短編④
夢小説設定
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「私には未来が見えます」
「へえ、それはすごいですね」
旅の途中島を見つけて、
食料など買い足しの為に降りた。
勿論お頭と一緒。
で、お頭が所用があるとかでお店の近くで待っていた時のことだった。
女の人からそう声をかけられたのは。
「貴女の未来が見えるの」
「すごいですね」
ってさっきも言ったんだけどな。
「興味ないのですか!?自分の未来に!!」
「・・・・・はあ、別に」
「ないのか?」
「へ?」
横から低い声が絡んで来た、と思ったらお頭が不思議そうな顔で私を見ていた。
「もう用は済んだんですか?」
「ああ、もう終わった。ところで・・・・」
「あれ」
お頭が現れた途端女の人の姿は忽然と消えていた。
・・・・・ま、いっか。
「アコは自分の未来に興味がねェか」
「それは出来たら今と変わらず居られたら幸せですけどね」
「それは今が幸せってことだな?」
「そう・・・・ですね。幸せです」
お頭が居て。
皆が居て。
幸せだなあって思うから。
「もしもの話しだが・・・・」
「はい?」
「未来か過去に行けるとしたらどっちに行きたい?」
「・・・・・また唐突に聞きますね」
「未来には興味なさそうだから過去か?」
お頭は私の混乱を余所に私の答えを予測しているらしい。
「過去の方が興味ないですね」
「ほう・・・・意外だな」
「そうですか?」
「過去に行ってやり直したいこととかないのか」
「ないですね。今も言った通り、今が幸せなので過去に行っても何もしようがないです」
「だっはっは、そりゃ嬉しいことを言ってくれる!」
だから過去にはほぼ興味がない。
「未来に行ったら何をする?」
「うーん・・・・・・・・・・・何もしない、です」
たぶん。
何も出来ないのもあるけど。
「未来の自分を知りたくはねェか?」
「怖いです」
「怖い?望みどおりの未来であってもか?」
「例え希望通りの未来だったとして、戻ってきたら本当にそうなるのか不安になります」
選択肢が現れる度に、
私はそれを選択する度に不安になる。
怖くなる。
これで本当にいいのかな。
・・・・もしかして違う未来になってしまうんじゃないだろうか、なんて。
「なるほど。望む未来でなかった場合は」
「それはそれでショックですしねえ・・・・」
「おいおい、ネガティブだなァ」
「あはは・・・・・・否定はしません」
「心配するな、どんな未来であろうと必ず俺がアコを幸せにするさ」
自信満々なお頭の笑み。
・・・いいなあ、お頭は。
すごいなあ。
「・・・不安か?」
「不安も不満もありません、信じてますよ」
あ、でも。
ふと思った。
「・・・・もし、ですよ?お頭」
「なんだ?」
「今お頭の目の前に未来から来た私が居て、私はレッドフォース号にはいません、って言ったら」
どうしますか?
じっとお頭を見つめた。
お頭は顔色1つ変えることなく、
少しだけ考える素振りを見せてから、
「そうか、と頷くだけだな」
「え」
何ソレ。
「未来でそうなったんなら仕方ねェ」
ちょっと・・・・いや、かなり意外だった。
「・・・・原因を究明して何とかしようとか」
「本当にそうなるかはなってみないとわからないしな」
「・・・げふぅ」
「そもそも俺はアコを手放したりはしねェ」
「・・・・・でも」
「そんな未来には絶対にさせねェ」
「・・・・・・お頭ってホントお頭ですよね」
って自分でも何言ってるのか。
「俺が俺以外の男に見えるのか?」
「あははっ、大好きですよお頭」
「その言葉にゃ応えねェとな・・・・・」
「お頭?」
「過去も未来も・・・すべてのアコを愛してる」
そう言ってお頭が差し出したのはさっきまでは持ってなかった紙袋。
所用で、って言って寄ったお店でもらってきた。
「開けても?」
「ああ」
中に入ってたのは、指輪。
・・・・過去に、お頭に会っていなかったら。
なんて考えたこともあったけど。
きっと違う形で会うことになったんだろうな。
なんて思えて来た。
「はい。過去も未来も、今の私も。よろしくお願いします」
「約束だ」
ちゅ、と手の甲にキス。
・・・・・過去の私へ、
今の私が伝えられることがあるのなら。
大切な人を信じて進んで、かな。