短編④
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新婚早々、エースと喧嘩をした。
原因はくだらないこと。
味噌汁の具が少ないとか、
私のパートの帰りが遅くて心配だ、とか。
くわえて私も、
慣れないけど頑張ってるんだから、とか。
エースだって仕事で遅くなる時あるじゃん、とか。
・・・・そんな言葉を返して。
素直にごめんが言えなかった。
わかってる。
エースも毎日仕事頑張ってるんだし。
お味噌汁の具くらい2種類欲しいよね。
私のこと好きだから心配してくれてるんだよね。
・・・・馬鹿だなあ私。
難しいな、結婚て。
・・・夫婦って。
「・・・・・ただい、ま」
「・・・・おか、えり」
エースが帰ってきた。
喧嘩はしてても挨拶はする。
おはように始まり、おやすみまで。
ここでごめんねって言えればいいのに。
「ご飯、出来てるから」
「ん」
・・・・口から出るのはこんなもの。
あああああ!!
このままじゃ一生仲直り出来ないいいいいい!!!!
「あ・・・・・・あの、エース・・・・」
食事中のエースに覚悟を決めて話しかけたけど、
「・・・・・・・・だよね」
ご飯食べながら寝てた。
そうだよね・・・エースだもんね。
タイミング間違えたわ完璧に。
お風呂の準備しておこうっと。
「エース、お風呂の準備出来てるけど・・・・」
「ん」
・・・さっきから、ん、しか言ってくれない。
しかも目も一瞬も合わせてくれない。
そんなに怒ってるのかな。
そんなに怒ってるなら謝っても許してくれない、かな。
エースと話しが出来ないの寂しい。
顔見れないの寂しい。
お風呂に向かったエースを見送ってため息を吐いた。
台所に向かったら、朝作ったお弁当箱とさっきの夕飯のお皿が綺麗に洗われていた。
「あ・・・・・」
・・・・嬉しい、けど。
楽だけど。
綺麗に食べられたお弁当箱とお皿を見るのが好き。
今日も美味しく食べてくれたのかな、なんて想像出来るから。
綺麗なお皿が何処か寂しい。
することがないのが、悲しい。
仕方ないので明日の仕事の準備でも、と鞄に触って思い出した。
あ。
・・・・明日職場の飲み会があるんだった。
よりによってこのタイミングで!!
そしてこのタイミングでエースがあがってきた。
「え・・・・エース、あの、あのね」
「・・・・何だよ」
「明日、職場の飲み会・・・・・が・・・・」
飲み会、と言った瞬間にエースの目つきが変わった。
絶対怒られる!
と思ったけど、
「あ、そ」
・・・・拍子抜け。
「あ、あのでもっちゃんと早く帰るから!」
「別にいいんじゃねェ?」
「・・・・・そ、う?」
「いつもの場所だろ」
「うん」
「ゆっくりして来いよ」
笑顔こそないものの、怒ってる口調でもなくそう言ってくれて。
半分安堵。
半分は・・・・寂しい。
「・・・・ありがと」
「いいわねェ新婚さん」
「いやーそんないいもんでもないです。色々あります」
結局仲直りは出来ないまま飲み会。
「あら、喧嘩でもした?」
「・・・・そんなとこです」
「もとは他人同士だもの、仕方ないわ」
「・・・・はい」
「何でも手さぐりよ、最初はね」
「頑張ります!」
「ほら、飲んで飲んで」
注がれるお酒に口をつけながら時計を確認したらそろそろ帰らないと、な時間。
「あ、あの私そろそろ」
「あら、お迎えよ」
帰ります、という前にそんな言葉が聞こえた。
「え?」
「・・・・迎えにきた」
・・・・無表情のエースが、立っていた。
「あ・・・・・・はい」
「ごめん」
「・・・・・エース?」
外に出て真っ先にエースがそう言った。
「ゆっくりして来いよ、なんて言ったのにな」
「あ、ううんもう帰るとこだったし」
ご飯食べた?と聞けば、
「食ったけど・・・美味くねェ」
「・・・・そっか」
「アコの作ったの、一緒に食いてェよ」
「・・・・うん」
「味噌汁の具なんかなくていい。アコがいねェとなんも美味くねェ」
「エース・・・・」
ぎゅ、と握られた手が熱い。
「でもやっぱ心配はさせてくれ」
愛してんだ、これでも。
そう言う赤い顔と耳が、愛おしい。
「・・・うん、私もごめん」
「これからは俺も家事やるし、負担少なくなるようにすっから」
「あはは、ありがと」
「・・・・だから、これからも俺の側に居てくれな」
「こちらこそ」
大好きだよ、と伝えて仲直り。
「あ、でもねエース。お弁当箱とかお皿は私が洗う」
「大変じゃねェ?」
「嬉しいの。からっぽの箱やお皿を見るのが」
「・・・・そっか。じゃあ頼む」
「うん」
「ホントは昨日謝るつもりだったんだけどさ」
「あ、私も。でもエース話し聞いてくれなさそうだった」
「・・・・怖かったんだよ」
「何が?」
「お前に・・・・アコの口から離婚、とか出るんじゃないかって」
不安そうなエースに昨日の態度を思い出す。
ああ・・・・納得。
「言わないよ、絶対。一生側に居るって誓ったじゃない?」
「・・・難しいな、結婚て」
「嫌になった?」
「絶対いい夫婦になってやるって思った」
「・・・・さすがエース」
「・・・・絶対離さねェからな」
「あら、私もそのつもりよ」
喧嘩して、仲直りして。
その繰り返しで。
ずっとあなたの側に居させてね。