短編⑤
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「エース君てカッコイイよねー」
と親友が言った。
「・・・・ちなみにそれってどういう意味?」
エース、私の彼氏なんだけども。
ちらりと視線を送れば親友は豪快に笑った。
「あっはっは、変な意味はないよ!ただ単にいい男だよねって」
「どの辺が?」
「スタイル良し顔良し性格良し!情に厚いし面倒見いいし優しいし!」
「頭悪いし口を開けば兄弟の話しばっかりだけどね」
「でも好きなんでしょ?」
「好き」
「素直でよろしい。末永く幸せにね、願ってるよ」
「・・・・ありがと」
なーんてことがあった数日後。
その友人とエースが2人で歩いているところを私は目撃してしまった。
わかってる、声を掛ければ良かったことなんて。
2人にやましいことなんてある訳ないって。
・・・・・・それでも私はその時、
2に声を掛けることが出来ずに。
その仲良さそうな背中をただ見送ってしまった。
「それを後悔してる、と」
「してる。すんごいしてる」
エースの家でエースの兄弟である女たらしのサボに相談。
「なら当人に聞くのが1番だろうな」
「今更!?どっちに!?」
「どっちでも。本当のことは当人達に聞かないとわからないままだぞ」
「そうだけど・・・・!!」
私の反論にサボはにィ、と笑うとそのまま上着のポケットからスマホを取り出し、
「もしもしエースか?俺だけど」
何してくれちゃってんのこの人!?
「今お前の彼女と居る。俺らの家。・・・何でだと思う?」
それだけ言うとサボはそのままスマホをしまった。
「・・・・何今の電話、エース?」
「すぐ来るって」
「エースなんて!?」
「彼女と居るって言ったら何でだよって聞いて来たから何でだと思う?って聞いたらすぐ行く、ってさ」
「・・・・・もう!!」
勝手な真似を!!
「じゃあまあ俺は出てくから、後は仲良くやるんだな」
「サボぉ・・・・・!!」
「これ以上お前らの惚気なんか聞いてられないっての」
「サボに彼女出来たら聞いてあげるよ?」
「・・・見てろよ?」
「はいはい」
1人の人に決める気なんてないくせに。
サボが出て行って割とすぐにエースが帰って来た。
「サボ!!」
「エースおかえりー」
「・・・サボは?」
「さっき出て行った」
私の答えを聞いてエースは私の隣に座ると、
「サボと何話してたんだよアコ」
と単刀直入。
・・・・こういう真っ直ぐなとこ、好き。
「もう私たちの惚気聞きたくないからサボも恋人作るって」
「はァ!?あいつ好きな奴居たのか!?」
「うーん、あの感じだと居るんじゃない?脈ありなのかも」
自信満々な感じで出て行ったサボを思い出す。
「・・・マジかよ」
何故かエースはそれを聞いて焦ってるように見える。
「・・・サボに恋人が出来たらマズいの?」
「不味い」
「何で!?」
「何でってそりゃ・・・・・・・」
「・・・・・・何で?」
エースは何かを言いかけて止めた。
怪しい。
怪しいぞこれは。
「・・・・・そりゃお前、惚気聞きたくねェだろ」
「でもエースは言ってるんでしょ?惚気」
「言ってねェ!!」
まあ顔を真っ赤にして反論してくるあたり言ってるのは明白なんだけど。
「・・・言ってくれないの?寂しいなあ」
なんて呟けば、
「い・・・・・言ってない、っ、ことも、ない」
とぽつり。
「良かった、嬉しい」
「・・・・おう」
「じゃないよ」
「あ?」
「何でサボに恋人が出来るとマズいの?」
「いやその前にお前がサボと何を話してたんだよ」
「あ」
忘れてたけど最初はそんな話しだった。
「俺以外の男と家で2人きりだった訳だろ」
「あー・・・・・それは」
全然意識してなかったわ。
素直にそう告げたらエースが少し笑った。
「それはそうだろうけどよ・・・・」
「・・・・・エースの浮気を相談してました」
笑ったエースに安心して思わず本音がぽろり。
「はァ!?」
「しかもよりによって私の親友と」
「浮気なんてしねェ!!!」
「・・・・やっぱり?」
「・・・・あ?」
エースが真剣な顔で私の身体をゆすったかと思えば、
間の抜けた顔になった。
「ごめん、ホントは2人で仲良さそうに歩いてるのを見てただけなの」
「あー・・・・・・・なるほどな」
「あの子エースのことカッコイイって言ってたし・・・・ちょっと気になっただけ」
「俺のこと、なあ」
エースは胡散臭そうな顔。
「2人がホントにそんな関係とは思ってないけど・・・」
「けど?」
「・・・・妬いちゃうじゃない?」
「どっちに?」
「どっちにも」
親友にも、エースにも。
「俺にはアコだけだ、何があっても」
言い聞かせるようにそう言って、
「ん・・・・」
触れるだけの優しいキス。
「信じてくれ、としか言えねェけど・・・」
「2人で何話してたの?」
「・・・1個は、怒られてた」
「おこ・・・!?何で!?」
「私の親友奪ったんだからちゃんと責任持って幸せにしてよ、だそうだ」
「・・・・やだ泣いちゃう。・・・で、他は?」
「・・・・サボが」
「サボが?」
「サボのことが好きなんだってよ、あいつ」
「何ですと!?」
「んで、色々相談されてた訳だ」
「何で私に聞かないの!?」
「お前サボのこと女タラシって思ってんだろ?」
「実際そうじゃん」
「あれ、作戦だぜ。本命妬かせる為の」
「ほ・・・・本命って誰?」
「知らねェ。まあ、つー訳で俺が相談乗ってたんだけどな」
・・・ああ、だからサボに恋人が出来たらあの子が可哀想、と。
なんて思ってたら、
「ただいま」
サボが帰って来た。
私の親友を連れて。
「・・・・・あり?」
「紹介するよ。俺の彼女」
「・・・えへ」
「えっ」
「えっ・・・・・・・・えええええ!?」
ダブルデートの約束を取り付けました。
(大丈夫親友泣かされたら私がサボ殴るから)
大好きな親友。
大好きな、恋人。
幸せな私。