短編④
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やってしまった。
飲み過ぎるなよ、と同棲中の彼に言われていた会社の飲み会。
当たり前、と偉そうに返したあの時の自分が憎い。
ああもう何杯飲んだっけ。
身体が重い。
頭が痛い。
「先輩大丈夫ッスかー?」
「駄目」
後輩男子が楽しそうに声をかけて来るけど、
それすらもうざい。
「俺送って行きます?」
さすがにそれはシャンクスに怒られる、どころの話しじゃないと断ろうとしたら、
「やめときなって、このコの彼にボコられるよ」
「やっべ、やめときまっす!」
うん、それが賢明だわ。
あー何でこんな調子に乗って飲んじゃったんだっけ。
「彼氏呼んで迎えに来てもらったら?」
なんて同僚は軽く笑う、けど。
そんな迷惑かけられないじゃない。
「うー・・・・・・無理ぃ・・・・・」
「あらら・・・・」
頑張って動こうとしたら、
「俺は無理じゃないぞ」
「へ」
よーく聞き慣れた声。
「こんなことだろうと思って迎えに来て正解だった」
シャンクスは笑ってそう言って、
皆にお世話になってます、と挨拶。
「ええええええ・・・・・・」
「連れて帰っても?」
「どうぞどうぞ」
と皆の了承を得てから私に手を差し出した。
「立てるかアコ?」
「・・・・・ん」
まさかのシャンクスの登場に驚きを隠せないながらもその手を取った。
お店を出てすぐに車に乗せられた。
「飲んでないの?」
「お前を危険な目に遇わせるようなことはしない」
シャンクスこの時間はいつも晩酌してるのに。
私の為に飲まないでいてくれたんだぁ。
「・・・・ありがと」
「いいタイミングだったみたいだな」
「ほんと・・・・感謝してる」
「気分はどうだ?」
「お腹・・・・」
「痛いのか?」
「すいた」
ぐう、ぎゅるるる・・・・・・。
「何処かで飯食っていくか」
「いいの?」
「愛しい恋人を飢え死にさせる訳にゃいかねェからな」
言いながらシャンクスは車を停めてくれて。
「和食レストランだ、どうだ?」
「嬉しい!!」
和食レストランに入った。
「はぁぁぁ・・・・お腹すいたぁ」
私は親子丼を、
シャンクスは天丼を注文した。
「食わなかったのか?」
「お酒ばっかり飲んでた。・・・・気がする」
「あれだけ気を付けろ、と言ったのを忘れた訳だな」
「・・・・・すみません」
これに関しては本当に反省。
「いいさ、楽しかったんだろう?」
「・・・・・う、ん」
「・・・・楽しくなかったのか?」
「ううん、楽しかった。・・・あんまり記憶ないけど」
「その顔を見るに嫌な飲み方をした感じじゃなさそうだな」
シャンクスの言う通りスッキリしてるから嫌な飲み方はしなかったんだろうと思う。
「ん。だからその辺は安心して」
「なら送り出した甲斐はあった訳だ」
ここでふと気づいた。
「そういえばシャンクスは家で何も食べなかったの?」
天丼を頼んだということはシャンクスもお腹がすいてたってことよね?
「食うには食ったが・・・・」
「シャンクス料理出来るじゃない」
たまに私に作ってくれるものはどれも絶品。
「1人で食うのは味気ないモンでな、たいしたもんは作ってねェ。俺にはアコの味が1番だ」
すまん、とシャンクスが苦笑したのを可愛いと思ってしまった私はもう結構な重症な気がする。
「あ」
「・・・・・どうかしたか?」
思い出した、何でこんなにお酒を飲んだのか。
「・・・・何でもない」
シャンクスが不思議そうにこちらを見て来るけど、
言える訳ない。
「なぁアコ・・・・」
「・・・・ん?」
「あの時、隣に居た若い男が送ろうと言っていたな」
「うん」
「俺が来なかったらどうしてた?」
なんてシャンクスが不安そうに聞いてくるから。
「お酒追加して更に飲んでシメ食べてデザート悩んでた」
真剣に考えた末答えた。
「それで帰れるのか?」
「勿論帰りはへいタクシーだよ」
「だっはっは、そうか!そりゃいい」
「でもシャンクス来てくれて嬉しかった」
「タクシー代が浮いたな」
「シャンクスをタクシー代わりなんて思ってない」
「嬉しいことを言ってくれる」
「当たり前じゃない・・・・」
大切な人、なのに。
・・・・大切な人、だから。
「・・・・嬉しかったの」
「これからもいつでも呼んでくれていい。飛んで来る」
「違う」
「・・・・違う?」
嬉しかったのは。
「皆がシャンクスを褒めてくれたの。素敵な人って」
絶対逃がすんじゃないわよ、って。
幸せ者だ、って。
だからそれが嬉しくて。
「・・・・嬉しくて、調子に乗ってお酒ばっかり飲んでこの有り様」
だって好きな人褒められたら嬉しくない?
お酒が美味しくなるじゃない?
「・・・・参った」
「ほへ」
「敵わないな、まったく」
言わないつもりだったのに言っちゃった。
でもシャンクスが嬉しそうで何より。
「デザート追加してもいい?」
「勿論だ」
その後デザートを追加したけど、
時間が時間で気になったのでシャンクスとはんぶんこした。
酔っぱらいの幸せ。
なんてね。