短編⑤
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エースに避けられている。
原因はわかってる。
決して喧嘩した訳じゃない。
エースの分のご飯を食べちゃった訳でもない。
・・・・・・原因はたぶん、
いや、ほぼ確実に私の顔だ。
頬に出来た傷。
これのせいだろうと思ってる。
この間の戦闘でついた傷。
でもこれは別にエースにつけられた訳じゃない。
エースが悪いなんてことは1ミリもない。
私がたまたま敵と遭遇してしまっただけのこと。
敵の攻撃を避けきれず顔に傷が出来て、
その直後にエースが助けてくれた。
でもエースは、
俺がもっと早く来ていれば、と滅茶苦茶後悔して、
滅茶苦茶反省して。
これでもかってくらい謝ってくれた。
その後から、エースは私と顔を合わせてくれなくなった。
「傷もエースの件も時間が解決するだろうよい」
「だといいんですけどね・・・・」
「信じられねェかい?」
マルコさんの診断によると傷はちゃんと消えるらしいので一安心。
一応塗り薬はもらったのでしっかり塗っておこう。
「傷はともかくエースの件が」
「傷が消えりゃエースも気にしなくなると思うが」
「・・・・マルコさんエースに言って下さいよ、傷はちゃんと消えるって」
「言ってあるよい」
「にも拘らず全然顔会わせてくれないんですよ!?」
「焦っても仕方ねェだろい?」
「・・・・ですけどー」
「とにかく!経過は良好なんだ、俺から言えることはもう何もねェよい」
「はぁい」
部屋に戻って鏡を見てみる。
一週間前よりは薄くなってる・・・気がする。
そう思いたいだけかもしれないけど。
なんて思ってたら、
部屋の外が妙に騒がしくなった。
何だろうと思っているとドアが開いて、
「連れて来たよい」
「離せよマルコ!」
マルコさんに捕まった様子のエース。
「うるせェ、お前もうちの一員なら腹括れってんだよい」
ぽい、とエースだけが部屋に放り込まれ、
マルコさんはあとは知らんとばかりに出て行ってしまった。
「だ・・・・・・大丈夫?エース」
ああ、久しぶりのエースの顔。
元気そうで良かった。
「・・・・それはお前の方だろ」
エースは気まずさそうに、それでも逃げずに話しをしてくれた。
「私?ちゃんとご飯食べてるし風邪も引いてないし元気よ」
「じゃねェよ!・・・・そういうんじゃ、なくて」
「私はエースが元気そうで安心した。・・・ていうか今まで会えなくて心配だった」
「忙しかった、から」
私と目を合わせようとはしないけど。
「そっか。でもちゃんと食べてるみたいだね」
サッチさんからエースはいつもの通りだよ、と聞いていた。
「・・・・・ごめん、な」
「何で謝るの?せっかく作ったんだから食べてくれて嬉しいよ」
「アコの顔に傷つけといて何も出来ねェんだ、俺」
今日こそ、もうエースのこの顔を変えたい。
「それについてはもうたっくさん謝ってもらったでしょう?」
「俺がもう少し早く駆けつけてれば・・・!!」
「1番悪いのは傷つけたヤツだし、何ならそいつはエースのおかげですでに海の藻屑だし」
「でも傷・・・・残るんだろ?」
「そのうち消えるって」
「痛かっただろ」
「やられた時はね。でももう今は痛くない」
「俺がずっとアコの側に居れば・・・そんな辛い思いさせることなかったんだ」
・・・・普段基本ポジティブなエースの、
ネガティブなところは貴重だけども。
「あのね、エース。痛い思いなんて料理してればいくらでもする。こんなのどうってことない」
だから大丈夫なの、
だからエースは笑って?
「・・・・・俺が、もっと」
「・・・・エース、見て」
どうしても私を見ようとしないエースに見て欲しくて。
顔を上げさせた。
「・・・・何だよ」
「ししっ!!・・・・似てない?ルフィ君」
頬の傷だから、反対側だけどエースの大好きな弟君のモノマネしてみたり。
だけどエースは、
「似てねェ」
とばっさり。
「・・・待ってそっちの方が痛い。泣いちゃう」
「ルフィより・・・・アコの方が」
「・・・私の方が?」
エースは私を見ながら一旦言葉を切ったので続きを促した。
「・・・・阿呆面」
「・・・・・・エース、知ってる?心の傷の方が治らないんだよ!!」
もう立ち直れないかもしれないわ!!
そっとエースの手が私の頬の傷に添えられた。
「ルフィよりアコの方が大事なんだよ・・・・・・・」
わかってくれよ、とエースの絞り出すような声。
「・・・・私は幸せ者だねえ」
「・・・・・・は?」
私を阿呆面、と言ったエースだけど。
ぽかんと口を開けてる今のエースの方が阿呆面だ。
「ここまでエースに心配してもらて。想ってもらえて、幸せ」
「・・・・アコ」
「だからこんな傷くらい、どうってことないわ」
「・・・傷、治るんだよな?」
「治るよ。もし治らなかったらエースが責任取ってくれるから大丈夫!ね!」
「責任?何すりゃいいんだ?」
「傷が原因で結婚出来なかったらエースが私をお嫁にもらってね!」
なーんちゃって。
「わかった」
「わ・・・・!?」
わかった!?
まさかの即答に驚きを隠せない。
「元々傷なくてもそのつもりだったしな」
「は!?」
更に!?
「傷・・・治っても、俺と結婚してくれねェか・・・?」
顔を真っ赤にしたエースが、
はっきりとそう口にして。
・・・・・・傷、治らなくてもいいかも、と思ってしまった。
「よろしくお願いします・・・・!」
傷は無事に消えました。