短編④
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何がいけなかったのだろう。
船が島に着いて。
浮足立ってたから?
それとも、
事前の下見で危ない島じゃないって聞いて、
油断してた私が悪い?
・・・・・いや、1番はエースの注意を聞かずに1人で船を降りたことよね。
島全体は確かに平和だと思う。
でも、そんな島にだって1人や2人、危ない奴はいるのよね。
「式は明日行う」
「絶対嫌だ」
「俺の言うことは絶対だ」
「それも絶対嫌だ」
「・・・・どうせ逃げられはせん」
1人でお酒飲んでただけなのに、なーんか訳のわからない男に気に入られて強制婚約。
なんてこったい。
助けてエースぅ・・・・!!
「だぁかぁら、結婚するってんなら親に挨拶くらいしてよ!」
オヤジに敵う訳ないんだから、
私が嫌と言えばこの婚約は即破断間違いなしなのに。
「誰が白ひげのところに行くか」
「ちっ」
思わず舌打ちが出た。
最初に親に挨拶、と言ったらどんなのだと聞かれて思わず自信満々に白ひげ、と答えなきゃ良かった。
こんな奴と結婚なんか死んでも御免だ。
・・・・するなら、エースがいい。
付き合ってもいないけど。
何ならちょっと長い片思いだけど!
「金ならある」
「うちだってお金には困ってませんー」
どうやらお金持ちのおぼっちゃんらしい。
「厄介な女だ」
「その厄介な女と結婚しようとする意味がわからないわ」
「この俺が気に入ったんだ、手放しはしない」
「・・・離した方が厄介じゃないと思うけど?」
「結婚してしまえばこっちのものだ」
「やれるもんなら」
「・・・まあいい、今夜はボディーガード兼執事にお前を見張らせる」
おい、と彼が声をかけたらスーツ姿の男の人が入って来た。
「絶対逃がすなよ」
とだけ言って部屋から出て行った彼。
残されたボディーガード兼執事に、
「絶対逃げるから」
と宣言。
すると、
「当たり前だろ?」
と返ってきた。
「え」
まさかの返答に驚いて、
まさかの声にまじまじと姿を見た。
「誰が結婚なんかさせっかよ」
「・・・・・・・・エース?」
ボディーガード兼執事は、エース、だった。
「おう」
「なななな何で!?」
「酒場で話題になってたぜ。5人目の女が捕まったって」
「私5人目!?」
馬鹿にしてる・・・・!!
「でっでもそれが私だってわかったの・・・?」
「最初はわからなかったけどな、モビーに帰ってもアコいねェし、ずっと戻って来ないから」
まさかと思って様子見にきたらコレだよ。
と苦笑した。
「エース・・・・・!!」
感動した私の額に痛みが走った。
「いだっ!!」
「だから言っただろ?1人で出歩くなって」
「・・・・すみません」
「何で俺に言わずに出て行ったんだよ?」
「それは・・・・・・・・」
「・・・・それは?」
エースの為に何か特別な食材でご飯作って告白しようと作戦立ててたからです!
とは言えません。
「・・・1人に、なりたかったから」
「・・・・気持ちもわかるけどよ、危ねェから今度は絶対俺連れてけ」
「うん、ごめん」
「よし、んじゃこんなとこさっさと抜け出して帰るぞ」
「うん」
差し出してくれたエースの手を取った瞬間。
「怪しいと思ったんだ、この偽執事め」
男が戻ってきた。
「そっか?上手くやれてると思ってたぜ俺は」
「このラック様の目は誤魔化せやしない」
「え・・・・」
「・・・どうした?アコ」
「いや、名前初めて知ったなあと思って」
「・・・そんなんで結婚とか言ってたのかよ」
呆れた様子のエースにラック氏は、
「うるさい!おい皆やれ!」
どうやら戦う人を呼んだらしい。
が。
「・・・・・誰も来ないけど」
しーん。
「・・・くっそ、何の為に金をやったと思ってるんだあいつら!」
「金より命の方が大切なんじゃねェ?」
「エース正論」
「だろ」
「くっそ・・・・」
がくりと膝を落としたラック氏を見て今が逃げるタイミング、と思ってたら。
「お前、アコのこと好きなのか?」
エースが何故か質問を投げかけた。
「・・・ああ」
「何処が?」
「・・・楽しそうに、飲んでたから」
えっそれも初めて聞いた。
「それ羨ましかっただけだろ」
「・・・・そう、かもしれない」
「ま、どんな理由があってもコイツは渡せねェけど。俺が奪うから」
「え・・・・どういうこと!?」
言葉の意味がわからなくてースに聞いた途端、
身体が宙に浮いた。
「俺とやり合うんならモビーでいつでも相手にしてるよ」
「・・・・っ」
じゃあな、と言ってエースが私を抱きかかえて窓から飛び降りた。
「・・・・・・・・もう大丈夫よエース」
さすがにお姫様抱っこされたまま街を歩くのは恥ずかしい。
そう訴えたら、
「目ェ離すとすぐどっか行くから駄目だ」
と言われてしまった。
「もう行かない。大人しくモビーに居る」
「・・・・じゃなくてよ」
「・・・何?」
「・・・・俺の側に居るって言えよ」
何処か不安そうな、でも真剣な眼差しにドキッとした。
「・・・・いる」
「・・・・ホントだな?」
こくりと頷けばゆっくりと身体が地面に降りた。
「エースなら助けに来てくれるって思ってた。有難う」
そっと腕を組んでみればエースは少し頬を赤くさせた。
「・・・当たり前だ」
「でも欲を言えば結婚式当日キスギリギリあたりで扉ばーん!て蹴破って来て欲しかったな」
なんて。
「嫌に決まってんだろ・・・あんなのの為に着たドレスのアコなんて見たくねェ」
・・・・・それ、って。
「・・・・それってエースの為のドレスならいいってこと?」
「あー・・・・・まァ」
「・・・・・好き、って言っていい?」
「・・・先に言わせろよ」
ったく、と言いながらエースは今度は笑って。
「俺はちゃんとオヤジにも挨拶するからな。・・・・好きだ、アコ」
有難う、未来の旦那様。