ。でもそれは今の話し」
未来に不安がないと言ったら嘘になる。
「確かにお頭は気まぐれなところはあるが・・・」
「世界は広いですからね。私より綺麗な人も面白い人もたーくさんいるでしょうし」
「一応フォローしておくが、お頭は女に関しては一途・・・のはずだ」
「あははっ、ベンさんがそう言うならそうなんでしょうね。有難う御座います」
「さて、俺はそろそろお役御免だな」
そう呟いて立ち去ったベンさんと入れ違いに、
お頭が座った。
「なかなかの美人だった」
・・・・そして第一声がこれ。
思わず苦笑した。
「ええ、バランスの良い美人さんでしたね」
「たいして見てなかったように見えたが?」
「・・・・何でお頭が不機嫌なんですか」
何故かお頭が怒ってるように思える。
他の女性と楽しそうにしている姿を見せられて本来怒るべきは私のはずなのに。
「アコはベンと楽しそうに話していたのが俺にはよーく見えたぞ」
・・・・それか。
私はあまり嫉妬する方ではないけどお頭はよく嫉妬する。
・・・・束縛だけは、お互いにしないけど。
「ご心配なく。私は妬いてもいませんし妬かれるようなこともしてませんから」
だからこれだけ言えば、
「そうか。悪かったな」
いつも通りの笑み。
「・・・シャンクスのそういうとこ、好きですよ」
基本的に私を信じてくれてるところ。
「俺もアコを愛おしいと思ってる・・・・が」
「が?」
「少し寂しいな」
「・・・寂しいですか?」
「ちっとも妬いてくれねェってのはなァ」
「まったく妬いてない訳じゃ、ないんですけどね」
「アコに嫌な思いをさせたい訳じゃないが・・・」
「シャンクスは嫌な思いをしてるんですか?」
「ん?」
「よく嫉妬してますよね?」
「そうだな・・・嫉妬はするが」
「・・・・嫌じゃないんですか?」
「まあ、そのなんだ・・・・30%くらいは嫌とも言う」
「残りの70は?」
「訂正だ、50%にしてくれ」
真剣な顔で悩んだお頭はそう訂正した。
50%も嫌な思いするの・・・?
私そんな嫌だと思ったことないかもしれない。
「はいはい。じゃあ残りの50%はどんな気持ちなんですか?」
「アコは俺のものだ、という独占欲だな」
「・・・・・ああ、なるほど」
それなら私もあるかもしれない。
それがさっきのベンさんの言ってた恋人故の余裕ってやつ?
考えていたら、
手をお頭に取られて、ちゅ。
手の甲にキスが落ちた。
「俺はお前のものでもある、と自負しているんだが?」
「勿論承知してます」
「とはいえ、殺意が湧いちまうのは仕方ねェ」
「・・・・私にですか?」
「相手に決まってらァ」
「じゃあさっきはベンさんに?」
「ま、そうなるな」
何処まで本気なんだかわからないけど。
でも確かにたまーに、肌がピリピリする時がある。
けれどそれはだいたいが外でお頭の見知らぬ男性と居る時。
さすがに仲間には向かない。
「殺意かあ・・・・そこまで憎いと思ったことはないですねえ」
お頭にも、相手の女性にも。
「アコは優しいからなァ・・・それにだいぶお人好しでもあるな」
「あら、私でも殺意湧く時はありますよ?」
「ほう、そりゃどんな時に誰に向かって、だ?」
「私が楽しみにとっておいたゆで卵をシャンクスに食べられた時とか」
朝食の時、綺麗な半熟のゆで卵が楽しみで楽しみで、
最後に食べようとワクワクしながらトーストと珈琲を味わっていたら。
『食わないならもらっちまうぞ』
とお頭がぱくり。
・・・・・あの時ばかりは、別れを切り出そうかとすら思った。
「そこまでか!?」
「食べ物の怨みは恐ろしいんですよ」
「・・・・すまん」
「・・・まあ、でも殺意は30%くらいです」
「お、じゃあ残りの70は何だ?」
「ま、いっか。って感じです」
「・・・・ホントにまあ」
「お人好し?」
「そういうこった」
ためらいもせず頷いたお頭に思わず笑った。
「じゃあもっとお人好しって言われそうなこと言いますね」
「興味あるな、聞かせてくれ」
「私がさっきシャンクスと美女を見てて思ったのは」
「・・・・のは?」
「20%がモヤモヤ」
「残りの80は?」
「楽しそうなシャンクスが見られて幸せ」
だって私はお頭が好きだから。
好きな人が楽しそうならたいていのことは許せてしまう。
「・・・・・参った」
お頭が片手で顔を覆った。
「・・・お頭?どうしました?」
「・・・・・もう、しねェ」
「え?」
「もうアコを妬かせるようなことはしない」
何だかよくわからないけど反省してるらしい。
「大丈夫です。浮気したら殺意100%になるので」
「絶対しない。海に誓ってもいい」
「・・・はい、大丈夫です」
なんだかんだ、信じてるから。
明日からもまたこうして側に居られる。
・・・・と思ってます。