短編⑤
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今日の不寝番はマルコさん。
という訳で夜食を作って持って行くことにした。
「これとあれと・・・・・」
「お、張り切ってるねアコちゃん」
サッチさんの軽口に思いっきり笑顔を見せる。
「そりゃあもう」
「恋人の為だもんなー?」
「イエス!!」
いつもは皆の為の料理。
でも今日は!!
今だけは、最愛の人の為だけの料理が出来る。
これの何と嬉しいことか!!
「そーいやマルコって何が好きなんだっけ」
「パイナップルですよ」
「ぶふっ!!」
「・・・・サッチさん」
「共食い・・・・いや、何でもねェ」
「マルコさんによーく言っておきますね」
「やめてぇぇぇ!!!!!」
「まーるこ、さん」
「どうした?アコ」
「お夜食の差し入れ持って来ました」
「ああ、有難うよい」
「じゃーん!!」
「・・・・・アコ、これはもしかして」
「パイナップルコースです!!」
「へェ・・・・酢豚だけじゃないんだねい?」
マルコさんの為に腕によりをかけました!
モビーのコックの名にかけて!!
「今日は酢豚はありません」
「これは?」
「これはパイナップルとスペアリブのグリルです」
「これはサラダ・・・・かい」
「パイナップルのコールスローサラダです!」
「へえ、美味そうだ」
「デザートもあります」
「・・・・まさかとは思うが」
「パイナップルのケーキです!!」
ここまで来たらさすがに引かれるかと思いきや、
「ははっ!!やってくれるねい!」
笑ってくれたマルコさんにほっとした。
「どれも自信作です!」
「楽しみだよい」
「じゃあ見張り、頑張ってくださいね」
料理も渡したし、これ以上見張りの邪魔しちゃ駄目だよね、と退散しようとした。
「待てよい」
でも腕を引っ張られて。
私は簡単にマルコさんの腕の中。
「マルコさん!?どうしました!?」
「せっかくの機会を逃す訳ねェだろい?」
にやり、と怪しい笑みを浮かべたマルコさん。
「・・・・機会?」
「普段忙しくて寂しい思いをさせてるだろい、今なら遠慮なく2人きりを堪能できる」
「お、おお・・・・」
「覚悟は出来てるんだろうねい」
「で、でも見張りが・・・」
「俺を誰だと思ってんだい?見張りくらいアコといても出来るよい」
「じゃあ・・・・甘えちゃおうかなあ」
厚くて優しい胸板に身体を預けた。
・・・日頃、寂しいと思ったことはあんまりないけど(なくはない)、
やっぱりこういうこと言われると嬉しくてたまらない。
「ああ、そうしとけ」
「でも!」
「・・・・でも?」
がばりと顔をあげて、首を傾げるマルコさんを見た。
「今日は私がマルコさんを甘やかしますよ!」
「・・・俺を甘やかす、ねい」
「はい!あーん」
とりあえずはサラダから。
と思ったんだけどマルコさんは口を開けてくれない。
「・・・・マルコさーん」
「自分で食えるよい」
「あ」
ひょい、とフォークを取られてそのままぱくり。
「つまんないのー」
「人を玩具にすんじゃねェ」
「はーい」
「・・・・ったく」
「それでどうですか?お味は」
「美味いに決まってらァ」
マルコさんの笑顔にほっと肩を撫で下ろした。
「スペアリブも自信作です!」
「ああ、美味いよい」
優しく頭を撫でてくれるマルコさんに、ふと疑問が浮かんだ。
「ねえマルコさん」
「なんだい」
「私と私の作る料理どっちが好きですか?」
「・・・・・妙なこと聞くなよい」
マルコさんの顔が顰められて、思わず苦笑した。
「マルコさんは、私の作る料理を好きになってくれたのか、それとも私自身を好きになってくれたのか」
どっちなのかなあって。
そう言ってマルコさんの眠たげな瞳を覗きこめば、
ちゅ、と額に唇が落ちて来た。
「両方、って言ったら駄目か?」
「・・・・両方ですか?」
「正直を言えば最初に惚れたの飯の味だ」
「・・・・嬉しいです」
「そっから料理人に惚れたんだい」
「ちなみにどのへんが、って聞いてもいいですか?」
欲張って質問したら、
マルコさんが空を仰いだ。
「・・・・今日は随分と迫ってくるねい」
「今日は甘えてもいい日なんですよね?」
「俺を甘やかしてくれるんじゃなかったかい?」
「む・・・・・」
さすがマルコさん、負けてない。
「・・・・アコ?」
「・・・私はマルコさんのいつも眠たそうな目が好きです」
「それ褒めてないだろい」
「たまに意地悪でいつも優しい言葉をかけてくれる唇も好き」
「・・・・・・覚えておくよい」
「いつも私たちを守ってくれる腕とか」
あとは、
「あとはパイナップルな髪形も!!」
最後の台詞を放った瞬間額に軽い痛み。
デコピンをくらった模様。
「もういいよい」
こんな会話をしている間にもマルコさんはサラダとスペアリブをぺろりと平らげていた。
綺麗なお皿、嬉しい。
「残るはデザートですね」
「俺はいい、アコが食えよい」
「え、でも」
「甘いモンはアコの方が好きだろい?」
ほら、とマルコさんがケーキを私の口元に運んで来る。
「・・・・・駄目です!」
マルコさんのあーんなんて貴重過ぎる誘惑を断った。
「駄目?」
「マルコさんの為に作ったので・・・やっぱり最初はマルコさんに食べてもらいたいです」
自分でも食べたいけど!
自信作だから!!
「・・・・・・ははっ!!!」
「・・・・今笑うとこ?って時に笑うとこも好きですよ」
今のは感動こそすれ笑うとこじゃなかったと思うんですけど!!
「そういう真面目で頑固なとこ、面白くて好きだよい」
「・・・・それ褒めてます?」
「いつも真っ直ぐに俺を見つめ返してくる目も」
「え・・・・」
そっと頬に手が添えられた。
「すぐに赤くなる顔も」
「う・・・」
「それから・・・・笑ったところが、1番だ」
「・・・・・あ・・・・・有難う御座います・・・・」
「なァアコ」
「は、はい」
「オヤジにはもう話したことなんだが、よい」
「・・・・はい?」
「俺の嫁さんになる気はないかい?」
「よ・・・・・・・・・・・・・・・・」
嫁!?
「悪いが指輪も何もねェ。今度島に着いたら用意してェとは思ってる」
「・・・・・・・突然」
「ああ、突然になっちまって悪かったねい。だが・・・・ずっと考えてはいたんだ」
「・・・・私、と?」
「アコ以外にいねェよい」
「・・・私が、どれだけマルコさんのこと好きか」
「わかってるよい、有難うなアコ」
「・・・・・結婚、したいです・・・!!」
「そんじゃケーキは2人で食べるかい」
「自分で作ってて何ですけどマルコさん食べるみたいで変な感じですね!」
「そりゃあれかい?俺だと共食いになるってことかい?」
マルコさんの眉間に皺が寄ったので、危険を察知した。
「あ、それサッチさんが言ってました」
「ほう・・・・よぉく覚えておくよい」
・・・・サッチさんごめんなさい。
(でもハッピーエンド)