短編④
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「マルコ隊長がキスしてくれない?」
仲の良いナースさんにケーキを差し出して、
私は紅茶を一口飲んで頷いた。
「・・・・と言いますか、何も」
「何も?本当に何もないの?」
「はい・・・・」
「・・・・まあ、マルコ隊長だもの」
そう、マルコ隊長は100人のナースさんに聞けば恐らく99人は手ごわいからやめておきなさい、という程。
・・・・手強かった人。
いや、今もそれは現在進行形。
「そもそも私たち恋人同士なんでしょうか・・・」
「そこから!?」
「だって・・・・」
ああいう人だから。
私は真っ直ぐに、
『マルコさん好きです』
告白、したつもりだったのに。
マルコさんはただ一言、
『そうかい』
とだけしか返してくれなかった。
あれ、これフられた?
とショックを受けてたら、次の日から何だか妙にマルコさんと一緒に居ることが多くなった。
少しだけど優しくなった気もした。
だから私が爆発して、
『マルコさん私のことどう思ってるんですか!?』と聞いたところ、
『好きだよい』
何を今更、と言った風にそう返されて拍子抜けしたものだ。
・・・・我ながら何て手強い人を好きになってしまったんだろうとも思うけど。
好きになっちゃったもんは仕方ない。
それにしたってそんな風に言われて舞い上がった私。
・・・・対して、
それから何事もなく過ぎて行く日々。
手を繋ぐでもなくでデートをするでもなく、
ましてや抱きしめたりキスなんて夢のまた夢。
・・・・ただ一緒に居る時間が増えただけ。
あの好きは、
もしかしてただの『仲間に対する好き』だったのかもしれない。
「もっとアコから積極的に行けばいいじゃない」
「それが出来たらこんな相談してませんよぅ」
「今までは出来てたでしょう」
「もうあれ以上無理です」
「マルコ隊長って淡泊な方だし、恋愛の方もそんなものなのよ。諦めたら?」
「マルコさんを・・・ですか?」
「アコ次第よ。マルコ隊長との恋愛なんてこんなもの、って諦めるのか。マルコ隊長を諦めるのかはね」
「でも、」
「素敵な人はたくさんいるじゃない。ケーキご馳走様。またね」
にっこり笑顔で空っぽのお皿だけ残して彼女は去って行った。
・・・・・両方ともそんな簡単に諦められるものじゃない。
そりゃ無理やり私好みの恋愛をさせたいって訳じゃないけど。
でももう少しだけ・・・・せめて私が胸を張って恋人です!って言えるくらいのことは、
したい。
そう思うのはワガママなんだろうか。
確かに素敵な人はたくさんいるけど、
マルコさんは1人しか居ないのに。
それともマルコさんにとっては恋人も仲間も同等なんだろうか。
恋人は特別、って思っちゃいけないのかな。
・・・・・・・・ああもう!!
ここでうじうじしてても駄目になる!!
会いに行こう!!
「マルコさんっ失礼します!」
軽くノックをした後入ったら、
マルコさんは眼鏡をかけて新聞を読んでいた。
眼鏡姿・・・・素敵・・・・。
「・・・・何かあったかい?」
「め・・・・めがね・・・・」
「アコ?」
怪訝な顔でじろりと睨まれて慌てて我に返った。
「あっ・・・・会いたくなって来ちゃいました」
「生憎とこれから忙しいんでねい、構ってはやれねェよい」
「・・・・・・・・新聞に負けた」
「は?」
「マルコさんあの・・・・・私・・・・・」
私たち。
・・・・・恋人、ですか?
その一言がどうしても口から出てこない。
「・・・はっきり言えよい」
「・・・・・・・・私マルコさんのこと大好きですからね!!」
言えたのは、これだけ。
マルコさん案の定ぽかん、としてるし。
「ああ、知ってるよい」
だからどうした、と言われそう。
「マルコさんは私のこと、」
「いちいち言わなきゃいけねェもんかい?」
・・・・・呆れたような顔で、
呆れたような口ぶりで。
そんなの見たら、
「・・・・・・・・・面倒、ですか?」
こう言いたくもなる。
「どういう意味だい」
「私の相手は、面倒ですか」
「・・・アコがそう思うなら勝手にすりゃいい」
かっとなった。
冷静に、とかそんな考えはもうぶっ飛んだ。
私の気持ち知らないで。
私がどれだけマルコさんのこと好きか、知らないくせに。
そんなこと言うなら、もう。
「わかりました、勝手にさせて頂きます」
つかつかとマルコさんに歩み寄り、
その分厚い唇を、奪った。
「ん・・・・・・・・・・はっ」
「・・・・・・何してんだよい」
「勝手にしろっておっしゃったのはマルコさんですよ!」
「そりゃ言ったがよい。・・・・普通あそこで怒って出てくもんじゃねェのかい?」
「悪かったですね普通じゃなくて」
普通じゃなくていい。
『普通マルコ隊長を好きにはならないわよ?』
それなら普通じゃなくていい。
「・・・別に悪かねェ」
「眼鏡!」
「今度は何だよい」
「眼鏡素敵です。きゅんとしました。ドキドキしました。・・・今も、してます」
「・・・そうかい」
「厳しいとこも冷たいとこもでもちゃんと優しいとこも全部全部好きなんです!!」
「だから何が、」
「簡単に諦められないくらい好きなんです!!だから教えてください、私たちの関係を」
吹っ切れた、私の気持ち。
マルコさんはやっぱり呆れ顔で、
私の顎を掴み、
ちゅ。
・・・・・・・・・・・へ?
「こういう関係だろい?」
「・・・・・・・・・どういう?」
「もっと上もしていいってことかい?」
「・・・・・・・・・はい?」
「気障な台詞は言えねェ」
「・・・・・はい」
「ガツガツすんのもみっともねェだろうがよい」
目の前でそう呟いたマルコさんの顔は少し赤い。
・・・・・照れてる?
「じゃっじゃあ私たちは恋人・・・・でいいんですか?」
「他に何があるんだよい。このまま押し倒されてぇかい」
「てっ手繋ぎから順番にお願いします・・・・!」
・・・・・やっぱりマルコさんは手ごわい人だ。
「もうキスしただろい?」
「順番すっ飛ばしたぁぁ!!!」
「先にしたのはアコだからねい」
「あ」
ぺろりと唇を舐めてゆっくりと私を押し倒す、
手強い私の恋人。