短編④
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「シャンクスと別れて」
それは疲れ切った仕事の帰り道。
知った名前が知らない女の人の口から出て来た。
「え、嫌です・・・・・・ていうか、無理です」
驚いた私が出した答えに彼女は不満げな顔で頷き、
「ふぅん・・・・そっちがその気ならこっちにも考えがあるわ」
「え・・・・・・・・でも、あの」
「覚えておきなさい!!」
「ええええええ!?」
怒気を含んだ声で怒鳴って女性は行ってしまった。
いやでもあの。
だって私シャンクスと別れられないよう。
・・・・・・だって、付き合ってすらいないんだもん。
そういう関係じゃないんだもの!!
「そっちがその気ならこっちにも考えがある!覚えてなさい!って言われたんだけど」
「ほお・・・・・」
「ねえ誰あれ」
シャンクスは会社の同僚で、大変頼りになるし、優しい。
まあ、モテるっちゃ持てる。
でも私は好意を持ってないし、
シャンクスも同じだと思う。
とは言え今回の中心人物なのでお昼ご飯を誘いがてら相談してみることにした。
「誰だろうなァ、俺は見てねェからな」
「心当たりない?」
「ないな」
「ホントに?すっごい怖い顔してたよ」
「と、言われてもな」
「シャンクスの愛人じゃないの?」
「おいおい、愛人なんていると思うか俺に」
「じゃあ恋人」
「残念ながら恋人も居ないな」
じゃああれは誰なの!?
「どんな顔だったんだ?」
「覚えてない」
「・・・・・覚えておけと言われたんじゃなかったか?」
シャンクスが苦笑した。
「覚えとけって言われたことは覚えてる、怖い顔だったなあっていうのも」
「で?」
「具体的な顔は全然覚えてない」
以上。
「アコが相手じゃ可哀想だな」
「名前も名乗らないような人のことなんかいちいち覚えてられないっての」
「それもそうだ。しかし、このままじゃアコが危険だな」
「・・・・やっぱり?」
「誤解とは言えアコは相手の要求を呑まなかった訳だからな」
「しかも覚えておきなさい、だからね」
勘弁してよもう・・・・・!
「そもそも相手は何故俺とアコが付き合ってると思ったのかが不思議だな」
「疑ってもいなかった」
何だか推理ドラマのようになってきたところで、
「よし、俺にいい案がある」
「何!?」
「俺と付き合おう、アコ」
「・・・・・ちょっと何言ってるかわかんないな」
満面の笑みで何を言うかと思えば。
「付き合ってないから別れられないんだろう?それなら実際に恋人になって、相手の前で別れてみせればいい」
「おおお・・・・!それはナイス!!」
意外といい案だった!!
乗った!!
とりあえずその日は夜駅まで送ってもらうことにした。
そこでシャンクスが手を重ねて来て。
「・・・そこまでする必要ある?」
「本格的だろう?」
にやりと笑う。
うーん、楽しんでるなこれ。
「ところで犯人がわかったぞ」
「え」
「犯人は2人だ」
「2人!?」
シャンクス曰く、私たちが付き合っていると噂を流した犯人。
は同じ部署の後輩らしい。
1匹オオカミの私がシャンクスとだけは仲がいいから絶対付き合ってる!だそうで。
んな訳あるかい!
仲良い人は何人もいるっての!
と内心ツッコミを入れつつ、
「アコを脅した犯人は俺達の同期だ」
「え、だ、だれ!?」
シャンクスから名前を聞いてもピンと来なかった。
「部署が違うから研修も違う、入社式で顔合わせたくらいじゃわからんだろう」
・・・・入社式で顔を合わせたくらいで、
彼女はシャンクスを好きになったんだろうか。
・・・・なんかそれって。
もやもやする、すごく。
「・・・ちゃんと告白すればいいのにね」
「されても困るんだが・・・・」
「・・・・まあ、あんまり知らない人にされてもね」
嬉しくはないか。
何でかちょっとほっとした。
「それで見せびらかしてるつもり!?」
「あ、出た」
私たちの前に仁王立ちした女性。
シャンクスと見つめ合って、頷いた。
これでシャンクスが別れようと言って私が頷けば。
それで終わる。
この手のぬくもりも。
この、ドキドキも。
もやもやを抱えたまま。
「悪いがアコと別れる気はない」
「え、シャンクス!?」
「今日会社に彼女の悪い噂を吹き込みました。とっても居づらくなるでしょう?」
「はたしてそれを皆が信じるか、だな」
「近しい人なら噂に過ぎないってわかってくれるよね」
「だろうな。・・・まあ俺としては辞めてもらってもいい。俺に永久就職ってのもいいだろう?」
シャンクスはそう言って笑って私の手を取り口づけた。
「ぴゃ!?」
何事!?
「か・・・・・・・・・・っ勝手にすれば!?」
「ああ、勝手にさせてもらうさ」
聞き覚えのない同期は涙を見せて去って行った。
「は・・・・・・・・・・・・話しが違う・・・・・・」
「噂を真実にする気はないか、アコ」
「・・・・・・・・・・しようか」
・・・・・噂の根源を調べ当てたり、
今回の件を利用して告白したところとか。
シャンクスって・・・・・怖い。
・・・・・・・でも好き。
と思いました。